経済・政治・国際

アメリカ炎上通信 言霊USA XXL 町山智浩

『週刊文春』に連載されている「言霊USA」(2018年3月〜2019年7月)の69本のコラムを収録。
コアなUSAウォッチャーの著者は、トランプが大統領になって話題が尽きないので、書くことに困らないという。トランプは、平気で嘘をつくが本音を言い、自らの行いは過剰に褒め、敵は徹底的に腐す。利用価値があると思えば、危険な人物であろうと近ずいていく。よく言えば、わかりやすくて邪気がない。悪く言えば子どもで、自己愛性人格障害ともいわれている。
一部のエキセントリックな白人だけがトランプを支持しているわけではない。そもそも白人はアメリカは自分たちの国だと思っている。自分たちは選ばれた人間だと信じている。これ以上有色人種が増えると白人優位のアメリカを維持できなくなるという焦燥感が、トランプ支持する。なにも手を打たなければ、共和党は選挙に勝てなくなる。そこで、顔写真付きの身分証明書なしには投票できない、有権者ID法を取り入れる州がでてきている。黒人をはじめとする有色人種は、免許証を持っている割合が圧倒的に低い。
トランプはもちろんだが、今の共和党には賢さが皆無だ。
ピックアップした「Qanon」「Uninged」「Very Close To Complete Victory.」「Busing」について抄記する。

Image_20200910143501 アメリカ炎上通信 言霊USA XXL

町山智浩
文藝春秋 2019年

QAnon(Qアノン=トランプ支持者が信じる匿名ネット投稿者 2018年9月6日)
Qという匿名(Qアノニマス=匿名者Q)のネット投稿からはじまった陰謀論で、アメリカはディープ・ステートという闇の組織に支配されているという。ヒラリー・クリントンや政府高官が絡んでいて、政財界には小児性愛者ののネットワークがあり、ワシントンのピザ屋で、子どもを売買しているという。2016年にはQAnon信者がそのピザ屋を銃で襲う事件が発生した。
トランプ支持者にはQAnon信者が多い。QAnon信者はそれと戦う正義の味方がトランプだと信じている。

Uninged(タガが外れて 2018年10月4日)
トランプの閣僚で唯一の黒人女性だったオマローサ・マニゴールドが解雇され、オマローサは回顧録『UNHINGED(アンヒンジド)』を出版した。
トランプと著者は、出演していた人気テレビ番組『アプレンティス』以来のつき合いがある。オマローサは大統領制出馬以来、広報を担当してきた。
トランプは極度の健忘症で、前日に言ったことすら覚えていない。「精神的に問題がある」と強調している。 
また、大統領選の遊説で黒人教会に行ったとき、トランプが「ニガー、ニガー」と差別用語を多発し、「(黒人に何をされるかわからないから)俺をひとりにしないでくれ」と懇願したなど、黒人への差別意識を丸出しにする姿も暴露されている。
一方、トランプは「彼女を雇ったのは涙目で哀願してきたからだ」と言っている。まるで小学生だ。

Very Close To Complete Victory.(ほとんど完璧な勝利 2018年11月29日)
アンドリュー・ジャクソン(第7代大統領)は、テネシー州や南部に住んでいた先住民をオクラホマに強制移住させて彼らの土地を白人入植者に与え、絶大な人気を誇った。トランプはジャクソンを尊敬しているという。
テネシー州はバイブルベルトの一部で、キリスト教福音派が全米で最も多い。彼らにとっては、1973年に人工中絶が違憲だとした最高裁判決を覆すことが悲願。トランプによって最高裁判事9人のうち5人が保守派判事が占めることとなった。中絶の再禁止が実現し、同性婚も風前の灯だ。

Busing(公立学校地域格差是正のためのバス通学 2019年7月18日)
民主党の大統領候補レースが始まった。今回は24名が出馬している。
トップはジョー・バイデン、2番がバーニー・サンダース、3番手がエリザベス・ウォーレン、以上4人は70歳以上の年齢。トップ3が70歳代だとは、なんという人材不足。
4番手はカーマラ・ハリスで54歳。6月27日マイアミで行われたディベートの勝者は、カーマラ・ハリスだ。父はアフリカ系のジャマイカ人。母はタミル系のインド人。父は経済学、母は医学、それぞれが博士号を取るためにカリフォルニア大学バークレー校に学んでいる間に出会って結婚した。そして生まれたのがカーマラ。そのご夫婦は離婚、カーマラは母の手で育てられた。
バシングとは、学童が通う学校をシャッフルすることで、貧困地域の子を富裕層の多い地区の学校に通わせ、その逆も行い、格差をなくすこと。
ハリスが小学生だった1973年、バイデンは上院議員として、議会でバシングに反対票を投じたのだ。それを、ハリスは追求した。→人気ブログランキング

