謎の香りはパン屋から 土屋うさぎ
2025年第23回『このミステリがすごい』大賞受賞作。
パン屋で繰り広げられるプチなミステリ。
焦げたクロワッサン
大阪の豊中市にあるパン屋「ノスティモ」のありがたいところは、残りのパンをバイトの小春にわけてくれること。小春は漫画家を志しているが、才能がないことを気付いている。親友の由貴子は170センチのモデル体型で、近寄りがたいクールな雰囲を醸し出している。由貴子が何かを隠しているっぽいと小春は勘づいた。それで、小春を欺く行動をとるが、小春の鋭い推理に真相が明らかになる。由貴子は派遣のバイトで推しの俳優と遭遇して仲良くなっていた。小春は由紀子を祝福する。
夢見るフランスパン
先輩はシフトをすっぽかして熱海にいる。パテシスリーの堀田さんが助っ人としてきた。切れ目(クープ)を入れる段になって、堀田さんが悲鳴をあげてナイフを落とした。あとは私が感じてなんとか仕上げた。堀田さんはフランスパンにクープ入れる作業ができなくなった。小春は原因を推理していく。人の腕は似フランスパンに似ている。
この話のキーワードは、金属アレルギー、ひび割れ恐怖症、リスカットだ。
恋するシナモンロール
漫画家志望者とって、夏は新人賞が乱立する勝負の季節。投稿した作品は、女子校高校生とゲームマスターを組み合わせた恋愛テーマだ。
「明太子フランスが焼きあがったよ」と声をかけられ、受け取った小春は、「焼きたてでーす!」と店内のお客に知らせた。明太子フランスにはも目もくれない、高校生カップルと豹柄おばちゃんの2個のシナモンロール争奪戦は、女子高生の勝利だった。
高校生カップルの道長と美桜は、美桜がコーヒーを溢して喧嘩になって、美桜はトイレに入った。私は美桜が何かの隠しているのではと疑った。野球部のキャッチャーの道長を慕うマネジャーの桃香がいる。 高校生の恋愛事情。
さよならチョココロネ
投稿していた漫画の落選の知らせを電話で受けとった。
店長は売れないからチョココロコの製造を止めるという。断固反対すると、レナ先輩はチョココロネに対する思いを語った。私も反対の立場の立つことになって、えらいことに巻き込まれてしまった。凛ちゃんのママはバイクに乗った男にひったくりあった。ハンドバッグを奪おうとしてバッグは地面に落ちた。ママの財布に目もくれず凛ちゃんの財布を持ち去った謎。謎は何だ。
思い出のカレーパン
仕事一筋のご主人は朝帰りになることもあった。そのご主人が、定年退職の後、突然亡くなった。30年前主人がいつも買ってきてくれたカレーパンを、梢江はもういちど食べたいと思った。そのパン屋はすでに閉店している。
さんざん調べると、ヤマダパンのお弟子さんが豊中で別のパン屋のオーナーをやっていて、その味を引き継いでいるという。そのパン屋は『ル・マレ』という店だった。
その店のカレーパンを梢江に食べもらうと、ご主人の味だった。
エピローグ
季節は春。
『ベーカリーまんぷく』は、独立した福尾さんと永瀬の店だ。小春は久しぶりに訪れた。
この店の窓ガラスには私が書いたロゴで飾られている。残ったパンを貰いたくて「ノティスモ」に勤めはじめた。それから1年が経つ。スマホが震えた。編集者からだ。送っていたマンガが採用された。



