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ルート66を聴く アメリカン・ロードソングはなにを歌っているのか 朝日順子

シカゴからロサンゼルスに至るルート66に関連したブルース、カントリー、ロックンロールの楽曲のそれらが生まれた背景と歌詞の意味、果たした役割を探る。「アメリカの真ん中の道」ルート66には、語るべき数多のエピソードがある。
著者は子どもの頃から洋楽に親しみアメリカ在住経験が何回かある。職業は翻訳家、音楽ライター。イベント出演や執筆の仕事に携わってきた。ロックの歌詞を解説するトークイベントを行なっている。
本書では日本であまり知られていない、アメリカ中西部と南部の風土や文化、そこに住む人々が何を考えているかを歌詞から紐解き、著者自身の体験も記したという。本書の情報は幅広く深くマッシブだ。著者の音楽を語る熱量は凄まじい。
66ルート66を聴く アメリカン・ロードソングはなにを歌っているのか
朝日順子(Junko Asahi
青土社 
2021年 234頁

第1曲目は、『On the Road Again』(ウィリー・ネルソン)を紹介する。本書のテーマ「アメリカン・ロードソングはなにを歌っているのか」を表す象徴的な曲だ。
オン・ザ・ロードの生活とは、音楽家が主に車両で長距離を移動する状態を示す。一番の稼ぎ時である夏は、フェスティバルでのライヴに出演するためにアメリカ全土を移動する。真冬以外は、ライヴハウスだけでなくグリルのような大きめのレストランからホテルのラウンジまで、文字通りドサ回りをする。
ローリング・ストーンズのようにスタジアム級のコンサートをやるバンド、小さな会場でのツアーを何年も続けるバンド、昔は大規模なコンサートをやっていて、今は小規模なギグを地道に続けるバンドとさまざまだが、いずれにしても彼らのロードは果てしなく続く。 

スタインベックの『怒りの葡萄』は、30年代にオクラホマ、テキサス、アーカンソーなどの中西部の州の人々(オクラホマの人が多かったためオーキーと呼ばれる)が、砂嵐で耕作不能となった土地を捨てて、ルート66を進行しカリフォルニアに向かう物語である。
ボブ・ディランに影響を与えたウッディ・ガスリーはオクラホマの出身で、オーキーたちと共にカリフォルニアを目指す旅に同行した。そのあとニューヨークに戻ったウッディはスタインベックと友達になり、『怒りの葡萄』についての曲をアルバムに載せたという。

ブルースはミシシッピー州を中心にしたディープサウスで生まれ、北上しシカゴで花開いた。一方、ロッックンロールは、それほど単純ではない。
アメリカンロックの源泉は路地裏だという。どんなに成功して金持ちになっても、ルーサー精神を失ったら、もうそれはロックではない。エルヴィス・プレスリーに代表される音楽ジャンル「ロカビリー」は、白人を蔑視する言葉「ヒルビリー」とロックンロールを合体して名づけられた。

自由であるからこそ逆に不自由であることが、反抗の文化であるロックがアメリカで発展した理由の一つだと思っているというのは示唆的だ。日本では世間体を大事にする親が多いが、アメリカでは自分の嗜好や思考を押しつける親が多いことが、反抗を生み出しているという。

“motor (車)”と“hotel (ホテル)”を組合せた造語「Motel」と呼ばれる世界初のモーテルがカリフォルニアに誕生したのは1925年。これはルート66が開通した翌年というトリビアが楽しい。→人気ブログランキング

ルート66を聴く アメリカン・ロードソングはなにを歌っているのか/朝日順子/青土社/2021年
ルート66をゆく―アメリカの「保守」を訪ねて/松尾理也/新潮新書/2006年

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