« テルマ&ルイーズ | トップページ | ブルーボーイ事件 中川千英子 »

2025年10月19日 (日)

おーい、応為(映画)

応為に関する本は2冊読んでいた。『北斎と応為』(キャサリン・ゴヴィエ モーゲンスタン・陽子 彩流社 2014年、『眩(くらら)』(朝井まかて 新潮社 2016年)である。
『北斎と応為』は、応為の生涯を、カナダ人女性作家が描いた異色の歴史小説。応為は北齋が40歳くらいのときに生まれ、本書では還暦過ぎまで生きた設定であるが、実際は生没年不詳で資料は乏しい。『眩』は、お栄の出戻りの姉が息子の時太郎をおいて、あっけなく亡くなってしまう。後年この時太郎が北斎親子の厄介の種になる。
映画の原作は、飯島虚心の 『葛飾北斎伝』(岩波文庫)と杉浦日向子 の『百日紅』(筑摩書房)。
Photo_20251028172601

おーい、応為
監督・脚本:大森立嗣
原作:飯島虚心『葛飾北斎伝』(岩波文庫)
杉浦日向子『百日紅』(筑摩書房)より「木瓜」「野分」
配給:東京テアトル、ヨアケ
2025年10月17日公開

北斎がいつも「おーい、おーい」と呼んでいたので、雅号が応為となったという。長澤まさみが
着流し気風のいい応為(お栄)をクールに演じている。
北斎(永瀬正敏)の三娘であるお栄は絵師に嫁ぐが、夫の絵を見下して離縁される。というか、啖呵を切って家を出ていく。
北斎のもとに戻ったお栄は、北斎と生涯をともにすることになる。2人が暮らす貧乏長屋は画材や絵で散らかり放題で、茶も入れられず針仕事もできないお栄だが、絵の才能だけは父親譲りだ。女性の浮世絵師として、絵を描くことに生涯を捧げる。お栄の姉弟のような友情で結ばれるよき理解者となる浮世絵師・渓斎英泉を、髙橋海人(King & Prince)演じている。

北斎は絵の具代には糸目をつけないが、絵以外には無頓着で、出前をとって暮らしたうえ、掃除が嫌いで引っ越し魔だ。90年の生涯になんと93回、ひどいときには1日に3回も引っ越したという。雅号は30回変えている。家財道具と愛犬さくらを大八車に乗せ、応為と共に引っ越しを繰り返す。派手な出来事はないが、出戻り女ののらりくらりの日常が描かれている。

北斎は「美人画では娘にかなわない」と応為を高く評価していたという。北斎のサインがある作品のなかにも、実際には応為が描いたあるいは部分的に手伝ったとされるものがあるといわれている。
お栄は代表作『吉原格子先之図』を描こうと吉原の芸妓を観察する。妓楼のなかで灯りに照らされる花魁たちを、闇夜に紛れてお栄が見つめるシーンがある。『吉原格子先之図』は、レンブラントの絵と並び称されるほどの光と影を巧みに操った傑作である。

公式サイト:https://x.com/oioui_movie

人気ブログランキング
にほんブログ村

« テルマ&ルイーズ | トップページ | ブルーボーイ事件 中川千英子 »

映画・テレビ」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く

(ウェブ上には掲載しません)

« テルマ&ルイーズ | トップページ | ブルーボーイ事件 中川千英子 »

2025年11月
            1
2 3 4 5 6 7 8
9 10 11 12 13 14 15
16 17 18 19 20 21 22
23 24 25 26 27 28 29
30            
無料ブログはココログ