甲賀忍法帖
73歳の家康は、秀忠のあとを国千代と竹千代のどちらにするかで迷っていた。
後継者選びを甲賀と伊賀の忍者対決で決めてはどうかと、天海僧正は提案した。伊賀が勝てば竹千代が、甲賀が勝てば国千代が三代将軍になる。
一方、甲賀と伊賀は和睦が成就しようとしていた。愛し合う甲賀弦之介と伊賀の朧が夫婦になれば400年にわたる甲賀と伊賀の悪縁が氷解する。しかし天海僧正のこの進言で、伊賀甲賀の10人ずつが選抜され、勝ち負けを競うことになってしまった。駿府城にたどり着けるのは甲賀なのか伊賀なのか。
甲賀忍法帖 山田風太郎 講談社文庫 1998年 |
その10人とは、甲賀は、甲賀源之助、その祖父の甲賀弾正、風待将監(かざまち しょうげん)、鵜殿丈助(うどの じょうすけ)、地虫十兵衛(じむし じゅうべえ)、室賀豹馬(むろが ひょうま)、霞刑部(かすみ ぎょうぶ)、如月左衛門(きさらぎ さえもん)
、陽炎(かげろう)、お胡夷(おこい)。
一方、伊賀は、お幻(おげん)、朧(おぼろ)、小豆蠟斎(あずき ろうさい)、朱絹(あけぎぬ)、蓑念鬼(みの ねんき)、夜叉丸(やしゃまる)、蛍火(ほたるび)、雨夜陣五郎(あまよ じんごろう)、薬師寺天膳(やくしじ てんぜん)、筑摩小四郎(ちくま こしろう)。
ここで、以下の4名の術を紹介する。
甲賀源之介、殺意を帯びて襲いかかる者を自滅させる瞳術の使い手。陽炎、彼女が欲情に駆られる時は、吐息が猛毒をおび、抱いた者は死に至る。朧、おっとりした温和な性格だが、見るmだけであらゆる忍法を破る破幻の瞳を生まれつき備えている。薬師寺天膳、伊賀の副首領、何度殺されても蘇る不死の術をもつ。初手では殺されることが多いが、これによって相手の忍術を見破り、再度戦っと時には相手を殺害する術を得意とする。
まずは、源之助の祖父・弾正と朧の祖母・幻が相見えた。かつて愛し合った二人だったが、術の掛け合いでお互い事切れた。これで9人対9人になった。
選抜リストの巻物は、1巻は鷲が掴んだまま伊賀鍔の谷に向けて飛び去り、もう1巻は風待将監が所持して甲賀に向かった。和睦決裂がいち早く伝わった伊賀者たちは、書状を甲賀に届けさせてはならないと、5人の伊賀者が風待将監の待ち伏せた。
そんなことはつゆ知らず、甲賀源之助と鵜殿丈助が伊賀の鍔の谷に向かっている。そこで源之助は朧と出会い、丈助は朧の世話をする朱絹にちょっかいをだす。源之助は朧と夫婦になれるとばかり思っている。
隠れ谷での宴は終わったが、朧によって集められた人々が本心から弦之助を歓迎する気持ちを抱いていたものが何人いたか。
ところが、伊賀者は風待将監を葬ったばかりでなく、卍の里に忍び込み、甲賀を襲った。和睦の日が迫っているのに伊賀者が襲ってきたことが、甲賀の古強者たちには解せなかった。
甲賀もその理由を知ることとなり、全面戦争に突入する。
相手を殺した者が次の相手と戦う、トーナメント戦のように、殺し合いが続く。
そして、最終段階に入り、残った甲賀伊賀の忍者たちは、駿府城を目指している。甲賀は弦之助と陽炎、伊賀は天膳と朧が残っている。
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