23分間の奇跡 ジェームス・クラベル
本書は『出会い系サイトで70人と実際に会ってその人に合いそうな本をすすめまくった1年間のこと 』(花田菜々子/河出文庫/2020年)のなかで、紹介されている。
23分間の奇跡 ジェームス・クラベル/青島幸男 集英社文庫 1988年 |
ちょうど9時に、子供たちの教室に新しい若い女教師が現れる。女教師は子供たちに国旗を切り刻ませ、その布切れを持って帰るように言う。国旗の竿を窓の外に捨てさせる。なにを質問してもいいと女教師は言うが、子供たちはいぶかる。
父親が連れ去られたことで新しい女教師に反感を持つジョニーが不満をいうと、女教師は「父親は間違った考えを抱いていたので、大人のための学校へ行っている」と教える。
女教師は子供たちに目をつぶって「キャンディーが欲しい」と神様の代わりに自分たちの指導者に祈るようにと言う。ジョニーはみんなが目を閉じている隙に、女教師がキャンディーをそれぞれの机に置いたことを見ていて教師を難詰する。しかし、女教師はジョニーの機智を褒め、キャンディーをくれるのは神ではない誰かであり、神に祈っても無意味であることを子供たちに教える。
自分の教えたことを子供たちがほぼ受け入れたと判断した女教師が時計を見ると、9時23分であった。
体制が変わった。民主的を装っているが、不満分子は投獄され、宗教は否定され、子供たちに信用させるためキャンディという富が新しい支配者から分配された。→人気ブログランキング
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