忍法忠臣蔵 山田風太郎
大奥仕えの伊賀忍者・無明綱太郎は、大奥女中のおゆうと祝言をあげることになった。しかし、おゆうは公方様に召されてしまう。おゆうが忠義を尽くすと言い出し公方様に処女を捧げる夜、閨に現れた網太郎は、おゆうを魚の活け造りのように肉と骸骨に切り刻んだのだった。それ以来、網太郎は女と忠義を嫌うようになった。 恐ろしく腕が立つ縄太郎は、この事件を機に恐ろしく非情になった。
忍法忠臣蔵 山田風太郎 角川文庫 2014年 |
縄太郎は、米沢に向かう上杉藩国家老の千坂兵衛の令息に付き添う老女と家来の一行を、宇都宮で見かけた。令息一行を追う殺気を放つ8人の武士を、縄太郎は難なく切り捨てた。
好色な上杉綱憲から側女に召された織江が、江戸屋敷から逃げてきたのである。織江はおゆうとそっくりであった。織江たちを米沢藩に届けた縄太郎は、千坂兵衛の邸に身を寄せることとなった。
上杉藩江戸屋敷から、赤穂藩浪士の暗殺の命を受けた能登忍者10名が放たれた。もし、赤穂藩の家来たちが殺されたとなれば、それを操るのは血縁関係にある吉良家か上杉藩となり、公儀と天下の憎しみを買うことになる。
国家老千坂は殺害を未然に防ぐために5人の「くノ一」を放った。赤穂の家来たちを色地獄に引きずり込むことが目的である。千坂兵衛は赤穂浪士たちが能登忍者に殺される前に、彼らを堕落させ骨抜きにしてしまおうと画策したのだった。
縄太郎の役目は、能登忍者10名と闘うことと、「くノ一」を監視することである。女忍者が赤穂の侍に少しでも情をかけようものなら、始末するという非情なもの。女嫌いの綱太郎にうってつけの任務だった。
大石内蔵助を中心に赤穂浪士たちの仇討ち計画が進行していく裏で、彼らの暗殺を狙う上杉の能登忍者たちと、色欲への堕地獄を仕掛ける「くノ一」たちが暗躍する。そうした折、織江が忠義を尽くすという理由で上杉綱憲の側女になる覚悟を決めたという。さて、無明綱太郎はどう振る舞うのか?→人気ブログランキング
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