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2021年2月11日 (木)

推し、燃ゆ

〈推しが燃えた。ファンを殴ったらしい〉という文章からはじまる、女子高生の生き樣を描いた作品。著者の宇佐美りんは21歳。今期(2021年1月20日)の芥川賞を受賞した。「推し」とは、「あたし」こと山下あかり16歳が、追いかけるアイドルの上野真幸のこと。男女混成アイドルグループ「まざま座」のメンバーである。
Image_20210211110201推し、燃ゆ
宇佐美りん
河出書房新社
2020年

あかりの友人の成海は、ライブの後のチェキ撮影で触れ合えるメンズ地下アイドルに熱を上げている。あかりは推しに触れたいとは思わない。プラトニックにということだ。

あかりの部屋は推し中心にアレンジされている。最も目立つところに推しのサイン入りの写真が飾ってあって、周りは推しのメンバーカラーの青や水色や紺色の額縁に入ったポスターで飾られている。推しに対するあかりの思いは鬼気迫るものがある。
あかりは定食屋兼居酒屋でバイトしていて、1時間働くと生写真1枚が買える、2時間働くとCD1枚が買える、1万円稼いだらチケット1枚になる。
バイトで稼いだ金をつぎ込んでCDを50枚も買って投票したのに、グループ内順位は1位から5位に転落した。暴力をふるったことが響いたのだ。あれだけのことがあっても、応援してくれたことに感謝すると、推しは挨拶した。

あかりは推しの事件以来、歯車が狂ってぐじゃぐじゃになっていく。「もう生半可に推せなかった。あたしは推し以外に目を向けまいと思う」と決めた。バイトではミスを連発するし、このままだと留年になってしまうと担任に言われる。そして祖母が死んだ。無断欠勤が続き、バイトは辞めさせられた。高校も中退する。

推しの同棲が報道された。解散会見が行われ、推しは左薬指に指輪をはめていた。推しがいようといまいと関係がない。あかりは推しが住んでいるとSNSで流れた住所に行く。家に帰ってきて、綿棒のケースを床に投げつけた。綿棒を拾いながら、どうして普通の生活ができないのだろうと悲嘆にくれる。

本書は同年代の支持ばかりでなく大人たちの支持も得て、ベストセラーになっている。→人気ブログランキング

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