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2020年3月 6日 (金)

BUTTER. 柚木麻子

実際の殺人事件を下敷きにしたサスペンス。グルメ小説でもある。
梶井真奈子(カジマナ)は、出会い系サイトで知り合った40代から70代の金持ちの独身男から結婚を餌に金をだまし取って殺した。3件の殺人事件の被疑者として収監され裁判を控えている。カジマナが逮捕間際まで書き続けた美食と贅沢三昧のブログが話題になった。肥っていて美しくもないカジマナがなぜモテたのか、世間では疑問の声が挙がっている。
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柚木麻子(Yuzuki  Asako
新潮文庫
2020年

大手出版社の広報部に勤める33歳の町田里佳は、『週間秀明』を担当するの優秀な記者である。背が高く痩せている里佳は、女子高時代には下級生から人気があった。社会に出てからも、その体型を保つよう食べ物には興味をもたない生活を送ってきた。里佳はマスコミへの登場を拒んでいるカジマナにインタヴューをしようと思い立つ。

大学時代からの親友の伶子は、カジマナがブログに載せていた料理のレシピを教えて欲しいと手紙に書くようにアドバイスした。それが功を奏してカジマナからインタヴューを承諾する手紙が届く。

カジマナが許せないものはマーガリンとフェミニストだと言う。そして里佳にバター醤油ご飯を勧める。里佳はカジマナの言うとおりにバターしょう油ご飯を食べ、ブログに書いてある高級フランス料理店で食事をし、恋人と泊まったホテルを深夜に抜け出してラーメンを食べ、カジマナに絡めとられていく。
里佳はカジマナの取材を始めてから体重が5キロ、10キロと増えていった。

里佳は、殺されたとされる男たちはカジマナの料理を食べて不摂生な生活を送って自ら寿命を縮めたのではないか。カジマナは無罪ではないのかとさえ考えるようになる。すべてを知るために伶子とともにカジマナの郷里に向かった。
伶子はカジマナの母親も妹も変だという。家族に殺人罪の容疑者がいるのに、自信満々で教育論を語る母親は頭がいかれている。妹も都合の悪いことは語っていない。

そしてカジマナから記事執筆の許可が下りる。センセーショナルな記事は脚光をあび、里佳はカジマナの呪縛から解き放たれたかに思われたが、物語はそこで終わらない。

サスペンスとしての出来は大いに称賛する。しかし実際の殺人事件を下敷きにしフィクションとして作品を仕上げたのだから、殺人犯の郷里は架空の町にすべきだろう。→人気ブログランキング

BUTTER/新潮文庫/2020年
ランチのアッコちゃん/双葉社/2013年

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