キャプテン・アメリカはなぜ死んだか/町山智浩/文春文庫/2011年
USAカニバケツ: 超大国の三面記事的真実 /町山智浩/ちくま文庫/2011年
底抜け合衆国: アメリカが最もバカだった4年間/町山智浩/ちくま文庫/2012年
アメリカ人もキラキラ★ネームがお好き USA語録2/町山智浩 /文春文庫 2016年
トランプがローリングストーンズでやってきた USA語録4/町山智浩/文春文庫/2018年
アメリカ炎上通信 言霊USA XXL/町山智浩/文藝春秋/2019年

アメリカ人もキラキラ★ネームがお好き USA語録2 町山智浩

2012年の8月から2016年3月まで、『週刊文春』の「言霊USA」に掲載された 74本のコラムを掲載している。おりしも、オバマ大統領の2期目の年から、2016年の初めトランプがいまだ泡沫候補であった頃まである。
アメリカでは、人種差別は永遠のテーマであり、相変わらず銃乱射事件は頻発するし、レイプの件数は驚くべき数字である。女性差別も貧富の差も一向によい方向に向かっていない。著者はそれをローアングルからとらえている。。
巻末の解説は、東京大学とハーバード大に合格したことをウリにしているモーリー・ロバートソン。自分はあまたいる日本の外人タレントの中で本物であり、町山のアメリカ情報も本物であると婉曲にいう。
トランプの白人至上主義について冷静な見解を述べている。つまり、2040年頃には白人が少数派に転じる。いずれ大統領は非白人に寄り添った政治しか許されなくなる。いまアメリカは最後の悪あがきをしているというもの。これは定説ともいえる見解だ。

Photo_20200903124201 アメリカ人もキラキラ★ネームがお好き USA語録2
町山智浩
文春文庫 2016年 ✳10

Three Cups of Deceit(偽りのスリーカップス)
いやーショックだ。400万部以上を売り上げ、2006年の全米ベストセラーとなった『スリーカップス・オブ・ティ』が作り話で、著者が詐欺をはたらいていたとは。日本では2010年3月に出版され、早速読んで大いに感激した。
ヒマラヤ山脈のK2峰登頂にを途中で断念したモーテンソンが道に迷って遭難し、パキスタンのコンフェという村の人々に助けられる。モーテンソンは看護師で、後産で死の淵を彷徨う村の女性を救い村人の信頼を得る。村に学校を作ると言ってアメリカに戻り、寄付を集めてコンフェに戻って学校を建てた。9.11で分断されたアラブと西側の架け橋になろうと、その後の学校を建てようとする感動ものだった。
著者が主催する団体に全米の慈善事業家、教育機関、市民団体から巨額の寄付が集まった。しかし膨大の額の使途不明金が指摘されたが、著者は沈黙しているという。

Kids Vote(子供投票)
大統領選の予想のあれこれ。
もっとも当たっている予想は、1940年から続いている「Kids Vote」。過去2回しか外していないという。絵本や教科書を出版するスコラスティック社が主催し、18歳以下の25万人が参加する。親の投票行動が反映するからだろうと言われている。

Taste worth dying for(死ぬ価値のある味)
アメリカでは年間12万人が肥満で死ぬという。
2011年、ラスヴェガスにオープンしたレストラン「ハートアタック・グリル」の店の入り口には、「この店は健康に有害です」と警告文が出ている。ウェートレスは看護婦のコスプレ、客は手術の時に患者が着る服を着せられ、車椅子で店内に案内される。
全部で9900キロカロリーのハンバーガーがメインで、付け合わせはラードで揚げたフライ。ドリンクはメキシコから取り寄せた砂糖たっぷりのコーラ、またはバターたっぷりのミルクセーキ。156キロ以上の人はいくら食べても無料だという。常連客が心臓麻痺で救急車で運ばれたが死んだ。
この店の客が死ぬのは初めてではない。ラスヴェガスの前は店がアリゾナにあったが、29歳の常連客が店の中で心停止した。
「オーナーは言う。たとえ死のうが、好きなものを食べる自由がある!」いかにも、自由を重んじるアメリカだ。→人気ブログランキング

キャプテン・アメリカはなぜ死んだか/町山智浩/文春文庫/2011年
USAカニバケツ: 超大国の三面記事的真実 /町山智浩/ちくま文庫/2011年
底抜け合衆国: アメリカが最もバカだった4年間/町山智浩/ちくま文庫/2012年
アメリカ人もキラキラ★ネームがお好き USA語録2/町山智浩 /文春文庫 2016年
トランプがローリングストーンズでやってきた USA語録4/町山智浩/文春文庫/2018年
アメリカ炎上通信 言霊USA XXL/町山智浩/文藝春秋/2019年

