パンティオロジー 秋山あい
著者はパンティのイラストを描いている。
そう自己紹介して、相手に手持ちのパンティから、セクシー、リラックス、お気に入りの3枚を選んでもらい、パンティにまつわる思いを語ってもらう。夫や交際相手のことも訊ねていて、文章からはパンティ提供者の私生活がかいま見える。
33名の対象者は、国籍も人種も、年齢もバラバラ。著者はフランスと日本を行き来しているので、いきおい日本人とフランス人が多いが、アメリカ、イタリア、ポーランド、イランなど多岐に渡る。
![]() 秋山あい 集英社インタナショナル 2019年 ✳︎10 |
著者が描くパンティのイラストは写真と見紛うがごとくに写実的である。
真新しいものもあるが、大半は中古物件の佇まいが漂うものである。イラストには、パンティとそれを身につける人物から感じ取ったものを著者が咀嚼して具現化した小宇宙がある。パンティは生きていると言わざるを得ない。
著者が命名したパンティオロジーという造語は深遠な学問の響きがあり風格を感じさせる、ユーモアあふれる単語だ。
帯の「パンティは女心の充電器である」は的確なキャッチコピーであるが、匹敵するしっくりくるフレーズをひねり出したい。「パンティは女心のスイッチである」はいかがだろう→人気ブログランキング。
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