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『ビタミンDとケトン食 最強のがん治療』古川健司

本書に記載されていることがこの通りだとすれば、非活性型ビタミンDの多量摂取はがん治療の補助療法として大いに推奨される。

日本人女性のビタミンD不足は顕著であり、世界的にも現代人はビタミンDが不足がちだという。著者が勤務する病院の看護師50名のビタミンD濃度を計測したところ、正常値は1人もおらず、3人が不足、47人が欠乏症という惨憺たる結果だったという。
ちなみに、「ビタミンD充足状態」30μg以上、「不足」20〜29.9、「欠乏」20.0未満である。


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がん患者のビタミンD濃度は、統計学的に有意に低値であるとするデーターが示される。がん細胞に暴走を許している大きな要因が、ビタミンDの欠乏であるとする。
また、ビタミンDが高い場合がんにかかりにくいというデータが示される。

では、ビタミンDががん治療に効く働きとはどのようなものか。
1)がん細胞の増殖の抑制。
2)がん細胞のアポトーシスの促進。(アポトーシスとは体内に組み込まれているプログラムされた細胞死)
3)がん細胞の血管新生の抑制
4)オートファジーの抑制。(オートファジーとは、細胞それ自体が細胞内の異常なタンパク質を分解し、リサイクルする働き。生存のための「自食」とも呼ばれる)

大腸がんはビタミンDが最も強力に作用するがんの一つであることが、諸外国の報告で明らかにされている。ビタミンDの血中濃度が、大腸がんや乳がんをはじめとする多くのがんの発生やその抑制に関わっていることが、多数の研究から明らかになっている。

著者は、がん治療では、1日に最低でもビタミンDを50μg、症状によっては100〜150μgのビタミンDを摂取する必要があると結論づけた。ただし、摂取するのは非活性型ビタミンD(サプリメント)である。
非活性型ビタミンDは肝臓に一旦蓄えられ、必要に応じて腎臓で活性化される。医師が処方する活性型ビタミンDは、副甲状腺ホルモンのコントロールを受けないため、高カルシウム血症や腎障害などの副作用がある。非活性型は副甲状腺ホルモンやカルシウム濃度によってコントロールされているため安全性が高い。

様々な病気に関与するビタミンD。
がん、心・血管疾患(不整脈、心筋梗塞、虚血性心疾患、動脈硬化、大動脈瘤)。生活習慣病(2型糖尿病)、高血圧、脂質異常症など)。自己免疫疾患(関節リウマチ、アトピーや花粉症などのアレルギー、1型糖尿病、甲状腺機能障害など)。感染症(インフルエンザ、肺炎など)。精神疾患(うつ病など)。

巻末のケース・スタディでは、「ビタミンD 免疫栄養ケトン食」で治療を行った末期がん患者の驚異的な回復ぶりが記載されている。がん腫が消え寛解に至ったケースも何例かある。ケトン食が受け入れられないケースでは、ビタミンDだけでも著しい効果があがっている。

ビタミンDとケトン食 最強のがん治療/古川健司/光文社新書/2019年
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