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『復活の日』小松左京

感染症による人類滅亡の危機、そしてそこからの復活という壮大なテーマに挑んだ歴史的な名著である。本作は、1964年、東京オリンピックの年に書き下ろし作品として発表された。1980年、深作欣二監督により映画化されている。

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復活の日

小松左京
角川文庫
1975年 ✳︎10

 

地球を3種類の感染症が襲っている。
宇宙空間から採取した病原体からイギリスの研究所で作られた生物兵器MM-88が、アルプスの山中で起こった飛行機事故により撒き散らされた。強力な殺人能力をもつ病原体は恐ろしいスピードで世界に広がっていった。しかし、MM菌の存在を知る者は一部の研究者だけであり、その研究者すらもMM菌の病原体としての恐ろしさを知らなかった。

もうひとつは、動物に広がる感染症である。
4月の第1週、イタリアではネズミの大量死が、そして羊が突然死んだ。スイス、オーストリアの乳牛、オランダ、ドイツ、フランスをはじめ各地で家畜の奇妙な死が増え始めた。オーストラリアの羊、アメリカ南西部の乳牛、肉牛が死に、中国江蘇省ではあひるが死んだ。新種の家禽伝染病が日本の九州の養鶏場地帯に襲いかかった。

そして3番目は、潜伏期が異常に短いインフルエンザ(チベットかぜ)が流行しだした。ワクチンの製造には鶏卵が必要だが、鶏の大量死で思い通りには調達できない。全世界の防疫陣は、ワクチン製造を組織培養法に切り替え困難な戦いの準備を進めつつあった。

インフルエンザやニューカッスルのウイルスに、MM菌の核酸が重なりあうと、その効果は単独感染おより著しく強くなる。同じことが普通のブドウ状球菌にも起こる。ブドウ状球菌にMM菌がくっつくと猛烈なスピードで増殖しだす。

日本ではチベットかぜが流行りはじめてから2か月しか経っていないというのに、すでに3000万人が罹患していた。都市部での死亡率は25%になっていた。
そして医師は疑う。ただのインフルエンザじゃない、他に原因がるのではないか。
死者が日本で1000万人を越えた。

世界の人口35億人のほとんどが死に絶えたが、氷に閉ざされた南極には各国から派遣された1万人の観測隊員がいた。この南極の人々が、人類復活に向けて動き出す。→人気ブログランキング

コロナの時代の僕ら/パオロ・ジョルダーノ/飯田亮介/早川書房/2020年
感染症 増補版/井上栄/中公新書/2020
感染症の世界史/石井弘之/角川ソフィア文庫/2018年
ウイルスは生きている/中屋敷均/講談社現代新書/2016年
H5N1 強毒性新型インフルエンザウイルス日本上陸のシナリオ/岡田晴恵/幻冬車文庫/2019年
隠されたパンデミック/岡田晴恵/幻冬舎文庫/2019年
首都感染/高嶋哲夫/講談社文庫/2013年
復活の日/小松左京/角川文庫/1975年
ペスト/アルベルト・カミュ/宮崎嶺雄/1969年

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