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女帝 小池百合子 石井妙子

最初に、2016年の都知事選のエピソードが語られる。
公開討論会で鳥越俊太郎が「わたしのこと『病み上がりの人』と言いましたね」と問い詰めると、小池百合子はいけしゃーしゃーと「言ってません」と突っぱねたという。このエピソードが小池百合子を象徴している。つまり、平気で嘘をつくという性癖である。

小池百合子はカイロ大学を首席で卒業した才媛という触れ込みでテレビに登場し、経済番組のキャスターとして人気を集めた。その後、政治家に身を転じ、日本新党、新進党(自由党)、自民党と政党を渡り歩き、環境大臣、防衛大臣を歴任した。閣僚から外されると、自民党の反対を押し切って東京都知事選に立候補した。その後、自民党を除名されるも、希望の党の党首となって都知事選で圧勝し、次期首相候補といわれるまで権力の階段を登っていった。
ところが、希望の党への民主党からの入党希望者の人選をめぐって、「(安保、改憲で一致しない人は)排除する」と述べた。この「排除する」という言葉を発したことで、小池は求心力を失っていった。

Image_20200707154201 女帝 小池百合子
石井妙子
文藝春秋
2020年 ✳︎10

著者は、小池がカイロで過ごした5年間のうちの2年間、同居していた早川(仮名)さんを取材している。小池を訪ねてアパートにはしょっちゅう男が現れたという。
ペルシャ語は口語と文章体が異なり、文章体を読みこなすのはエジプト人でも大変なことで、日常会話がやっとできる程度の語学力ではカイロ大学の進級は不可能だという。ましてや、勉強をほとんどしなかった小池が卒業できるわけがないという。
今回の取材の後、小泉さんはカイロの地で身の危険を感じ、日常生活をまともに送られないほど怯えたことがあったという。

著者は、小池が週刊誌などで公開した卒業証書や卒業証明書について、細かく分析している。飛行機事故に2回遭遇しそうになって免れたエピソードは、事故の日時と小池が搭乗したとする飛行機とを調べてみると、時間的な齟齬があるという。また卒業を記念してピラミッドの頂上で着物を着てお茶を立てたとする2枚の写真について、疑問を投げかけている。なにしろ小池は胡散臭いことこの上ない。
小池の卒業についてカイロ大学に問い合わせると、小池が在籍した文学部ではなく日本語科の係が対応し、卒業してますと答えるという。エジプトは軍事政権下にあり、日本からODAによる無償の多額の金が入っている。小池はエジプトをしばしば訪れ要人と会っているという。そんな人物の過去をほじくり返したところでエジプトになんらメリットはない。

小池の手法はその組織のトップに近づき、その人物の承認を得たかのような言動で組織を引っ掻き回す。自分の功績はどんな小さいことでも大々的に喧伝する。選挙公約は反故にする、かけられた恩を仇で返し、被った被害は倍にして返す。同僚や部下を下に見て平気で無視したり馬鹿にしたりする。だから周りからの信頼はえられない。

著者は、緻密な取材と冷静な分析と落ち着いた確かな文章力で、小池の半生を明らかにした。小池をここまでにしたのは、小池の嘘を追求しきれなかった日本のマスコミであり、男が牛耳ってきた日本の政治構造であるという。
小池の生き様は、有吉佐和子の『悪女について』の主人公を彷彿とさせる。このような人物が都政のトップにいつまでもいていいのだろうか?というのが正直な感想である。→人気ブログランキング

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