トランプがローリングストーンズでやってきた USA語録4 町山智浩

2016年、共和党の大統領候補指名選は、最終的にトランプとフロリダの上院議員テッド・クルーズの戦いになった。お互い「お前の母ちゃん出べそ」的な中学生レベルのネガティブキャンペーンを行った。が、相手の弱点をつくことにおいては、トランプに一日の長があった。その悪口の発信を追求されると、PAD(政治活動委員会)という団体が勝手にやったことだと、それぞれの陣営が責任逃れをした。PADは政治家を勝手に応援する後援会で、個人や企業からの献金で潤っている。潤沢な資金で下品なCMが多量に流されることになった。とういうのが前置き。
本書に収録されているのは、『週間文春』の「言霊USA」に、2015年3月19日号〜2016年間3月17日号の間に掲載されたコラム。
本書のタイトルは、トランプ陣営が支持者集会でローリング・ストーンズの『悪魔を憐れむ歌』を流したところからきている。歌詞の中でサタンはこう繰り返す。「私がやっているこのゲームの正体がわからなくて、あなた方は困惑しているでしょう?」これは、支持者集会に流す曲じゃない、そんなことはどうでもいいという精神構造が、ヤバイ。
Image_20200829162401 トランプがローリングストーンズでやってきた USA語録4
町山智浩
文春文庫 2018年 ✳︎10

Opioid(オピオイド=アヘン類似物質)
2015年7月、日本でトヨタのアメリカ人元常務役員ジェリー・ハンプが麻薬の密輸で逮捕された。彼女が持ち込んだオキシドコンという鎮痛剤は、アメリカでは処方箋があれば手に入る。日本でも同じ方法で手に入るが、処方の条件が厳格である。日本で多く処方されているのは「非麻薬性」オピオイドと呼ばれるヤワなやつだ。
オキシドコンは、オピオイドと呼ばれる強力な鎮痛剤で抑うつ効果がある。ハッピーな気分になる。「-oid」は「〜に見える」「それっぽい」という意味だ。麻薬類似物質の常用者は940万人、総売上2億ドル以上の一大産業なのだ。オピオイド中毒は深刻な問題である。いずれ、ヘロインに手を出すことになる。

Black people can't swim?(黒人は泳げない?)
アメリカでは水泳は義務教育の必修科目ではない。貧乏だったり、共稼ぎや片親の忙しい家庭の子は泳ぐ機会がない。
『アメリカのプールの社会史』は、モンタナ大学のジェフ・ウィルツ准教授がプールにおける人種差別を研究したものだ。奴隷制度の時代、白人たちは黒人が川に入ることを固く禁じた。逃げられてしまうからだ。1920年代、全米各地にプールが作られたが、黒人は入ることができなかった。
現在、市民プールにおける差別は「いちおう」なくなったが、「水泳格差」は存在する。実際、USA水泳連盟とメンフィス大学が2010年に発表したデータによると、黒人の7割は泳げない。白人の少年に比べて溺死事故は3倍も多い。

Don't get ahead of the news,It will run you over.(ニュースの先を走ってはならない。後ろから轢かれることになる。by FOXニュースのキャスター)
全米警官組合はタランティーノの映画を「反警官的」としている、新作西部劇『ヘイトフル・エイト』のプレミアム試写会の、警備や交通整理を一切行わないよう呼びかけた。
デビュー作の『レザボア・ドッグス』(92年)ではギャング同士の次のような会話がある。「人を殺したことがあるか?ポリ公じゃなくて、本物の人間を」。タランティーノは警官が嫌いだってことは明らかだ。

メディア王ルパート・マードック傘下のFOXニュースは、黒人射殺が続く昨今は警察官の味方についている。横領がばれそうになり殉職したように見せかけ自殺した警官を、FOXニュースは英雄と祭り上げてしまった。タイトルはFOXニュースのキャスターが、戒めに言った言葉。

Snitch (密告者、チクリ屋)
麻薬王エル・チャポのアジトに海兵隊が踏み込み、一味はほとんど射殺され、エル・チャポは拘束された。エル・チャポは麻薬密売組織シナロア・カルテルのボス。資産10億ドルといわれアメリカ経済誌『フォーブス』の富豪ランキングに入る。エル・チャポは今まで何回も逮捕と脱獄を繰り返していた。
そのエル・チャポに、素人記者としてたびたび記事を書いてきたショーン・ペンがインタビューした。ペンの記事は当たり障りのない内容で、なんのツッコミも入っていない。
ところがこのダメ記事が役に立った。インタビューの交渉に会話を暗号化する携帯電話を使ったが、アメリカ政府の監視システムに引っかかった。密告者になってしまったショーン・ペンは、命がヤバイんじゃないか?→人気ブログランキング

キャプテン・アメリカはなぜ死んだか/町山智浩/文春文庫/2011年
USAカニバケツ: 超大国の三面記事的真実 /町山智浩/ちくま文庫/2011年
底抜け合衆国: アメリカが最もバカだった4年間/町山智浩/ちくま文庫/2012年
トランプがローリングストーンズでやってきた USA語録4/町山智浩/文春文庫/2018年

