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2021年5月11日 (火)

殺人記念日 サマンサ・ダウニング

訳ありの怪しい女性を演じたらハリウッドでピカイチのニコール・キッドマンの主演で、本書の映画の企画が進行中だという。
夫婦で殺人を繰り返すという前代未聞のストーリーだ。テニスコーチのわたしの一人称単数で進行する。わたしの名前は最後まで明かされない。今年の翻訳ミステリの上位にランクする傑作。
Photo_20210511141701殺人記念日
サマンサ・ダウニング/唐木田みゆき
ハヤカワ文庫
2021年 ✳︎9

もともと、妻のミリセントは、「わたし」にとって手の届くような女ではないという。つまり、ミシセントに嫌われないようにという意識が主人公にはある。これが夫婦で連続殺人に手を染めた理由だろう。妻とうまくバランスをとってやっていくには、殺人が必要というわけだ。子どもは一男一女で、思春期にさしかかっていてなにかとややこしい問題を起こす。

最初の殺人はやむ終えない事情があった。
ミリセントは姉のホリーとの二人姉妹だった。子どもの頃、ホリーがミリセントの手を押さえて、親指と人差し指の間を紙で切った。その後、ミリセントは腕を骨折させられ、車に同乗して一歩間違えば死に至る事故に遭わされた。警察はホリーがミリセントに殺害の意図をもっていたとした。そしてホリーは精神病院に入れられた。23年後退院した。
退院したホリーはミリセントにストカーのようにつきまとうようになった。ホリーは家にやってきてミリセントに襲いかかった。わたしは、テニス・ラケットをホリーの頭に振り下ろして殺した。遺体は見つからないように山に穴を掘って埋めた。

2人目も仕方がなかった。
ホリーはパートタイムで食料雑貨店の品出しの仕事をしていた。主人公はホリーの仕事場に行って家族に手出しをするなとホリーに告げた。大声で怒鳴り合うのをロビンが通路の端で見ていた。ロビンがわが家に現れて警察に徹底的に調べてもらうと言った。帰すわけにいかなかった。ワッフルパンでミリセントがロビンの頭を殴って殺した。
ふたりの女性をやむおえない理由で殺したが、ミリセントと力を合わせたことによる達成感が快感であった。それが次の殺人の呼び水となった。

その後、主人公は標的にする女を見つけ出そうと、聴覚障害者を装って女をあさった。浮気に発展したこともあった。息子が不倫に気づいて、ミリセントに知られたくないならゲーム機を買ってくれと強請ってきた。

かつて、この町で9人の女性の連続殺人事件が起きた。逮捕された犯人オーウェン・オリバーは、警察の捜査手順の過ちで釈放され、町から姿を消した。
殺人をオーウェンの仕業に装うために、主人公はリポーターのジョッシュに、オーウェンになりすました手紙を送り付けていた。その手紙により警察は振り回された。また、住民たちはオーウェンの影に怯えていた。そのせいで、友人の妻が自殺し、娘のジェンナは精神が不安定になった。

流れが変わったのは、イギリスに住んでいるオーウェンの妹が、オーウェンはすでに死んでいると訴えたことだった。そして、連続殺人事件の担当が辣腕のクレア・ウェリントン刑事に変わった。これを機に夫婦は追いつめられていく。→人気ブログランキング

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