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『IQ2』ジョー・イデ

ジャケ買いしてしまいそうなくらい、表紙カバーのイラストの紫とピンクが魅力的だ。
前作『IQ』では、主人公アイゼイア・クィンタベイ(IQ)の聡明さと肉体の強靭さが強調されたが、本作では、ケガを負ったり叶わぬ恋に苦悩したりする。
さらに、ギャング達の生い立ちや、脇役達の背景や、事件解決のクライマックスに時期を同じくする相棒ドットソンの妻の出産が語られ、ストーリーに厚みが増している。

舞台は、黒人とヒスパニック系とアジア系が入り乱れて覇権争いを繰り広げているロサンゼルスの暗黒街。

IQ2 (ハヤカワ・ミステリ文庫)
IQ2
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ジョー・イデ/熊谷千寿
ハヤカワ文庫 2019年6月 ✳10
売り上げランキング: 7,564

8年前に、交通事故を装って殺された兄マーカスの元恋人サリタが現れて、異母妹ジャニーンのギャンブル依存をどうにかして欲しいと、アイゼイアに依頼する。サリタに淡い恋心を抱いていたアイゼイアは、相棒ドットソンと行動を開始する。
アイゼイアの解決しなければならないことは、ジャニーンをギャンブル依存から脱却させること、兄マーカスの死の真相を突き止めること。ふたつの事柄には繋がりはないが、アイゼイアの頭の中ではつながっている。

サリタとジャニーンの父親ケン・ヴァンは、中国系マフィア〈三合会〉の〈14K〉の下で働いている。サリタは黒人とヒスパニックの売春婦との間にできた子供だったが、聡明さと美貌を備えていた。サリタは優秀な成績でカリフォルニア大学を卒業し、スタンフォード大学ロースクールの奨学金を勝ち取った。その後ケンブリッジに留学し、今では弁護士として活躍している。
一方、ジャニーンに対してケンは良かれと思うことをすべて与えた。それがDJのベニーと付き合うようようになり、ベニーのギャンブル好きでふたりには借金まみれになっている。

高利貸しのレオには町中に密告屋がいる。密告者は借りている金の期限を伸ばしてもらうために仲間を売るのだ。レオの手下バルサザーは2メートルを超える巨漢。レオとバルサザーはベニーをゴミ収集所に連れて行って突き落とした。その後も返済しないベニーを追い回す。

ジャニーンは父親の携帯にUSBメモリーをつなぎ情報を盗んだ。その情報からジャニーンは父親が関わる〈三合会〉が人身売買や麻薬、誘拐など、ありとあらゆる悪事に手を染めていることを知ってしまう。
USBをベニーが持ち出し、中国人マフィア〈三号会〉を脅迫して金を得ようとするするつもりなのだ。
トミーはケンから情報が漏れたことに腹を立てケンを監禁し、そこに捕まったベニーが放り込まれる。

USBは追っ手からバイクで逃げるベニーを救おうと、追跡したアイゼイアの手に入る。USBと交換にケンとベニーの釈放を持ち出すが、トミーは応じず、魔の手はサリタにも及ぼうとする。

マーカスを轢いたのはメキシコ系ギャングであることを突き止めた。そして、マーカスのバックパックに、なぜ3千ドルの現金と16gのヘロインが入っていたのかの謎が解けるとき、殺害を命令した人物が明らかになる。

IQ2/ジョー・イデ/熊谷千寿/ハヤカワ・ミステリ文庫/2019年
IQ/ジョー・イデ/熊谷千寿/ハヤカワ・ミステリ文庫/2018年

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