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ストリート・キッズ ドン・ウィンズロウ

上手い文章の小説を読みたい。読み手が唸るような言葉遣いとか、会話の妙味とか、予想を超える比喩とか、意表を突く小咄の挿入とか、真似したくなるような文章を読みたい。本書はその要求に答えてくれる。
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ドン・ウィンズロウ/東江一紀 訳 
創元社推理文庫 
1993年

ドン・ウィンズロウのデビュー作。ニール・ケアリー探偵シリーズ第1作。
父親は姿を見せず母親はヤク中だったから、ニールは文なしで、11歳の頃から探偵の技術をニールが「父さん」と呼ぶグレアムに仕込まれた。グレアムは朋友会に属している。
朋友会は、ロードアイランド州プロヴァンスの代々銀行を経営するキタリッジ家が、私的な厄介事の処理に作った組織だ。

頭がいいニールの朋友会における待遇は破格だった。アイビーリグの大学に通い、そのあと大学院に行き、学費は全部会長持ち。いつまでもで会で働く気はないと会長に手紙を書いた。それなのに英文学のゼミの試験の2週間前に呼び出された。ニールは英文学の教授になりたいのだ。単位を落とせば落第の憂き目にあうが、そこはなんとかなるといわれた。

ニールに課せられたミッションは、3ヶ月前に家出したチェイス上院議員の娘アリー(アリソン)を連れ戻すことだ。ロンドンで元同級生が修学旅行中にアリーを見かけて話しかけたが、逃げたというのが最後の目撃情報だ。
17歳の娘が行方不明になっているというのに、警察には知らせていない。
チェイス上院議員は副大統領に指名されると見込んでいる。つまり醜聞は隠蔽したいということだ。母親のエリザベスによれば、アリーは大好きな父親に性的虐待を受けたことが原因で、家出をし麻薬に手を出したという。アリーは主人の子じゃない、それは夫も知っているという。

アリーに会った同級生の話によれば、アリーは麻薬の売人に囲われて売春をしているという。今は5月29日、アリーを見つけてヤク抜きをして、8月1日の民主党全国大会 には連れ戻さなければならない。アリーを連れ戻したら、復学が認められる。

そんなわけで、ニールはイギリスに渡りロンドンをうろついてアリーを探すが、1週間は情報なし。そして、レストラン窓ガラスの向こうについにアリーを見つけた。他に2人の男と、女1人がつるんでいた。
4人に近づき、探偵修行で培った手練手管で4人の信用を勝ち取った。

稀覯本売買の儲け話を持ちかけてアリーを誘拐する計画だ。母親がヤク中だから、ニールは麻薬からの脱却法も脱却の際の苦しみも、十分に知っている。
アリーを中毒から脱却させる過程はふたりの愛が育まれていく過程だ。本書はハードボイルドであり恋愛小説でもある。→人気ブログランキング

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