キャプテン・アメリカはなぜ死んだか 町山智浩

著者は「リアル・アメリカの伝道師」と呼ばれ、アメリカに関する圧倒的な量の情報を日本に発信し続けている。本書は『週刊現代』の連載コラム『アメリカで味噌汁』を中心に、『サイゾー』『TVプロレス』『クロスビート』などのコラム102編を集めたものである。
文庫版あとがきで、著者は、「アメリカに住むということは、サーカスの見世物を最前列で見るようなもんだ」という、コメディアンのジョージ・カーリンの言葉を紹介している。サンフランシスコの湾を渡った向かいのバークレーに在住。
Photo_20200821142501キャプテン・アメリカはなぜ死んだか

町山智浩
文春文庫
2011年 10✳

アメリカは、ハチャメチャなことが日常的に起こっている国だ。両極端の考えの人がそれぞれ派手な動きをする。白人至上主義が引き起こす人種がらみの事件は尽きないし、宗教は暴走するし、何でもかんでも訴訟を起こす。精神の変調をきたしているやからが銃をぶっ放す。クスリやセックス絡みで暴力事件が起こる。アメリカにはカルト集団がうようよいて、それらが信じられない事件を引き起こす。本書では、そんなサーカスの出し物が次から次へと繰り出される。
本書の特徴は、事の発端となった背景や歴史など、一つのコラムにテンコ盛の情報が詰め込まれていることだ。さらに著者の一見軽いが痛烈な皮肉が込められる。

キャプテン・アメリカは日本人に馴染みが薄いが、コラム「キャプテン・アメリカはなぜ死んだか」で、著者はなにを語っているのか。
アメリカン・コミックのスーパーヒーローであるキャプテン・アメリカの死は、『USAトゥデイ』紙など全米各紙で事件として報じられた。その理由は、キャプテン・アメリカが政治的な存在だからだという。
1941年、真珠湾攻撃が始まると主人公のスティーヴン・ロジャースは軍に志願するが、ひ弱な体で不適格とされる。そこで、超兵士を作る人体実験のモルモットとなる。超兵士となったスティーヴは星条旗を身につけ、キャプテン・アメリカとして、ナチスや日本軍と戦う。大戦後、共産主義と戦うが、すぐにシリーズは休刊する。
1964年、20年間北極の氷の中に閉じ込められていたという設定で現代に蘇る。しかし1974年ニクソンが辞任すると、キャプテン・アメリカもコスチュームを脱いだ。そればかりかヒッピーのように髪を伸ばしノマド(祖国なき者)と名乗ってアメリカを放浪し始める。
結局、再びコスチュームを着たが、アメリカを愛するため政府と対決する。新米のスーパーヒーローと悪漢たちの戦いに一般人が巻き込まれて大惨事が起こり、連邦議会は「超人登録法」を可決した。2007年、スーパーヒーローをすべて政府の管理下に置く法律である。「超人登録法」は、ブッシュ政権のテロ取り締まりのため盗聴や拘束を合法化した「愛国法」のメタファーだ。体制側についたアイアンマンたちに敗れたキャプテンは反政府活動家として逮捕された上に、裁判所の階段で何者かに狙撃され死んでしまう。(07年9月)

真珠湾攻撃がキャプテンが生まれるきっかけだから、日本には受けが悪いわけだ。→人気ブログランキング

キャプテン・アメリカはなぜ死んだか/町山智浩/文春文庫/2011年
USAカニバケツ: 超大国の三面記事的真実 /町山智浩/ちくま文庫/2011年
底抜け合衆国: アメリカが最もバカだった4年間/町山智浩/ちくま文庫/2012年
トランプがローリングストーンズでやってきた USA語録4/町山智浩/文春文庫/2018年

新型コロナVS中国14億人 浦上早苗

中国は、民主主義国家では到底できない人権無視の政策を断行してきた。1月24日からの春節の前に武漢をロックダウンし、中国全土で人の集まる場所を公共・民間を問わず閉鎖し、コロナの封じ込めに成功した。中国を「隠蔽で初動が遅れ、ウイルスをばらまいた国」という一面のみでとらえるべきではないという。

中国が感染の中心だった頃は、中国の強権的なロックダウン、テクノロジーを駆使した行動監視システムに対し、人権のない国だからできると揶揄されたが、今や多くの国で中国方式を取り入れている。この強権的な対策は、政治家ではなく医師らの提案によるものだという。

Vs14 新型コロナVS中国14億人

浦上早苗
小学館新書
2020年6月 10✳

突貫工事でコンテナ病院が建設された。5Gを用いた通信システムにより、遠隔診断し治療法が指示された。医療用ロボットが体温測定や消毒、医療品の運搬を行った。スピーカーを搭載した5Gドローンが住宅地を巡回し、おしゃべりしている人やマスクをつけていない人を家に追い返した。
PCR検査なしでもCT画像からコロナを診断してもよいとされた。アリババ・グループのAI技術が、CT画像から20秒で診断する。その的中率は96%だという。3月上旬までに中国の160の病院で採用された。

