光秀 歴史小説傑作選 細谷正充 編
2020年のNHKの大河ドラマ『麒麟がくる』の主要人物が明智光秀になったことで、光秀ブームが来ている。本書は光秀関連の6編のアンソロジーである。
光秀には幾つかの謎がある。出生から成人するまでどこにいて何をしていたははっきりしておらず遅咲きであること、なぜ信長を討たなければならなかったのか、黒幕はいなかったのか、最期は武者狩りで殺されたことになっているが、生き延びたという説もある。
そんな小説のネタとしてもってこいの謎をもつ光秀である。
最近は安土城跡の発掘や古文書の解明が進み、少しずつ光秀像が解明されていているという。
![]() 細谷正充 編 PHP文芸文庫 2019年 ✳︎10 |
冲方丁は、信長に抜擢された光秀があくまで天下を取ろうと野心を抱いた視点から書いた。「純白き鬼札」
池波正太郎は、余裕を感じさせる文章で光秀をすらすらと書いて、最後に、光秀の母の逸話には確証がないとする。「一代の栄光ー明智光秀」
新田次郎は、その光秀の母の逸話を見事な短編に仕立てている。「明智光秀の母」
凄腕の忍者・十兵衛秀光を登場させたのは山田風太郎だ。「忍者明智十兵衛」
植松三十里は、光秀の美貌の三女、嫉妬深い細川義興に嫁いだガラシャと切支丹の関係を描いた。さすが光秀の娘といわれるに値する生き様だ。「ガラシャ 謀反人の娘」
山岡荘八は、刀の鞘作りの名人・曽呂利新左衛門の相手に死んでいない光秀を登場させる。「生きていた光秀」→人気ブログランキング
光秀 歴史小説傑作選/細谷正充 編/PHP文芸文庫/2019年
光秀の定理/垣根涼介/角川文庫/2016年
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