ポケットにライ麦を(新訳版) アガサ・クリスティー
1953年発刊。ミス・マープル・シリーズの6作目にあたる。『そして誰もいなくなった』と同じようにマザーグースの童謡にみたてた、見たて殺人である。投資信託会社の社長レックス・フォーテスキューが毒を盛られ殺害された。レックスの上着のポケットにはライ麦が入っていた。使われた毒はイチイの実から抽出されるタキシン。
「水松(イチイ)荘」のと呼ばれるロンドン郊外のレックスの館には、レックスより30歳も年下の二番目の妻アデルとその愛人、長男夫婦、娘とその恋人、レックスの死んだ妻の姉、そして使用人たちが、複雑な人間関係のなかで暮らしていた。そこに放蕩息子の次男夫婦がアフリカから帰ってくる。
その日の朝、レックスは、妻、娘そして長男の妻の3人と朝食を共にした。
ポケットにライ麦を(新訳版) アガサ・クリスティー/山本やよい ハヤカワ文庫 2020年 |
客間での午後のお茶の時間に、犯人の疑いがかけられていたアデルが、マフィンを手にしたまま青酸カリで殺された。そして、おどおどしていた小間使いのグラディスが姿を消し、ストッキングで首を絞められて殺された。
こうして3人が殺されたのだ。
ニール警部は家政婦のミス・タブに話を聞く。
旦那様はきわめて不愉快な方でしたから、誰が犯人であってもおかしくないとミス・タブはいう。それに商売のやり方もアコギだったから、商売相手から恨まれている。
ミス・タブは、若く知性があり、家政婦をさせておくには勿体ないと警部はいう。
長兄は看護婦と結婚というヘマをやらかした。一方、放蕩の弟は曲がりなりにも貴族と結婚したから父親は満足だった。しかも、亡くなる前に父親は長男と、激しい言い争いをしたという。
ミス・マープルは新聞を3紙買って颯爽と汽車に乗り、それを読んで水松荘を訪れた。ミス・マープルは同じ郷里の娘グラディスに行儀見習いを教えたことがあった。その娘が殺されて、犯人は悪ふざけをして、遺体は洗濯ばさみで鼻をつままれていた。それを知ったミス・マープルは激昂した。
事件の様子が、マザーグースに出てくる「クロツグミの歌」とぴったり合うと、ミス・マープルは警部に告げた。
それが告げられたのは、ストーリーの真ん中あたり。→人気ブログランキング
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ポケットにライ麦を(新訳版)/山本やよい/ハヤカワ文庫/2020年(1953年)
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