2月11日、アリババ提供の行動監視アプリ「健康コード」が杭州で導入された。赤・黄・緑で表示され、緑であれば自由に行動ができ、黄は1週間、赤は2週間の自宅待機が要請される。このアプリにより、身元を隠して暮らしていた人たちが行き場がなくなり指名手配者が自首してきたという。また不正給与支払いが発覚した。

日本の厚労省が「新型コロナウイルス接触確認アプリ」を提供したのは、6月19日。なんだか腹立たしいくらい遅い。こうしたアプリは60%の人々が登録しないと、有効ではないというから、日本でこの接触アプリがまともに機能することはないだろう。

新型コロナウイルスの存在は12月31日に確認され、1月3日にはワクチン株が分離され、7日に国連にも提供されている。
2月27日に、初動の遅れを新型コロナ対策ハイレベル専門チームの鐘南山氏(83歳)が批判している。SRASで陣頭指揮をとった鐘氏は、政府を批判したことで人々に支持され、精神的支柱となった。中国では人々は政府を信用していない。医師をはじめとする医療人と企業を信用したのである。

企業がコロナ対策に寄与した。決済アプリ「アリペイ」に、医療関係者に相談できる無料医療相談機能が追加された。
出前アプリのEle、me、ハイテクスーパーのHema、オンライン旅行のFliggy(飛猪)、口コミサイトのKoubei(口碑)が、武漢の医療関係者に食料や生活用品を手配した。
Fliggyが武漢の宿泊施設に無料で宿泊できるように呼びかけ、3000以上が協力した。
地図アプリ会社は医師たちの無料送迎を行った。

中国の新型コロナ累計死者数は4632人と、従来の3342人から修正された。4月16日時点の累計確認症例数は8万2692件となっている。
例えば、広東省は1億2千万の人口だが、感染者は1600人、死者は8人で、同じ規模の東京よりはるかに少ない。
情報が透明でなかろうと、中国は新型コロナの封じ込めに今のところ成功してるといえるだろう。

ヨーロッパ、中東やアフリカ諸国にマスクや防護服、PCR検査機器、人工呼吸器などを援助物資として送ったが、多量の粗悪品が含まれていて中国に送り返されたという。政府は製品検査を厳格化して、劣悪な製品をつくる企業を淘汰する。中国は恥をかいても前へ進んでいく。恐ろしい国だ。

著者は経済ジャーナリスト。早稲田大学政治経済学部卒。1998年から西日本新聞社記者として地域・経済分野を中心に取材。2010年に中国大連の東北財経大学に国費留学した。その後大連民族大学で日本語教員となる。2016年に帰国し、中国経済のニュースを中心に翻訳や執筆を手がける。法政大学イノベーションマネジメント研究科講師。→人気ブログランキング

新型コロナVS中国14億人/浦上早苗/小学館新書/2020年
コロナの時代の僕ら/パオロ・ジョルダーノ/飯田亮介/早川書房/2020年
感染症の世界史/石井弘之/角川ソフィア文庫/2018年
ウイルスは生きている/中屋敷均/講談社現代新書/2016年
ナニワ・モンスター/海堂尊/新潮文庫/2014年
首都感染/高嶋哲夫/講談社文庫/2013年
復活の日/小松左京/角川文庫/1975年
ペスト/アルベール・カミュ/宮崎嶺雄/1969年

『コロナの時代の僕ら』パオロ・ジョルダーノ

著者は25歳の若さでイタリア最高峰の文学賞とされるストレーガ賞を受賞した気鋭の小説家で、大学では物理学を専攻していたという。

本書は27篇のエッセイと著者のあとがきからなる。
COVIT-19の感染について書いた時によって、感じ方は変わっただろう。27篇のエッセイは2月29日から3月4日まで『コリエーレ』紙に掲載された。2月25日に323人だったイタリアの感染者数は、2月29日1129人、3月4日には3089人になった。感染者数が爆発的に増えたのはそのあとである。

Photo_20200428173501コロナの時代の僕ら

パオロ・ジョルダーノ/飯田亮介
早川書房
2020年 ✳︎9

 

 

そして、著者あとがきの「コロナウイルスがすぎた後も僕が忘れたくないこと」が掲載されたのが3月20日。イタリアでCOVIT-19の流行が始まってから1ヶ月間を振り返った内容になる。3月20日の感染者数は47,021人、死者数は4,032人。この時点でイタリアの医療は完全に崩壊していた。
最近(4月27日)の状況は、感染者数197,675人、死亡者数26,644人で、感染者数は頭打ちになっているとされている。

イタリアが最悪の事態になる前に書かれた文章は、余裕がありユーモアすら感じられる。
<いったん終息すれば過去に流行した多くの感染症を犠牲者の数で上回ることはないだろう>との予測を述べている。しかし、その予測は必ずしも当たっていなかったことがわかる。
物理学を専攻した著者ならではのテーマを扱ったのが「感染症の数学」「アールノート」である。数学的に感染を減らすにはどのように考えるべきなのかをクリアカットに論じている。いま日本で実践を推奨されている「接触を80%減らす」につながる理論的根拠が示されている。

