火星のレディ・アストロネート メアリ・ロビネット・コワル
本作品
ハヤカワ文庫SF創刊50周年記念特集号に掲載されている。
長編SF小説『宇宙(そら)へ』の後日談。人生の悲哀を感じさせる心に染みる良質の短編である。
1952年アメリカ東海岸に巨大隕石が落下し、人類は地球脱出を始めた。
女性宇宙飛行士として人類で初めて宇宙に飛び立ったエルマは63歳となり、火星で暮らしている。かつて宇宙船の発射事故で、近くの農場に被害がおよび夫婦が亡くなった。その娘がエルマの目の前にいる検診医のドロシーである。ドロシーは、子どもの頃からエルマに憧れを抱いていた。
![]() メアリ・ロビネット・コワル/酒井昭伸 SFマガジン 2020年10月号 p332 |
エルマは、太陽系外の居住可能な惑星の探査ミッションのパイロットを依頼される。亜光速に宇宙船を加速し火星から目的の惑星への旅程を3週間くらいに短縮するためには、到着側にテサラクト(四次元立方体)・フィールドが用意されていなければならない。そのフィールド設定のために、〈探査ミッション〉が必要になる。〈探査ミッション〉は、狭い宇宙船で3年間ひとりで旅することになる。どれほど厳重に放射線シールドしても必ず影響を受けてしまう。被曝により15年以内に癌になる確率は高い。到底若い宇宙飛行士には頼めないミッションなのだ。それでエルマに白羽の矢が当てられた。
不治の病に罹っている夫のナサニエルは余命は1年である。
エルマは、夫との最期の日々をともに生きることを選択しようとしていた。しかし夫はエルマを宇宙に飛び立たせたい。
子どもを持たないふたりの間にドロシーが介入する。→人気ブログランキング
火星のレディ・アストロネート/メアリ・ロビネット・コワル/酒井昭伸/SFマガジン2020年10月号
宇宙(そら)へ/メアリ・ロビネット・コワル/酒井昭伸/ハヤカワ文庫/2020年
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