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2020年3月30日 (月)

ガットショット・ストレート ルー・バーニー

主人公は40歳を超えたシェイク。シェイクは若い娘ジーナに引っ張られて大金を手にしようとするが、ジーナは自由気ままな予測をはぐらかす行動をとる。

刑務所を出たばかりのシェイクは、300キロ先のロサンジェルス行きのバスに乗った。LAに着くと、アレクサンドラがリムジンで迎えに来ていた。
アルメニアで生まれたアレクサンドラは、山岳地帯の部族軍の棟梁に嫁入りしたのが16歳の時。20歳の頃には夫を殺して、近隣の競合部族全員を崩壊させた。その後アメリカに移住し、10年後にはLA中のアルメニア人ギャングを手中にした、美貌の女傑である。

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ガットショット・ストレート

ルー・バーニー/細美遥子
イースト・プレス
2014年 ✳︎8

 

 

シェイクはアレクサンドラに仕事をもらう。車でヴェガスに行って、相手に車を渡しブリーフケースを受け取り、飛行機でLAに戻ってくるという運び屋の仕事だ。ヴェガスへの途中でトランクに人が詰め込まれていることに気づく。ジーナが手錠をはめられてトランクにいた。
シェイクは相手に車を渡しブリーフケースを受け取るが、悪党の〈クジラ〉は女がいないことに気づき手下にシェイクを探させる。

ブリーフケースの中身が金になる切手らしいと知ったジーナは、シェイクを出し抜いてブリーフケースを持ち出し、金に替えようとする。ジーナが古物商にブリーフケースを持っていくと、中身は切手ではなく包皮だという。価値は最低でも500万ドル、しかし買い手はいないという。

ところで包皮とはなんだ?男性器の皮のミイラ化したものとのことだが、なんでそんなものに価値があるのだろう。マニアにとってはキリスト教にまつわる垂涎の聖遺物で、パナマに住むローランド・ジーグラーなら高額で買うはずだという。

ジーグラーは亡命者で、アルメニア人マフィアに詐欺用の会社作りに手を貸している。大勢の老人を騙して金を奪い取った犯罪者である。連邦捜査官が一旦は捕まえたが、不渡りの小切手を書いて保釈されそれ以降は、見た者も話を聞いた者もいないというお尋ね者である。

そして、場面はパナマ・シティに代わる。パナマ行きの飛行機に搭乗するのは、ジーナから包皮入りのブリーフケースをだまし取った古物商のマーヴィン・オーツ。そしてタッグを組んだシェイクとジーナ。さらにアレクサンドラと〈クジラ〉とその取り巻きの3組だ。そこにパナマ・シティの安いレストランでお見合いの合コンに出席するテッドというオタク男も紛れ込む。

パナマでの包皮入りブリーフケースの争奪戦に加え、偏屈で大金持ちの犯罪者ジーグラーと、誰がどう接触するかが見ものである。

悪党どもが非道の暴力沙汰を繰り広げると思いきや、南国の陽気と大らかさに包まれて暴力はなりを潜め、どういうわけか勧善懲悪の方向でこじんまりとまとまってしまうのは、どうにも期待が外れた。→人気ブログランキング

11月に去りし者/ルー・バーニー/加賀山卓朗/ハーパーBOOKS/2019年
ガットショット・ストレート/ルー・バーニー/細美遥子/イースト・プレス/2014年

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