センチメンタル バリュー
父と2人の娘の物語である。
あの期待の日本作品『国宝』はかすりもしなっかった。アカデミー賞(2026年)の作品賞受賞作である。ちなみに、『国宝』は「メイクアップ&ヘアスタイリング賞」をもらった。
離婚により家を出ていった映画監督の父親(グスタブ)が、母の葬儀に現れるところから物語は始まる。結婚して子供がいる歴史研究者の妹アグネと舞台女優として活躍する姉のノーラは父に対する怒りを抑えられない。グスタブはノーラに新作に出て欲しいと言ってくる。それも母が死ぬまで住んでいた実家で撮影するという。実家の名義は実は父親のままだった。
第98回 アカデミー賞(2026年)受賞
監督賞:ヨアキム・トリアー
主演女優賞:レナーテ・ヘインスベ
助演男優賞:ステラン・スカルスガルド
助演女優賞:エル・ファニング
助演女優賞:インガ・イブドッテル・リッレオース
ノルウェー /ドイツ/デンマーク/フランス/スウェーデン/イギリス
Color 135分
初公開日: 2026年2月 20日
公開情報:NOROSHI ギャガ
映倫G
予告編:https://youtu.be/2iR0YFbCUIs

舞台女優として舞台に上がる前ノーラが異常に緊張する場面が映し出される。衣装を破る行為に出るローラに、スッタフは実力行使で破る行為を阻止して舞台に上げようとする。

当たり前だけど、ノーラは父親(グスタブ)のオファーを断る。グスタブの昔の作品が映画祭で上映され、もともとファンであるアメリカ人女優のレイチェルがその映画を観にくる。レイチェルはグスタブを食事会に誘い意気投合する。グソタブはノーラにオファーした役をレイチェルにオファーして、Netflixが出資し製作が進んでいく。
1943年の秋、姉妹の祖母、つまりグスタブの母はナチズムへの抵抗運動に参加したことで、2年間、強制収容所に送られた。彼女が連行されたあと、家は静かになった。「家は静寂を嫌う」と映画が訴える。

本作における歴史への言及は、妹のアグネスが歴史研究者であるという設定とも関係している。彼女は、祖母が収容所で受けた拷問に関する歴史資料を読むのと同じ手つきで、姉が拒絶したグスタブの脚本にも目を通す。

主演にはアメリカで活躍する人気俳優レイチェルが抜擢される。もともとノルウェー語で書かれていた脚本は英語に書き換えられたことにより、劇場での公開が怪しくなる。
レイチェルは「ノルウェー訛りの英語」でセリフを繰り返す。その光景には、家に宿る「センチメンタル・バリュー(思い出の価値)」が、翻訳することでグスタブの脚本は命を絶たれたことになる。脚本はあくまでも娘のノーラの主役を想定したものだった。

撮影場所になる実家で、グソタブとレイチェルは台本読みを始め、役について深めていく。そして、グソタブは映画の中の息子役に次女アグネスの息子をキャスティングすると言い出す。撮影が進むと、レイチェルは降板を申し出る。レイチェルが外れることは、出資がなくなることを意味していた。失意のグソタブは酒を飲み、庭に出ると倒れるように眠ってしまう。
妹が脚本に目を通すと、まさにノーラのことを書いた傑作だった。妹はローラに読ませる。エンディングで父親は実家を売りに出す。それは、グソタブにとっても娘たちにとっても過去への決別となる。
タイトルの“sentimental value”の意味は字幕では「思い入れある品々」。AIによると、“the value of something to someone because of personal or emotional associations rather than material worth”(物質的な価値ではなく、個人的または感情的なつながりによってある人にとって価値があるもの)。まさに、実家は“sentimental value”だった。










