雨・赤毛 モーム短編集Ⅰ サマセット・モーム
高校の英語の副読本か、自分が選んだ参考書か、あの頃、原文で英語の文学作品を読むことが流行っていた。それはサマセット・モームの小説だった。「爪の形」についてと、「レストランの勘定書の数字をかろうじて読める程度の照明」という場面が描かれていたことを思い出した。そのモームの小説は何か、それが気になってしょうがなくなった。ともかく、サマセット・モームなのだ。最も可能性が高いと踏んだのは『月と六ペンス』だが、そのような場面はなかった。『ジゴロとジゴレット』もハズレだった。
同級生との酒の席でこのことを話題にしたら、モームの副読本は『雨』『アシュデン』という情報が流れてきた。早速、『雨・赤毛』を読んだが、どちらの場面も出てこなかった。
雨・赤毛 モーム短編集Ⅰ サマセット・モーム/中野好夫 新潮文庫 1959年 213頁 |
本書には、モームのいわゆる「南海もの」の3作品が収録されている。
雨
南の島で熱心に布教を続けてきたデヴィッドソン夫妻は、医師夫妻とともに雨で足止めを食っている。そこに27歳の女が登場して、同じ宿に足止めされ、数人の船乗りを部屋に入れ酒盛りをはじめる。デイヴィドソンは女を悔い改めさせようと、徹夜で神の教えを説くが、思い通りにはいかない。雨の降り注ぐなか事件が起こる。
赤毛
船長は島のニールソンの家を訪ねた。書物に囲まれた家だった。ニールソンは船長とどこかで会った記憶があるという。
ニールソンが話し始める。相思相愛の美貌の若い男レッドと娘が一緒に暮らしていた。レッドはある日いなくなり、娘はレッドの帰りを待った。
そして30年たった。娘はニールソンの妻となりふくよかな体つきになった。
ホノルル
バトラー船長は以前に船を沈めて乗客員を溺死させたことで、免許を剥奪された。それでハワイの中国人が経営する船会社の小さな船の船長をしている。
丸々とした船長は、女にもてる。船室には価値のありそうな見事なふくべがあった。それを手に入れた話を聞く。→人気ブログランキング
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雨・赤毛 モーム短編集Ⅰ/サマセット・モーム/中野好夫/新潮文庫/1959年
月と6ペンス/サマセット・モーム/金原瑞人/新潮文庫/2014年
ジゴロとジゴレット/サマセット・モーム/金原瑞人/新潮文庫/2015年
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