エンジェルフライト 国際霊柩送還士 佐々涼子
国際霊柩送還とは、海外で亡くなった日本人の遺体や遺骨を日本に搬送し、日本で亡くなった外国人の遺体や遺骨を祖国に送り届けることである。国際霊柩送還という言葉はエアハース・インターナショナル株式会社の登録商標であるという。
本書は、国際霊柩送還士の姿を通し、死のあり方を見つめるノンフィクション作品である。
エンジェルフライト 国際霊柩送還士
佐々涼子
集英社文庫
2014年11月
エアハースのメーバーは、社長の木村利惠以下、梨恵の息子利幸は国際霊柩送還士、遺体処置・ドライバーを兼務するオールラウンダー、古箭厚志はドライバー兼雑役係、通常この4名で業務をこなす。利惠は、髪を赤く染めて豹柄の派手なブラウスを着て、ヘビースモーカーなのだ。
エアハースは年間200体から250体の遺体を運ぶ。海外から搬送される遺体は航空機内の気圧の関係で90%以上が体液の漏れを起こす。遺体は車内で必要な処置をされてから、家族の元へ送り届けられるのだ。遺体に対しては、キメの細かい愛情のこもった扱いが
行われている。しかし、丁寧に扱われていない遺体も送られてくるが、それらに対しても技術を駆使して対応する。
遺族の状態を思いやる記述がある。葬儀まで遺族はほとんど寝ていない。遺族が眠れるようにゆったりとしたスケジュールを組んだ方がいい。そしてゆっくり説明したほうがいい。
エアハースは、世界各国の葬儀社がブースを出して行うフューネラルエキスポにも何度参加して、世界各国の葬儀社と交流を図っている。アメリカ、イギリス、スペイン、フランス、ウガンダ、南アフリカ、ボリビア、アイルランドなどである。お互いどれだけ誠実に遺体の処置をしているかが、彼らの人柄を表している。
著者の佐々涼子は、早大法学部卒、専業主婦として子育てしながら、日本語教師等を経てノンフィクションとしてデビューした。2012年、『エンジェルフライト 国際霊柩送還士』(集英社)で第10回開高健ノンフィクション賞を受賞。2014年、『紙つなげ! 彼らが本の紙を造っている 再生・日本製紙石巻工場』でダ・ヴィンチ BOOK OF THE YEAR 第1位。2020年『エンド・オブ・ライフ』(集英社インターナショナル)で第3回Yahoo!ニュース本屋大賞ノンフィクション本大賞を受賞した。
2023年1月、Amazon Originalドラマ『エンジェルフライト 国際霊柩送還士』の主演・米倉涼子ほかのキャスト、ならびに同年3月17日世界同時配信であることが発表された。
2024年9月、悪性脳腫瘍のため死去。享年56。→人気ブログランキング
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