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平場の月 朝倉かすみ

青砥健将は郷里の町で印刷会社に勤めている。青砥には介護施設に入所している認知症の母親がいる。パートの同窓生の元女子たちと一緒に仕事をしている。元女子といっても50歳、青砥も同じ歳だ。人生にこの先、輝かしい進展があるとは思えない。
第161回(令和元年7月)直木賞候補作。
Photo_20210629143201平場の月
朝倉かすみ
光文社
2018年

青砥は胃がんの検診を受けに町の総合病院に行ったとき、売店の店員をしている須藤葉子に再会した。
中3のときに、青砥はどこかどっしり構えたところがある「太い」と感じていた須藤に告白してフラれた。
今回は、アドレスを交換しラインで連絡しあい、2日後に焼き鳥屋で会うことになった。

須藤と一緒に働いている同窓生のウミちゃんは明るくてお人好しで人は悪くないが、情報通だ。ウミちゃんによって、青砥と須藤の関係はラインを通じてまたたく間に拡散される。ウミちゃんのスピーカーぶりにしばしば辟易させられる。

青砥はアル中の一歩手前から帰還した話をした。須藤は若い美容師に入れあげて家まで失った波乱の人生を歩んでいた。お互いバツイチだ。

情熱的な恋とは違う、お互い孤独の中で慈しみあいながら関係を続けていく。しかし、すでに前半で明らかにされたふたりの結末に向かって物語は進んでいく。
巧みな筆致で綴られた悲恋譚である。→人気ブログランキング

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