あとがきの「コロナウイルスがすぎたあとも、僕が忘れたくないこと」は、爆発的に感染が拡大した頃に書かれたもので、説得力があり感動させられる。〈すべてが終わった時、僕たちは以前とまったく同じ世界を再現したいのか。もとに戻ってしまわぬように、この苦しい時間が無駄にならぬように、元に戻って欲しくないもののリストを作っておく〉ことを提案している。

本書は世界27カ国で発売されたという。間違いなく世界的ベストセラーになるだろう。著者は印税の一部を医療機関および感染者の医療に従事する人々に寄附するという。→人気ブログランキング

新型コロナVS中国14億人/浦上早苗/小学館新書/2020年
コロナの時代の僕ら/パオロ・ジョルダーノ/飯田亮介/早川書房/2020年
感染症の世界史/石井弘之/角川ソフィア文庫/2018年
H5N1 強毒性新型インフルエンザウイルス日本上陸のシナリオ/岡田晴恵/幻冬車文庫/2019年
隠されたパンデミック/岡田晴恵/幻冬舎文庫/2019年
ウイルスは生きている/中屋敷均/講談社現代新書/2016年
ナニワ・モンスター/海堂尊/新潮文庫/2014年
首都感染/高嶋哲夫/講談社文庫/2013年
復活の日/小松左京/角川文庫/1975年
ペスト/アルベール・カミュ/宮崎嶺雄/1969年

『ハーレクイン・ロマンス』尾崎俊介

ハーレクイン・ロマンスはカナダ産の恋愛小説叢書である。
現在、毎月2回それぞれ15冊程度、月に30冊、年間では400冊の翻訳本が日本の読者に向けて出版されている。
ハ-レクイン・ブックスは、1949年、カナダで生まれた。隣国アメリカで廉価なペーパーバックがブームとなり、リーチャード・ポニー・キャッスルは「ハーレクイン(道化師)」という名前をつけて、ペーパバックを出版しはじめた。経営の才能があった妻のメアリーはロマンス関係の本しか売れていないことに気づき、ロマンス関連本だけを出版するようにした。秘書に図書館でロマンス小説を読ませ、気に入ったものがあればメアリーに推薦するよう指示。メアリーが読んで面白いとなれば再販権を獲得して出版するようにした。


ハーレクイン・ロマンス (平凡社新書0930)

尾崎俊介
平凡社 2019年 ✳9
売り上げランキング: 45,295

それらのロマンス小説は、ほとんどがイギリスのミルズ&ブーン社のハードカバーだった。イギリスが舞台で、ときに英連邦王国の一部であるオーストラリアやニュージーランドが舞台となる。つまりカナダ人やアメリカ人とってはエキゾチックな要素を備えていた。

1960年代以前、アメリカのペーパーバック市場は男性がターゲットだった。1964年ハーレクイン・ロマンスという女性向けの叢書が入ってきて、1965年の時点ですでに600万部、毎年35%ずつ伸び続け、1977年位は1億部の大台に乗るところまで急成長を遂げた。1975年以降ハーレクイン社の出版物の7割がアメリカ向けだった。
ハーレクイン・ロマンスは本の厚さが一定である。製本の都合で32ページの倍数192ページに収まるように組版されている。

ハーレクイン社がアメリカで多大な成功を収めたのはマーケティング戦略による。売れるロマンスの公式を完成させた。それは、「ヒロインがヒーローに出会い、二人は障害を乗り越えて恋に落ち、そして結婚する」ということに尽きる。ハーレクイン・ロマンスは、すべてヒロインの視点から語られる。読者はヒロインに感情移入して読み進むのだからその視点は欠かせない。
読者は30歳代40歳代の既婚者であり、恋を成就させた経験者である。主人公は20歳そこそこの若い女性と相場は決まっている。ヒロインは絶世の美女ではなく、かわいい女の子。金髪碧眼小柄で華奢な体躯。お相手は185センチから195センチと長身で、もちろんハンサムでどちらかといえばラテン系の濃いめの顔である。会社を経営しているか、弁護士あるいは医者などであり、そもそも働かなくとも食べていけるくらいの資産家である。

ハーレクイン社は独自の配本ネットワークの構築に乗り出し、それまで配本を一手に引き受けていたサイモン&シュスター社との契約を打ち切った。サイモン&シュスター社は、ハーレクレイ・ロマンスのノウハウをそのまま使って、しかも、人気作家を引き、シルエット・ロマンスというシリーズを売り出したのだった。
そして、シルエット・ロマンス社は、それまでハーレクイン社がいわばタブーとしてきたアメリカ人作家を登用し、アメリカ人を主人公とし、ラブシーン描写を積極的に取り入れたのである。しかし、ハーレクイン対シークレットの対決はハーレクレイのシークレット買収で決着を見た。

