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2025年10月

2025年10月28日 (火)

ブルーボーイ事件 中川千英子

1965(昭和40年)、高度経済成長のもと国際化に向け売春の取り締まりきびしくなった。東京オリピック、大阪万博と国際的なイベントが続く中、世界に向けてクリーンな日本をアピールしようとする国の方針に従い、赤坂書が売春婦を取り締まりしたところ、手術を受けた男娼がいた。ブルーボーイと呼ばれる、性転換手術を受け、体を女性的に変えた者たちである。戸籍は男性のまま女性として売春する彼女たちは売春防止法では摘発対象にならない。そこで、警察は生殖を不能にする手術は、優生保護法に違反するとして、性転換手術を行なった赤城医師を逮捕した。

ブルーボーイ事件
中川千英子 朝日文庫 2025年10月
2025年11月14日公開
飯塚花笑 監督 
脚本:三浦毎生 加藤結子 飯塚花笑
日活/KDDI 配給

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坂口吉郎の名を捨てて、サチになってから7年過ぎ、恋人の若村篤彦と同棲して1年になる。サチはオフィス街にある喫茶ビーナスのウェートレスとして働いている。篤彦は次の開発チームに抜擢されて仕事は順調だ。篤彦が結婚指輪を渡そうとすると、サチは「ちゃんと女になってからにして」と言った。
そんなある日、弁護士の狩野がサチのもとを訪れる。赤城の弁護を引き受けた狩野は、証人として出廷して欲しいと依頼する。今の生活を壊したくないと証言を拒んだものの、赤城が逮捕され残りの手術ができなくなった。
新たな医師を探すうち、かつて働いていたゲイバーの同僚アー子(桐島)と再開した。自分のバー『アダム』の開店の奔走するアー子は、裁判での証言を決めていた。一方、ブルーボーイたちの元締めとして働くメイも承認を引き受けるが、和装で現れた彼女はこんな裁判は茶番だとバカにする。
アー子が証言台に立つ日がやってきた。手術の正当性を証明したい狩野は、アー子たちは「性転換症というか精神疾患を「抱えた人々であり、手術はその治療の一環である」主張した。その言葉にアー子は猛然と怒り、自分は「女として普通に生きたいだけだ」と声を荒げる。そんなふたりを傍聴席のサチは不安げに見つめていた。

アー子の店『アダム』のオープン記念リサイタルは延期された。アー子は2〜3日経って遺体で発見されて、死因は撲殺だった。

赤城医師は、「正当な医療行為と認めることはできない。40万円の罰金刑に処する」と、有罪判決を受けた。このとき、性転換手術に至る5つの指針が示された。
1977(昭和48年)、カルーセル麻紀がモロッコで手術を受けたことが話題になった。
1998(平成10年)、埼玉医科大学病院で「公に認められた医療行為として性転換手術が行われた」と報じられた。

狩野弁護士は、角を曲がったところで足を止めた。鮮やかな水色のワンピースを着た女性が帰宅した男性から楽しそうに鞄を受け取っている。ふたりはそのまま小さな商店に入っていった。商店の看板には『テーラー サチ』とあり、ショーウィンドウーには女性物のワンピースが飾られていた。
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2025年10月19日 (日)

おーい、応為(映画)

応為に関する本は2冊読んでいた。『北斎と応為』(キャサリン・ゴヴィエ モーゲンスタン・陽子 彩流社 2014年、『眩(くらら)』(朝井まかて 新潮社 2016年)である。
『北斎と応為』は、応為の生涯を、カナダ人女性作家が描いた異色の歴史小説。応為は北齋が40歳くらいのときに生まれ、本書では還暦過ぎまで生きた設定であるが、実際は生没年不詳で資料は乏しい。『眩』は、お栄の出戻りの姉が息子の時太郎をおいて、あっけなく亡くなってしまう。後年この時太郎が北斎親子の厄介の種になる。
映画の原作は、飯島虚心の 『葛飾北斎伝』(岩波文庫)と杉浦日向子 の『百日紅』(筑摩書房)。
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おーい、応為
監督・脚本:大森立嗣
原作:飯島虚心『葛飾北斎伝』(岩波文庫)
杉浦日向子『百日紅』(筑摩書房)より「木瓜」「野分」
配給:東京テアトル、ヨアケ
2025年10月17日公開

北斎がいつも「おーい、おーい」と呼んでいたので、雅号が応為となったという。長澤まさみが
着流し気風のいい応為(お栄)をクールに演じている。
北斎(永瀬正敏)の三娘であるお栄は絵師に嫁ぐが、夫の絵を見下して離縁される。というか、啖呵を切って家を出ていく。
北斎のもとに戻ったお栄は、北斎と生涯をともにすることになる。2人が暮らす貧乏長屋は画材や絵で散らかり放題で、茶も入れられず針仕事もできないお栄だが、絵の才能だけは父親譲りだ。女性の浮世絵師として、絵を描くことに生涯を捧げる。お栄の姉弟のような友情で結ばれるよき理解者となる浮世絵師・渓斎英泉を、髙橋海人(King & Prince)演じている。

北斎は絵の具代には糸目をつけないが、絵以外には無頓着で、出前をとって暮らしたうえ、掃除が嫌いで引っ越し魔だ。90年の生涯になんと93回、ひどいときには1日に3回も引っ越したという。雅号は30回変えている。家財道具と愛犬さくらを大八車に乗せ、応為と共に引っ越しを繰り返す。派手な出来事はないが、出戻り女ののらりくらりの日常が描かれている。

北斎は「美人画では娘にかなわない」と応為を高く評価していたという。北斎のサインがある作品のなかにも、実際には応為が描いたあるいは部分的に手伝ったとされるものがあるといわれている。
お栄は代表作『吉原格子先之図』を描こうと吉原の芸妓を観察する。妓楼のなかで灯りに照らされる花魁たちを、闇夜に紛れてお栄が見つめるシーンがある。『吉原格子先之図』は、レンブラントの絵と並び称されるほどの光と影を巧みに操った傑作である。

公式サイト:https://x.com/oioui_movie

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2025年10月 6日 (月)

テルマ&ルイーズ

今日昼(20251006)、NHKBSで『テルマ&ルイーズ』をやっていました。中年女性ふたりの破天荒なロードムービーです。私とってはとても印象に残ってる作品です。最後は悲しくも痛快でした。と言っても、今回は観ていません。

井上荒野がオマージュ作品と思われる『輝子と瑠衣』(https://www.amazon.co.jp/照子と瑠衣-井上荒野/dp/4396636512)を書いています。主人公は70歳の女性二人です。風吹ジュンと夏木マリのダブル主役でテレビドラマ化されました。
https://www.web.nhk/tv/pl/series-tep-J88113RN6Q

 

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