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2021年2月 4日 (木)

スイート・ホーム殺人事件

スイート・ホーム殺人事件の原題は、Home Sweet Homicide、1944年に発表されたオールタイムベストの常連作品。本書は新訳版。
ミステリ作家のシングルマザー・マリアンが育てる3人の子どもたちは、隣の家の殺人事件をマリアンが解決すれば宣伝になって、ミステリ書きの仕事が楽になると思っている。自分たちで事件の目処をつけて、マリアンが解決したことにしようとする。さらにマリアンと、事件担当のビル・スミス警部補が結婚してほしいと願っている。なんとも子どもらしい発想だ。
Photo_20210204083601 スイート・ホーム殺人事件
グレイグ・ライス/羽田詩津子
ハヤカワ・ミステリ文庫
2009年

カーステアズ家の長女14歳のダイナは忙しい母親の代わりを務めるしっかり者、12歳の次女エイプリルは学校で演劇クラスに入っていて、持ち前の演技力で関係者から情報を引き出していく。末っ子の10歳のアーチーは、2人の姉のいじられ役だが、外では悪ガキを統率する力を持っている。新聞記者だった父親はアーチーが生まれるとすぐに亡くなった。
マリアンは子ども達を信頼しているし、子ども達はミステリ書きで忙しくて家事ができないマリアンに代わって、手分けして家事をこなしていく。だから、家事作業の描写がしょっ中出てくる。子ども達は、タイプライターに向かうマリアンに、夕食を部屋まで運んでいくは、食後のコーヒーやタバコと灰皿を持ってくるはと、献身的にサービスする。
母の日に、それぞれが工夫を凝らしたプレゼントをマリアンに贈るシーンは心が暖まる。

隣のサンフォード家から、銃声が2回聞こえてきて、1台の車が猛スピードで走り去っていった。そして2台目の車も走り過ぎた。そのあと隣の家の前にコンパーチブルが停まり、女優のポリー・ウォーカーが降りてきて、家の中に入り悲鳴をあげて飛び出してきた。ミセス・サンフォードが銃で撃たれて死んでいたのだ。ポリーが警察を呼んだ。
そこで現れたのが、独身のビル・スミス警部補と「9人の子どもを育てた」が口癖のオヘア部長刑事。
子ども達が殺人事件をマリアンに話すと、それどころじゃない執筆が忙しいと乗ってこない。

5年間空き家だった建物が放火され、サンフォード宅から警察官が離れた隙に、ダイナとエイプリルはサンフォード宅に忍び込み、ミセス・サンフォードが保管していた書類と、肖像画の目に撃ち込まれた弾丸をくり抜いて持ち去った。弾丸は32口径の銃から発せられたもの。殺害に使われた拳銃は45口径だった。
火事の最中に、3ブロック離れた家のプールで三流のギャングが銃で殺され、ミセス・サンフォードが殺された銃と同じ銃が使われていた。

エイプリルとダイナは、サンフォード宅から持ち出した書類を調べはじめる。そこには、ミセス・サンフォードが強請りに使っていた関係者たちの書類であった。
サンフォードの家を警官が見張っているのに、近所に住む老婦人が入り込んで盗みを働こうとするし、ポリーの弁護士も無断で家に入ろうとして、警官にたしなめられる。さらに画家が藪の後ろに消えて、サンフォード家に入り込むチャンスをうかがっている。書類を盗み出そうとしているのだ。
殺されたミセス・サフォードが強請りなので、真犯人らしい人物が次々に登場する。
そしてミセス・サンフォード殺害事件と過去の未解決の殺人事件とのつながりが浮かび上がってくる。

子どもたちは、ビル・スミス警部補をディナーに招待して、マリアンとの仲を取り持とうと計画する。それにしても、カーステアズ一家は実に微笑ましい。まさにスウィートホームだ。→人気ブログランキング

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