新たな市場として、性モラルが厳しい国、中国、東南アジア、イスラム諸国、アフリカ諸国に、ハーレクインは販路を拡大しているという。→人気ブログランキング

『変見自在 習近平と朝日、どちらが本当の反日か』高山正之

『週刊新潮』の辛口コラム「変見自在」(2014年6月〜2015年6月)の文庫化。
産経新聞OBである著者は朝日新聞を目の敵にする。
「朝日にあらずんば新聞にあらず」と思い上がっていた朝日新聞は、批判されても仕方がないことをやってきた。
朝日新聞は、昭和30年代半ば北朝鮮は地上の楽園と報じ続け、日本在住の朝鮮人20万人が地獄の北朝鮮に帰った。
中国での煙幕を毒ガスだと報道したり、サンゴに落書きして「日本人KYがやった」と書いたり、挙句は韓国人義母の入れ知恵で植村隆が従軍慰安婦の嘘をでっち上げた。

変見自在 習近平と朝日、どちらが本当の反日か (新潮文庫)
〓山 正之
新潮社 (2019-08-28)
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収録されているコラムのひとつ「キリスト教徒を締め出した日本の叡智」の要旨は次のようだ。
〈16世紀、キリスト教が日本にやってきた。日本には八百万の神がいるから、一人増えても日本人は気にしなかった。ところが、キリシタン大名高山右近は城下の神社仏閣を壊していった。彼らは信徒以外は人間扱いしなかった。キリシタン大名は硝石1樽を女50人と引き換え、イエズス会はその女たちを奴隷に売って大金を稼いだ。
秀吉は宣教師に神社仏閣と仲良くするように、奴隷売買をやめるように説得した。10年待ったが、改めなかったので26人の教徒を処刑した。
徳川幕府もこの狭量の宗教を諌めた。道を外れた民には踏み絵を踏むだけで許した。異教徒を皆殺しにするキリスト教では考えられない寛容さだ。
しかし懲りないキリスト教は「島原の乱」を起こす。この経緯を踏まえ、日本はキリスト教を邪教として禁じた。ローマ帝国すらできなかった世界で初めてのことを日本はやった。
おかげで、日本は宗教戦争に巻き込まれることがなかった。明治憲法発布まで邪教への入信を戒めた。〉
著者は、キリスト教排除は先人の叡智であるとする。キリスト教が世界中でひき起こした凄惨な歴史を見るにつけ、一神教のもつ危うさに気づかされる。秀吉や徳川幕府のとったキリスト教排除は「日本を救った叡智」と評価されていい。

本書では解説にも注目したい。
担当するのは産経新聞の著者の後輩である福島香織である。それまで、『変見自在』の文庫版の解説は、保守の言論界を代表する評論家や作家が担当してきた。彼女が選ばれたのは、著者に目をかけられ、著者を「高山先輩」と呼んで尊敬し、自身も保守系のスタンスをとる気骨ある書き手であるからだろう。

変見自在 習近平と朝日、どちらが本当の反日か/新潮文庫/2019年
変見自在 オバマ大統領は黒人か/新潮文庫/2015年

『さいはての中国』安田峰俊

著者は中国国内外の中国らしいあるいは中国的な毒を含んだ場所で取材を行った。
アメリカに対抗する大国になりつつある中国は、王朝時代のDNAを引き継いだ国家主席が君臨している。外交では、アジア・アフリカの小国にインフラを整備する代わりに、金でがんじがらめにしている。著者の現地取材は右派雑誌『SAPIO』の企画で行われた。


さいはての中国 (小学館新書)

さいはての中国
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安田 峰俊(Yasuda Minetoshi
小学館新書 2018年
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中国のシリコンバレーと呼ばれる広東省深圳。ここにはネトゲ廃人たちがネットカフェで生活する。ネトゲ廃人たちは、土木・建築系の工事現場、スマホやタブレットPCを製造するデジタル工場がで働き、稼いだ金はネトゲやスマホのアプリ課金、オンラインカジノといったサイバーな娯楽につぎ込んでいる。

アフリカ系外国人たちが住む広州市。公的に確認されているだけで2万人、不法滞在者を含めると10万から30万人いるという。親アフリカ政策を取ってきた中国に、アフリカ諸国の人々は好意的な考えを持っている。
ショッピングモールの中国人ガードマンが言う。「連中は声が大きくて態度が傲慢だ。文化的な水準も低い。自国のルールだけで生きている。中国の文化を尊重しないんだ」。中国人が感じるアフリカの人々は、日本人が感じる中国人そのままだ。

