ラーメンの本 大門八郎
本書は日本で最初のラーメンの本である。今日、隆盛を極めるラーメン文化の原点が本書にあると言っていい。
裏表紙には永六輔が食べ歩き評論家と称する著者の紹介文を載せている。著者は美味しいものを嗅ぎ分けることに長けていたという。映画監督の山本嘉次郎が大門情報に全幅の信頼をおいていたという。
本書は、Amazonで12000円の値がついている稀覯本である。
ラーメンの本 大門八郎(Ookado Hachiroh) ごま書房 1975年 |
著者は、日本のミシュラン・ガイドブックの刊行をライフワークにしていた。50年前に、食のガイド本の有要性を認識していた人物なのだ。今やインターネットの普及により、食の情報を簡単に手に入れることができるようになった。ちなみに、『ミシュラン・ガイド東京』が刊行されたのは2007年。
本書の構成は、全国のラーメン店の食べ歩きレポートを右のページに、左のページにはプロのラーメンの味を家庭で再現しようと、店から得たノウハウが載っている。店主の人となりや苦労話を載せているところがなんとも好感が持てる。
1970年代のラーメンの値段は、およそ200円から300円だった。180円のラーメンもあった。
有名人たちのゴヒイキ店が載っている。ミヤコ蝶々、伴淳三郎、大村崑、山本リンダ、愛川欽也、こまどり姉妹、山田五十鈴、坂東三津五郎、徳川夢声、宮田輝、伊丹十三、宮本信子、ピンキー、水原弘、滝沢修と、ほとんどの方が鬼籍に入っている。
新潟は、新潟市東堀通のカトウ(現在も営業している)だけが載っている。
手打ち自家製麺を作ることの大変さに触れ、風格のある店主の顔を和田誠や山藤章二に描かせたいと、ラーメンと関係のないことを書いているが、味については触れていない。カトウはイチムラ・デパート(新潟市店は1981年7月に閉鎖)の横にある小さな店と紹介されている。→人気ブログランキング
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