くノ一忍法帖 山田風太郎
徳川家康が溺愛する孫の千姫は、家康によって滅ぼされた豊臣秀頼に嫁いでいた。
真田幸村の秘策により、瀕死の秀頼の胤を、忍術を遣い身篭った女が千姫の5人の侍女の中にいると、伊賀忍者・服部半蔵が家康に報告する。
家康が千姫本人に問いただすと、侍女たちに子を産ませて徳川一族を呪うという。腰元30人を皆殺しにすると家康が脅すと、その時は千姫も自害するという。こうして家康と千姫は敵対することになった。
くノ一忍法帖 山田風太郎 講談社文庫 1999年 ✳︎9 |
家康の命令は、「胤を宿した侍女を千姫に疑惑を抱かれずに命を奪え」というもの。
服部半蔵は5人の伊賀忍者を手配した。5人の侍女は、くノ一である。
くノ一が繰り出す忍法は、「月の輪」「筒涸らし」「天女貝」「夢幻泡影」「幻菩薩」「やどかり」「羅生門」。
一方の伊賀鍔隠れ5人衆も負けてはいない。「くノ一化粧」「恋しぐれ」「日影月影」「穴ひらき」「恋しぐれ」「穴ひらき」「肉鞘」「人鳥黐(とりもち)」「百夜ぐるま」と、名称から推察されるように性的な忍術が多い。
胎児もろとも侍女たちを殺そうとする伊賀忍者と、そうはさせまいとする侍女たちの妖しくも壮絶な肉弾戦が繰り広げられ、くノ一とはいえ侍女たちはひとりを除き、妊婦なのである。くノ一たちは、死をも恐れない潔さで胤を死守しようとする。
中盤からは、巨体と怪力の持ち主である長宗我部盛親の妻・丸橋が、千姫の味方として働くようになる。はたして勝つのは家康か千姫か。
「忍法穴開き」は、一度性交した相手と再び交わると相手をショック死させる術で、アナフィラキシーをもじった命名だという。いかにも東京医科大学卒業の山田風太郎らしい駄洒落だ。「山田風太郎ワールド」には、奇想がふんだんに詰め込まれている。→人気ブログランキング
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