習近平政権の特徴は、習近平やその一族と個人的な縁があったり、習近平に露骨にすり寄ってくる人間に厚遇を与えることだ。習近平は自分の仲間以外に対しては恐ろしく冷淡だ。習近平は王朝時代のDNAを引き継ごうとしている。
上海は江沢民がテコ入れした。深圳は鄧小平の肝入り。前任の為政者たちを上回る権威を身に付けたい習近平は、上海や深圳と同格の経済都市を自分の手で作りたいと考えている。新首都候補の雄安新区開発は「国家、千年の大計」とされている。

国家主席が変われば、政策が変わり、法律で投資が凍結される。それまで建設ラッシュの都市が、瞬く間にゴーストタウンになる。そんな内モンゴルの都市オルドスは、鬼城(ダイチェン)と呼ばれる。

カンボジアはポルポト時代に社会が破壊されてしまい、知識人の数が少ない。国税局員なのに帳簿をつけていない。政治家なのに政策立案の方法をしたない。だからこそ日本が発揮できる役割がある。
日本は無償資金協力であるが、中国は有償。カンボジア政府に援助の形をとりつつ、ツケ払いで巨額のハード・インフラを売りつけている。国民は中国を嫌っているが、政府が勝手に彼らを誘致する。中国からの有償資金は高官の懐に入る。
フンセン国王は野党カンボジア救国党の党首を反逆罪で逮捕し、救国党を解散させた。野党不在のままで総選挙が行われ、フンセンの党であるカンボジア人民党が全議席を獲得した。1993年にUNTACが作った議会制民主主義の枠組みがなくなってしまった。欧米諸国が手を引いた総選挙で、選挙を管理したのはまともな選挙が行われれいない中国である。

カナダの中華系住民は多い。人口3515万に177万人がいる。中華系活動家により、トロント州の高校の教科書に南京問題が掲載されるようになった。カナダから日本批判の狼煙を上げている。

『ポピュリズムとは何か 民主主義の敵か、改革の希望か』水島治郎

ラテンアメリカの国々やヨーロッパ各国を席巻し、ついにはトランプをアメリカ大統領に押し上げてしまったポピュリズムとは何か。本書では、ポピュリズムを「人民の立場から既成政治やエリートを批判する政治運動」と定義している。

ポピュリズムの特徴は、「主張の中心は人民」「人民重視の裏返しとしてエリート批判」「カリスマリーダーの存在」、もうひとつ「イデオロギーの薄さ」である。ポピュリズムは具体的な政策内容で特徴づけることはできないという。

ラテンアメリカでポピュリズムが席巻したのは、社会経済上の圧倒的な不平等が理由である。1930年以降、大地主や鉱山主などの寡頭支配に対抗し、中間層や労働者、農民など多様な支持層を背景にポピュリズム政党が躍進した。
〈デモクラシーが固定していないラテンアメリカのポピュリズムの場合には、権力を濫用しデモクラシーの妨げとなった。〉

現在、なぜ西ヨーロッパでポピュリズムが広がっているのか。
2015年、ヨーロッパでイスラム過激派のテロ事件が続発した。この機会をとらえて、反イスラムの旗を掲げて支持を集めているのがヨーロッパのポピュリズム政党である。
当初は極右だったポピュリズム政党が転向し、グローバル化やEU統合に反対し、エリート批判と移民排除を進めようとしている。移民や難民、外国人を福祉の乱用者と位置づけ福祉排除の考え方を打ち出す。

EU離脱をめぐるイギリスの国民投票では、「置き去りにされた」人びと、2016年のアメリカ大統領選挙では、「ラストベルト(旧工業地帯)」の人びとがクローズアップされた。二つの共通性が注目され、勝利を収めた経過も似ている。

デモクラシーから生まれたポピュリズムであるのに、なぜデモクラシーと正反対の解釈が成り立つのか。
その訳は、デモクラシーの背景には「立憲主義的解釈」と「ポピュリズム的解釈」がある。「立憲主義的解釈」は、法の支配、個人の自由の尊重、議会制などを通じた権力抑制を重視する立場であり、「自由主義」的な解釈といえる。「ポピュリズム的解釈」は、人民の意思の実現を重視し、統治者と被治者の一致、直接民主主義の導入など、「民主主義」的要素を前面に出す。

ポピュリズムは、デモクラシーを民主化することで重要な意義を持つが、他方デモクラシーの発展を阻害する。多数は原則を重視するあまり少数意見が無視される。敵味方を峻別する傾向が強いから対立を生みやすい。非政治的機関の権限を制約しがちなどのマイナスの要素がある。
野党としてのポピュリズム政党は、既成政党に緊張感を与えることでデモクラシーの質を高める。デモクラシーの固定していない国でポピュリズム政党が政権を握ると、デモクラシーの脅威となる。一方、デモクラシーが固定した国の場合はポピュリズム政党が与党になった場合でも、デモクラシーの危機に陥るとはいえない。

ポピュリズムは「ディナー・パーティの泥酔客」のような存在だという。上品なディナー・パーティに現れて、なりふり構わず振る舞う。ずかずかとタブーに踏み込んで隠された欺瞞を暴く。実にうまい比喩だ。

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