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ナニワ・モンスター 海堂 尊

第1部では、キャメル・インフルエンザ・ウイルスによる感染症の広がりをあおり、浪速地区の経済に打撃を与えようとする動きに、難波府知事が敢然と立ち向かう。
第2部は、検察庁の覇権争いを描く。キャメル・インフルエンザ騒動の1年前である。
第3部は、著者の持論であるAi(Autopsy imaging、死亡時画像病理診断)を普及させることがテーマ。死後の解剖は遺族にとって簡単に承諾できるものではない。それが、CTやMRIであれば、同意のハードルは低くなる。死亡時にCTもしくはMRIで、死亡原因を特定すれば、医療事故も医療訴訟も激減するという。Aiを主導するのは医療側であって司法側ではないというのがキーワード。
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ナニワ・モンスター
海堂 尊
新潮文庫
2014年 ✳︎8

中東で、ラクダ由来のキャメル・インフルエンザが流行の兆しをみせ、厚生労働省は空港での水際作戦を展開した。
病気が日本に入ってきていないのに、「キャメル・ファインダー」という検査キットが、浪速診療所に配布されていた。
浪速大学公衆衛生学教室の本田苗子准教授は、浪速医師会の講演会でキャメル・インフルエンザについて講演し、テレビのワイドショーではこの新しいインフルエンザの脅威を強調した。感染力は強いが致死率は0.002%ときわめて低い。そんな弱毒のウイルスに警戒態勢をとる政策はやりすぎではないか。さらに本田准教授の経歴は簡素すぎて胡散臭い。

発熱患者が浪速診療所を受診し、キャメル・ファインダーで陽性を示した。PCR検査を行うと陽性であった。マスコミは過剰に反応し、ゴールデンウィークの海外渡航を控え、関西地区への観光を控えるようにと呼びかけた。
全国のキャメル発生患者が報告された地区と、サンザシ薬品が迅速検体キットを配布した地区と一致していた。
テレビでは、本田准教授はキャメル・インフルエンザ・ウイルスによる、パンディミックの発生を警告すると訴えた。浪速の町は人の行き来が少なくなり観光客の足が途絶えた。この浪速の危機に辣腕の村雨弘毅府知事が動き出す。

本書で著者が取り上げたのは膠着する日本の現状である。3部のそれぞれのエピソードは裏でつながっており、そこには霞が関コングロマリットの闇がある。著者は道州制をを論じ、霞が関主導の官僚体制を壊すことに話が及ぶ。→人気ブログランキング

チーム・バチスタの栄光/海堂 尊/宝島文庫/2005年

新型コロナVS中国14億人/浦上早苗/小学館新書/2020年
コロナの時代の僕ら/パオロ・ジョルダーノ/飯田亮介/早川書房/2020年
感染症の世界史/石井弘之/角川ソフィア文庫/2018年
ウイルスは生きている/中屋敷均/講談社現代新書/2016年
ナニワ・モンスター/海堂尊/新潮文庫/2014年
首都感染/高嶋哲夫/講談社文庫/2013年
復活の日/小松左京/角川文庫/1975年
ペスト/アルベール・カミュ/宮崎嶺雄/1969年

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