拡がる環 ロバート・B・パーカー
私立探偵のスペンサーは、上院議員に立候補した共和党のミード・アリグサンダー下院議員の警護を引き受けた。アリグザンダーに、妻のロニーが若い男とベッド上で戯れているビデオテープが送られてきた。アリグザンダーは上院議員選挙の立候補を止めて、対立候補のロバート・ブラウンを応援するようにと脅されている。
スペンサーに与えられたミッションは、ロニーに気づかれることなく解決すること。そのためにはアリグザンダーは上院議員戦から撤退し、相手の応援に回ることも辞さないという。
拡がる環 ロバート・B・パーカー/菊池光 ハヤカワ文庫 1991年 |
スペンサーは、ボストン・グローブ紙の友人にロバート・ブラウン候補についてのあらゆる情報を要求した。その資料を隈なく調べると、ブラウンの演説会の写真に映るギャングの手下を発見した。
アリグサンダー陣営のビラ配りの大学生がふたりの男に妨害された。ビラ配りを邪魔するごろつきををスペンサーは駐車区域で殴り倒した。その1人から、指示を出したルイスにたどり着き、その上にギャングのジョウ・ブロウがいることをつきとめた。
ロニーのフィルムを公開されればアリクザンダーが当選する可能性はゼロになる。
彼はそれを乗り越え、場合によっては逆効果になって、人々がブラウンの仕業と考え、同情票が集まるかも知れない。警察とFBIが乗り出してくるかも知れない。しかし、当選はできないだろうというのがスペンサーの予想だ。
スペンサーはアリクザンダーのオフィスで、ロニーのセックスビデオを何回か見た。筆立てに使っているジョッキーにジョージタウン大学の友愛会のロゴがあった。スペンサーは窓に映る建物から、そのフィルムが撮影されたアパートを割り出した。その部屋に住むのはジョウ・ブロズの息子ジェリイだ。浴室の鏡が片面素通しの鏡だった。ビデオはそこから撮影されていた。
ジェリイを尾行してつかんだことは、自分のアパートで高校生を相手にコカインを売りその代金が払えないと、セックスで払わせる。コカインを売りさばき、中年の女と未成年をアパートに集め乱行パーティをやり、ポルノ・フィルムを撮っている。
スペンサーは父親のジョウ・ブロズに直接交渉する。
父親に認めてもらいたいというジェリイの単独行動だった。ジョウ・ブロウは二つの道をとることができる、スペンサーを殺して、息子に関する証拠を誰にも渡していないことを願う。もうひとつはスペンサーの要求を認めて脅しを止めることだ。→人気ブログランキング
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