楓
ニュージランド南島をレンタカーで車で走っている。助手席に乗っているのは28歳の木下亜子(福原遥)、車を運転しているのは須永恵(福士蒼汰)。ひとつ年上の恵は亜子の恋人。ふたりの趣味は天体観察、恋人同士なってから10年以上が経つ。小さなカフェのテラス席で喉を潤した後、近くを散策した。亜子は夕焼けの色の楓を拾う。亜子は高校生の頃は毎日星を見ていた。ナミビア、アイベラ半島、そしてここテカポは、世界一星空が綺麗なところに選ばれている。亜子は助手席に背中を沈めると手にしている楓をくるくる回す。その時の反対車線を走ってきた大型車が道を逸れてこちらに突っ込んできた。恵は死んで、亜子は物が二重に見える後遺症が残った。
ショックで混乱した亜子は瓜二つの双子の弟涼を恵だと思い込んでしまうが、涼は本当のことを言えずにいた。幼馴染の梶野(宮沢氷魚)だけが真実を知り涼を見守っていた。涼を慕う遠藤日和(石井杏奈)と亜子の行きつけの店の店長(宮近海斗)が違和感を抱き始める。亜子が涼を恵君と呼んだからだ。
楓
監督:行定 勲
脚本:高橋泉
原案・主題歌:スピッツ「楓」
ネタバレあり
亜子と梶野は共同で、天体アプリの開発を手掛ける小さな会社を経営している。恵の本棚には天文関係の本が並び、望遠鏡の鏡筒には「Kei」の文字は刻印されていた。出勤の手段は亜子は電車で、涼はバスで通っている。涼は公園の裏手のコインロッカーからリックを出した。黒いリックには薄手の上着、Tシャツ、パンツが収められている。公衆トイレで着替えて恵に変装するのだ。涼は大丈夫、自分はまだ演じ続けることができると自分に言い聞かせている。
二重の生活に戸惑いながらも、明るく真っ直ぐの亜子に涼は惹かれていく。いつしか亜子は涼にとって一番大切な人になっていた。一方、亜子は打ち明けられない秘密がある。
12年前の冬の夜、暗い空き地で2人とも高校のブレザーを着て亜子と恵は望遠鏡で星空を見ていた。彗星に発見
者の名前が命名されるのを知ってわくわくした。亜子が発見すれば、木下彗星となる。
亜子は複視の手術が必要だった。入院する期間を出張と偽って涼に伝えた。涼が仕事道具を運んでいるのを後輩の日和が見ていて、「亜子さんの手術の日に浮気かよ」と雄介に言われ、亜子の入院している病院に向かって走り出した。亜子は「すぐ終わるし、いつまでも頼ってばかりじゃー」「頼っていいんだよ」涼は優しく言った。雄介と日和は恵と名乗る涼に疑問を抱いた。雄介はネットで検索をして、「ニュージランド レンタカーで正面衝突 日本人男性死亡」の記事を見つけた。
病室に初対面の日和がアコを訪ねってきた。
「わかっているんですよね?・・・ずっといっしょにいるの・・・涼君だって」と日和が聞くと 、「・・・最初からわかっていました」とあっさり亜子は認めた。
亜子は恵の葬儀の行われた日、暗い部屋に死んだように横たわっていた。メッセージアプリを開いて、「そちらは彗星が見えますか?」と打った。既読がついた。一瞬、恵が生きていると思った。
3年が経った。雄介の店で亜子と日和が飲んでいる。日和がバッグから雑紙『星ナビ』を取り出した。須永涼の記事が載っている。記事にはナミビアからアイベラ半島を回っていると書かかれている。
亜子は新星発見アプリで新星を発見したと思った。急いで国立天文台に連絡をすると、残念ながら亜子より早く連絡した人がいた。亜子の他にも遅れて発見を連絡してきた人がいたという。その人物の連絡先を尋ねた。
亜子はニュージランドの夕方にテカポ湖にきている。涼がカメラを構えて夜空を見上げる人たちを撮っていた。そこで亜子が涼を見つけ、ふたりは満天に星空を見上げた。










