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俺はエージェント

帯の「元厚労事務次官・村木厚子さん絶賛‼︎」に惹きつけられた。氏は巻末の解説を担当している。
スパイ小説好きの俺こと村井がいつもの居酒屋で飲んでいると、白川さんに電話がかかってきた。「コベナント」とひと言が告げられたいう。
店を出ると、近所のボロ屋に連れて行かれ、白川さんは村井に「私に従うほうがいい、君は『コベナント』に巻き込まれている」といった。「コベナント」とは極秘ミッションの発動を伝える暗号である。
Photo_20210219140801俺はエージェント
大沢在昌
小学館文庫
2021年

74歳の白川さんは冷戦時代に組織された国際諜報組織オメガの凄腕エージェントだった。コードネームはA5、5人目のエージェントである。オメガはアルファという組織と敵対している。アルファは自分たちの利益を追求する組織だ。
村井が軽自動車で白川さんを拾おうとしていると、居酒屋の女将が「八百屋に乗っけてって」と乗り込んできた。待合わせの場所に着くと、白川さんは女将を撃ち殺した。理由は女将はアルファの手先で、村井を殺そうとしたからだという。こうして村井は憧れのエージェントの世界に足を踏み入れた。
村井は両親が離婚した後父親に引き取られ、父親が亡くなり郷里に親戚はおらず、母親とは音信不通であり、エージェントとしてはもってこいの天涯孤独の身だった。

村井と白川さんはオメガのマドンナA2に会う。マドンナといっても白川さんより年上の白髪の老女だ。孫の茶髪のミクは、A2によってエージェントの心得が仕込まれていて、筋がいいらしい。

一方、オメガとアルファの上をいくキングダムという組織は、先進国の官僚OBで構成されている新しい組織だ。世界を自分たちの手で動かそうと目論んでいる。
「コベナント」が発令されたことで、登場人物の立場の違いが浮き彫りになっていき、現在の思惑と昔の遺恨とが交錯する。

なぜ冷戦時代のエージェントが腰をあげなければならないのか。官僚OBがキングダムを組織する理由は何か。いつまでも自分の居場所を求めようとする老人たちの欲望か。それは、なかなか正体が明らかにならない「コベナント」を発令した人物とともに謎なのだ。

2010年、当時厚労省局長であった村木厚子氏は、障害者施設に郵便料金を優遇した罪で逮捕され収監された。しかし大阪地検特捜部が証拠を改竄していたことが判明し、逆に主任検事が逮捕された。
手柄を立てなくてはならないという地検の焦りが証拠を改竄して事件を作り出しのたと同じ理由で、本書ではリタイヤした者の未練が問題を引き起こしていると、村木氏は分析している。→人気ブログランキング

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