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2023年1月20日 (金)

バタフライ・エフェクト T県警警務部事件課 松嶋智左

文庫書き下ろしの作品。
主人公の明堂薫はバツイチ、社会人の息子がいる。
薫は、県警本部に新設された「事件課」に配属された。事件課は女性4名男性2名で構成されている。最近の広範囲にわたる事件に対応して、部課の垣根を超えて慣習に縛られることなく捜査活動というのが、作られた主旨だ。
T_20230120144301 バタフライ・エフェクト T県警警務部事件課
松嶋智左
小学館文庫 
2022年11月 316頁

事件課が開設して早々に、別の警察署のトイレで首吊り遺体が発見された。遺体は入署2年目の交番に勤務する静谷永人巡査24歳だった。
薫たちが署内を調べまわることに署員たちはいい顔をしない。自殺の捜査を行うのは、今後同じようなことが起きないようにという意味と、上から命令された仕事だからという理由だと言って聞き取りを行った。

県警本部の音楽隊に所属する姉の静谷朱里から聞き取りをする。朱里は弟の死にほとんど感情を表さなかったが、音楽隊という言葉に反応して、「音楽隊ではありません。カラーガード隊です」と強く言ったという。そこに薫は疑問をもった。そこには姉弟の複雑な事情があった。
カラーガード隊とは、マーチングバンドにおいて、フラッグ、サーベルなどの手具を用いて、視覚的表現を行うパートである。朱里が属するカラーガード隊は日本一の実力があり、国際大会への出場が確実視されている。

栄人の警察学校からの同僚に話を聞くと、チクったとわかったらその人間も栄人の二の前になるという。パワハラがあったのだ。永人は警察官になってはじめての交番勤務で失態があった。半年で別の交番に移されたが、その後も執拗ないじめが続いた。

自殺の捜査に加え、ふたりの女の2件の窃盗事件の誤認逮捕が発覚した。ふたりにはアリバイがあるとの証言者が現れたのだ。伝説の刑事と謳われ若い警察官の憧れとなっている人物が課長を務める署で、失態はなぜ起きたのか。ふたりは何かを隠している。
薫たちが調べを進め謎が解明されるにつれ、署内に驚天動地の闇が潜んでいることがわかってくる。

「バタフライ・エフェクト」というタイトルが示唆するように、ふたつの一見なんの関係がない事件であるが、実は背景で繋がっていた。→人気ブログランキング
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