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『キラキラネームの大研究』伊東ひとみ

本書は、現代の軽佻浮薄な風潮のひとつと捉えることのできるキラキラネームを、日本語の歴史から解き明かそうとしている。
キラキラネームから見えるのは、「漢字」が過去の歴史とのつながりを断ち切られ、イメージやフィーリングだけで捉える「感字」になりかけていることであるという。
「漢字」を「感字」にしてはならないというのが著者の主張。

キラキラネームの大研究 (新潮新書)
伊東ひとみ (Itoh Hitomi
新潮新書  2015年5月

キラキラネームは、1990年代中頃、団塊ジュニア世代の子どもたちから始まった。
団塊ジュニア世代以降(当用漢字第三世代)は、カジュアルに漢字を捉えていて、漢字の捉え方にそれ以前の世代と違いがあるという。
キラキラネームの共通項は、奔放な漢字の選択と日本語離れした音の響きゆえに他人が読めないところにある。
人に読まれたら負けという「俺様化」が「真性キラキラネーム」で、読みにくいけれどなんとかギリギリセーフ、名付けた親にはキラキラネームのつもりはないというのが「偽性キラキラネーム」である。ほとんどの親はギリギリセーフの感覚でつけているという。

キラキラネームの根底には、「国語国字問題」による世代間の断層があるという。
戦前戦中派は「国語国字問題」とともに歩んできた「当用漢字第一世代」であり、その子どもたち、特にベビーブーマーは当用漢字によって制限された漢字表記で育った「第二世代」であるとする。団塊ジュニア世代以降の「第三世代」になると、祖父母父母世代の頃まであった漢和辞典的な規範の引力が弱まったという。

1947年(昭和22年)に交付された戸籍法により「子の名には、常用平易な文字を用いなければならない」と定められた。これによって子供の名前には当用漢字表にある1850字しか用いられなくなった。その後、1981年に当用漢字に95字が加えられて、常用漢字(2136字)となった。
現在、名前に使える漢字は、常用漢字と名前用漢字299字(1952年に52字が定められ、その後削除されたり追加されたりしている)と決まっている。ただし読み方は定められていない。この曖昧さがキラキラネームが生まれる素地なのである。

「国語国字問題」は、文字をもたなかった日本語に、「漢字」を取り入れたことから始まった「漢字」と「やまとことば」の融合とせめぎ合いにより醸成されてきたハイブリッド言語ゆえの運命であるという。→人気ブログランキングへ

『ヘルタースケルター』

原作は岡崎京子の同名のコミック。
全身に美容手術を施してトップアイドルに昇りつめたりりこ(沢尻エリカ)は、過去をひたすら隠している。
クリニックで行われた手術には、違法に入手された胎児の皮膚や筋肉が使われたため、りりこは免疫抑制剤を内服し続けなければならず、悪徳美容外科医(原田美恵子)から逃れられない運命にある。
りりこはわがままで気まぐれ、マネージャーの羽田(寺島しのぶ)に当たり散らして憂さを晴らしているが、羽田は「私がいないとりりこさんは何もできない」と信じていて、りりこに盲目的に尽している。
プロダクションの社長(桃井かおり)は、りりこの全てを知る人物、いずれりりこの体が変調をきたすことも計算に入れている。

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美容クリニックの違法な医療行為を捜査している検事(大森南朋)は、りりこの秘密に感づいていて彼女を追い詰めていく。
やがて、ライバルの新人(水原希子)がデビューして、りりこの人気を脅かしはじめるのと期を同じくして、りりこの体にはシミが現れ、幻覚発作が起こるようになる。このあたりから、りりこの転落の運命が始まる。

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叫んで、笑って泣いて、きれて暴れて、セックスしてというという演技は、ゴシップがつきまとう沢尻エリカならではの迫力がある。映画のりりことマスコミに報道されてきた沢尻エリカがダブって見える。蜷川監督は、りりこ役は沢尻エリカしかいないと確信していたとのこと。
それにしても、複数の男と関係を持ち、レスビアンあり、3Pありで、いささか食傷気味になる。

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りりこの部屋の調度品の多くが、監督自身の家から運び込まれたものだという。監督らしいカラフルでポップなロココ調の画面が、りりこのメリハリのきいた生き様にマッチしている。

ヘルタースケルター(helter skelter)は、「狼狽」や「混乱」の意味。もともとも意味は「螺旋状の滑り台」。
ビートルズの楽曲に『Helter Skelter』(1968年)があり、日本盤では『しっちゃかめっちゃか』と訳されている。1969年にシャロン・テート事件を引き起こしたチャールズ・マンソンに多大な影響を与えた曲だという。→映画(全般) ブログランキングへ