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『むらさきのスカートの女』今村夏子

むらさきのスカートの女を、ストーカーの視点で、ユーモアをまじえて小気味良いテンポで描いている。

街で、むらさきのスカートの女を知らない人はいない。
見かければ、知らんふりをする人、道を開ける人がいて、その日は運がいいとか3度見ると不幸になるとかいうジンクスまである。
わたしはむらさきのスカートの女がぼろアパートの2階に住んでいることを知っている。仕事は不定期で経済的に苦しいはずだということを知っている。なぜこうも、むらさきのスカートの女のことが気になるのか?むらさきのスカートの女と同類であるわたしは、黄色いカーディガンの訳あり女なのだ。

【第161回 芥川賞受賞作】むらさきのスカートの女
今村夏子
朝日新聞出版 2019年6月 ✳︎6
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むらさきのスカートの女が座る公園のベンチに、ページに印をつけたコンビニの就職情報誌をおいておく。まんまと引っかかりそのページの会社の面接を受けて、ホテルの清掃職に就いた。
職場で、むらさきのスカートの女は初めはおどおどしていたものの、マネージャーに可愛がられ、1週間という異例の早さでトレーニング期間を終えて独り立ちした。そこから、むらさきのスカートの女は増長していく。

痩せていたむらさきのスカートの女はふっくらとしてきて、綺麗になったと言われるようになった。時給は1000円に増え、その後1500円くらいになったらしい。
部屋に内鍵を掛けての清掃作業は禁止されているが、むらさきのスカートの女は鍵をかけるという。
所長の黒い車で一緒に出勤するようになったという。わたしは所長とむらさきのスカートの女のデートを尾行した。その夜、所長はぼろアパートに泊まった。

マネージャーが、朝のミーティングで、最近バスローブなどの備品が大量になくなるので、チェックを怠らないようにと注意を喚起した。ある日、ホテルの備品が小学校のバザーに出品されていたという通報がホテルに入った。
そして、むらさきのスカートの女と所長の関係に致命的な亀裂が入る。
第161回(2019年7月)芥川賞受賞。

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