ようかん 虎屋文庫
羊羹とはもともとは中国の「羊の羹(あつもの)」のこと。羊肉の汁椀であり、最高のご馳走のことであった。鎌倉時代や室町時代に、中国に留学した禅僧が中国の文物を持ち帰り、その中に饅頭や麺類、羹類に関する記事があった。肉食を禁じられていた禅僧によって、羹は砂糖や小麦粉などを使った蒸し物に変貌していった。そして江戸時代になり、寒天を使った今の形のようかんになった。虎屋は16世紀後半創業の朝廷御用達の菓子屋である。虎屋にはようかんにまつわる資料が保管されている。
いつ羹類が菓子になったかははっきりしないが、中世の宴会の献立を時系列に分析すると、戦国武将たちへのもてなしあたりからのようだ。つまり16世紀中頃から、羹から菓子にじわじわと進化した。
汁物もどきから蒸しようかんになったのが戦国時代、寒天が入る水ようかんタイプとなるのが江戸時代の17世紀半ば、今の形の練ようかんとなるのが17世紀後半である。
虎屋は16世紀後半に京都で創業し、後陽成天皇御在位中(1586年〜1611年)より、禁裏の菓子御用をつとめてきた。ようかんの名が見える最も古い資料は、1635年、明正天皇が父である後水尾上皇に行幸した折、虎屋と二口屋が納めた菓子の記録である。虎屋は古くから宮中御用達だったわけだ。
羹という字には毛だらけのイメージがあると芥川龍之介が書いている。芥川に限らず多くの文豪たちが作品の中で、ようかんを取り上げている。まずは夏目漱石は、『草枕』で菓子の中で羊羹が一番好きだと書いている。その他、森鴎外、与謝野晶子、谷崎潤一郎、立原道造、向田邦子など。
さらに俳句にも短歌にもようかんは顔を出す。
著者の欄に記載されている虎屋文庫とは、虎屋の資料室のこと。
ようかんの原材料と作り方の手順、そして室町時代に創業の老舗「虎屋」の歴史など、ようかんのことなら本書を開けばすべてがわかる。→人気ブログランキング
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