アンソロジー カレーライス!!大盛り 杉田純子編
カレーは、縦はピンからキリまで、本格派から学校給食まで、横の広がりは日本からインド東南アジア、英国まで、その種類は縦横無尽なのだ。インドやネパールやタイやビルマのカレー、子供の頃に食べたカレー、わが家の秘伝のカレー、あとは立ち喰いで飲んだ後に食べるカレーなどが綴られている。
推し並べて、高級ホテルのカレーは旨くないという評価。仰々しいのは旨くないということなのだ。
アンソロジー カレーライス!!大盛り 杉田純子編 ちくま文庫 2018年 317頁 |
寺山修司の「歩兵の思想」は、いずれも歩兵であるが、堅実なライスカレー人間よりもラーメン人間のほうがいく分可能性が持てるというもの。
阿川弘之の「米の味・カレーの味」の中で、カレーの主なスパイスは漢方薬であるという記述がある。そう指摘されればそのとおりだ。
〈ターメリックが漢方の止血薬鬱金、グローブは丁子、フェンネル茴香、シナモン桂皮、ナツメグの肉荳蔲とカルダモンの小荳蔲は共に健胃剤、オレンジ・ピール陳皮、クミンが馬斤でキャラウェイが姫茴香。〉
「ビルマのカレー」(古山高麗雄)カレーは懐かしさで食べている。味ではないというもの。
角田光代の「カレー、ですか・・・・・・」は説得力がある。
〈妻や恋人のいる男性に、「彼女の作る料理で一番好きなのは何?」と訊ねたときに、彼女たちをがっかりさせる答えは「カレー」である。〉というもの。1番好きなものとしてあげるのは、妻や恋人の手料理をありがたく食べていない。だからカレーという彼女たちをがっかりさせる不適切な答えが出てくるという見解だ。
内館牧子の「カレーライス」は、著者が相撲やプロレスにのめり込んだのは幼少の頃からで、体の大きい人が好きだったという。幼少期の内館はいじめられていたから、相撲のひとり遊びをする気味の悪い子だったという。垣間見た若手プロレスラーの食べっぷりが、見事だったという話。文章が生き生きとして上手い。力が入っている。→人気ブログランキング
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