変見自在 習近平と朝日、どちらが本当の反日か 高山正之
『週刊新潮』の辛口コラム「変見自在」(2014年6月〜2015年6月)の文庫化。
産経新聞OBである著者は朝日新聞を目の敵にする。「朝日にあらずんば新聞にあらず」と思い上がっていた朝日新聞は、批判されても仕方がないことをやってきた。
朝日新聞は、昭和30年代半ば北朝鮮は地上の楽園と報じ続け、日本在住の朝鮮人20万人が地獄の北朝鮮に帰った。
中国での煙幕を毒ガスだと報道したり、サンゴに落書きして「日本人KYがやった」と書いたり、挙句は韓国人義母の入れ知恵で植村隆が従軍慰安婦の嘘をでっち上げた。
変見自在 習近平と朝日、どちらが本当の反日か 高山 正之 新潮社 2019年 |
支那文化の要は奴隷制度に纏足に宦官だという。日本は仏教と漢字と律令制を導入した後、9世紀には学ぼうにももはやろくなものはないと遣唐使もやめた。宦官を持ち込まなかったのは遣唐使の功績であると言われている。
収録されているコラムのひとつ「キリスト教徒を締め出した日本の叡智」の要旨は次のようだ。
〈16世紀、キリスト教が日本にやってきた。日本には八百万の神がいるから、一人増えても日本人は気にしなかった。ところが、キリシタン大名高山右近は城下の神社仏閣を壊していった。彼らは信徒以外は人間扱いしなかった。キリシタン大名は硝石1樽を女50人と引き換え、イエズス会はその女たちを奴隷に売って大金を稼いだ。
秀吉は宣教師に神社仏閣と仲良くするように、奴隷売買をやめるように説得した。10年待ったが、改めなかったので26人の教徒を処刑した。
徳川幕府もこの狭量の宗教を諌めた。道を外れた民には踏み絵を踏むだけで許した。異教徒を皆殺しにするキリスト教では考えられない寛容さだ。
しかし懲りないキリスト教は「島原の乱」を起こす。この経緯を踏まえ、日本はキリスト教を邪教として禁じた。ローマ帝国すらできなかった世界で初めてのことを日本はやった。
おかげで、日本は宗教戦争に巻き込まれることがなかった。明治憲法発布まで邪教への入信を戒めた。〉
著者は、キリスト教排除は先人の叡智であるとする。キリスト教が世界中でひき起こした凄惨な歴史を見るにつけ、一神教のもつ危うさに気づかされる。秀吉や徳川幕府のとったキリスト教排除は「日本を救った叡智」と評価されていい。
本書では解説にも注目したい。
担当するのは産経新聞の著者の後輩である福島香織である。それまで、『変見自在』の文庫版の解説は、保守の言論界を代表する評論家や作家が担当してきた。彼女が選ばれたのは、著者に目をかけられ、著者を「高山先輩」と呼んで尊敬し、自身も保守系のスタンスをとる気骨ある書き手であるからだろう。→人気ブログランキング
変見自在 習近平と朝日、どちらが本当の反日か/新潮文庫/2019年
変見自在 オバマ大統領は黒人か/新潮文庫/2015年
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