ランチ酒 原田ひ香
人情話とB級グルメとの取り合わせが絶妙の人気のシリーズだ。
犬森祥子はバツイチで31歳。亀山太一が社長を務める「中野お助け本舗」に勤務する「見守り屋」である。仕事をする時間は、夜の11時からから翌朝5時まで。様々な事情を抱える客のニーズに応える。キャバクラ嬢の娘の子守りであったり、老犬の世話であったり、アルツハイマーの老婆の相手など、寝ずの番で見守る。
ランチ酒 原田ひ香 祥伝社文庫 2020年10月 322頁 |
祥子を支えてくれるのは、北海道の高校の同級生である亀山と幸恵。東京に出てきたときも、離婚して娘をおいて家を出たときも2人の世話になった。亀山には仕事を与えてもらったし、住居も安く提供してもらっている。
小学校2年になる娘とは、月に1回会うことになっているが、元夫の都合で会えないこともある。
仕事が終われば、待ちに待ったライチタイムである。店が開く午前11時に入店し、日の高いうちに堂々とランチ酒で喉を潤しながら料理に舌鼓を打つのが、祥子にとって至福の時だ。何しろ仕事を終えてのランチ酒である。誰に気兼ねすることもない。
あるときは肉丼に芋焼酎のロック、次の日はラムチーズバーガーにビール、別の日は回転寿司に冷酒、そして焼き魚定食にビールなど、勤務場所とその日の気分で店を選び、メニューと飲むものを合わせる。
幼い娘を引きとれなかった負目を背負って、「見守り屋』の仕事で試行錯誤を繰り返し、ランチ酒を生きる糧するアラサー女の泣き笑いが描かれている。→人気ブログランキング
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