料理

『エスカルゴ兄弟』津原泰水

本物のエスカルゴ料理が看板メニューの店をオープンさせ、軌道に乗せようと悪戦苦闘する人たちの物語。
著者のグルメ蘊蓄が炸裂し、ストーリーのキーとなっている。

編集社に勤める柳楽尚登(なぎらなおと 27歳)は、エスカルゴ専門店の厨房を任されることになった。エスカルゴ料理の店を出す理由は、絶滅寸前のブルゴーニュ種エスカルゴ「ポマティア」の完全養殖に成功した人物を、カメラマンの雨野秋彦が取材したことがきっかけであった。社に出入りする秋彦の話に社長がのったのだ。

エスカルゴ兄弟
エスカルゴ兄弟
posted with amazlet at 16.08.31
津原泰水(Tsuhara Yasumi
KADOKAWA/角川書店
2016年8月

開店に向けて、秋彦の父親がやっている立ち飲みモツ煮込み屋のリニューアル計画は、尚登の意志に関係なく進んでいて、店名は秋彦がこだわる「ぐるぐる」を意識して「スパイラル」になった。
モツ煮込み屋の看板娘・白髪の剛さんは「解雇されるから来るな」というし、秋彦の妹・梓は「上手くいくわけない」と、尚登にとってまったく旗色が悪い。

実家が讃岐うどん屋の尚登は、松坂のエスカルゴ・ファームに研修に行ったさいに、コシが命の讃岐うどんの宿敵である、ふにゃふにゃ食感の伊勢うどん屋の看板娘・ソフィー・マルロー似の桜に一目惚れしてしまう。そんな桜には、喉越し抜群の秋田稲庭うどんの老舗から縁談がきて、うどんの名産地が三つ巴の状況になる。

リニューアルにさいし解雇した剛さんを拝み倒して再雇用したことで、店はなんとか軌道に乗りつつあったが、尚登の出向取り消しという社長の無軌道な命令が下る。思いつきで事を決断する社長と秋彦に、尚登は振り回されるばかりである。
この危機に、料理に天賦の才をもつ梓が厨房に入るのだが、そうそう上手くはいかない。

終章は「続編に続く」を匂わせている。

『カレーライスと日本人』森枝卓士 

カレーライスの古典の名著が文庫で復刻された。本書の原本は、1989年に講談社現代新書として発刊されている。
カレーライスのルーツ探りからはじまる。
まずは、インドを取材するが、インドのカレーが日本に伝えられたという証拠をつかめないまま、著者はイギリスに渡る。

カレーライスと日本人 (講談社学術文庫)
森枝 卓士
講談社学術文庫 2015年8月

イギリスでの対応は、そんなこと調べてなんになるのかという冷たいものだった。
それでもめげず、今はネスレの傘下にあるC&Bの本社を訪ねる。
C&B社には資料がなかったが、以前に日本のテレビ局の取材で、C&B社がカレー粉を初めて商品化したことを知らされたという。
1884年の商品リストをみるとピクルス、ビネルガー、サラダオイル、肉魚の缶詰...など56項目あって、カリーパウダー&カリーペーストは28番目に載っている。このカリーパウダー&カリーペーストが日本に伝わり、カレーライスになった。

では、日本国内でのカレーはどのようにして広まったのか。
驚くことに、初めてのカレー料理の記載は、明治5年(1872年)発刊の『西洋料理指南』のカエル肉のカレーだという。明治19年(1886年)の『婦人雑誌』にカレーの作り方の記載があり、玉葱を使っているが、今のような野菜は入らない肉のカレーである。明治31年(1998年)の『日本料理法大全』にはカレーライスが登場し、カレーライスが和式洋食の座を獲得したといえるという。
夏目漱石の『三四郎』(1908年)に、カレーが出てくる。
『家庭実用献立と料理法』(大正4年刊、1915年)に、やっと具が入ったカレーが登場する。明治時代の「ソース型カレー」が、大正時代になって「シチュー型カレー」になった。

そして軍隊でカレーライスが採用され、調理法が広まっていった。軍隊でカレーが重宝された理由は一皿で栄養のバランスが良いからであった。
ちなみに、おふくろの味として君臨する肉じゃがも軍隊が発祥である。
昭和38年(1963年)、ハウス・バーモントカレーが発売されてから、家でカレーを作るといえばカレールウをと使うことが常識になった。

カレー粉がイギリスではなくインドから入ってきていたら、日本がカレー王国になったか疑問であるとし、日本には、欧米から学ぶことをありがたがるが、アジアのものだと見下す意識があったからという。

補遺では、これからは札幌のスープカレーのように、その地方特有のカレー文化が広まるのではないか。なぜならカレーは融通無碍だからと結ぶ。

『バルサの食卓』上橋菜穂子・チーム北海道

ファンタジー小説『狐笛のかなた』『精霊の守り人』『獣の奏者』『天と地の守り人』などで、著者が発案した料理を実際に作ってみて、レシピを紹介し、その料理に関するエッセイが挟み込まれて構成されている。バルサは「守り人シリーズ」の主人公で、短槍使いの女用心棒。

バルサの食卓 (新潮文庫)
上橋 菜穂子 チーム北海道
2009年8月 ★★★★

物語に登場する料理を本にまとめるアイデアは、『小さな家の料理の本』『赤毛のアン レシピ・ノート』『ムーミン・ママのお料理の本』『鬼平料理帖』など、本作以外にもいくつかある。

料理は『南極料理人』で有名な西村淳氏が担当し、そのほか西村氏の奥様や写真家などが、チーム北海道として参加している。

各作品に描かれている著者のオリジナル料理は、野趣豊かである。それを料理人が現代風にアレンジしている。
例えば「サンガ牛の炙り焼き」はエスニック感が漂うが、アレンジされた料理は「牛肉のローストビーフ風」となる。
詳しいレシピが載っているので、料理作りに挑戦することもできる。
料理の匂いすら漂ってくるような気がして、料理が登場する作品を読みたくなる仕掛けになっている。

→『精霊の守り人
→『闇の守り人
→『夢の守り人
→『虚空の旅人
→『神の守り人
来訪編

→『神の守り人
帰還編
→『蒼路の旅人
→『天地の守り人
第1部 ロタ王国編

→『天地の守り人
第2部 カンバル王国編

→『天地の守り人
第3部 新ヨゴ皇国編
→『流れ行く者
守り人短編集

→『バルサの食卓

→『孤笛のかなた
→『鹿の王 上下

『全国駅そば名店100選』鈴木弘毅

かつて、中央線御茶ノ水駅の神田駅側の出口から50メートル下ったところにあった立ち食いそば屋に、頻回に立ち寄った。「天玉そば」をよく食べた。
駅そばの定義は、駅構内または駅周辺(徒歩5分以内)に立地していること。安い早いセルフ、それと立ち食いであることの5項目。

全国駅そば名店100選 (新書y)
鈴木 弘毅 (Suzuki Hiroki
2015年2月

以前は優遇されアグラをかいていた感もあった駅そばだが、最近はコンコースや駅ナカに他のファーストフードの店が進出して、また駅前にもファーストフードやコンビニが出店して競争が激化しているという。
著者は、駅そばをいわゆる街の中の蕎麦屋と比較するのは、吉野家と料亭を比べるようなものだという。駅そばは、旨い不味いよりも、どれだけ話題を提供してくれるかで評価されるべきもののようだ。
駅そば発祥の地が軽井沢駅だというのは意外だ。→ブログランキングへ

BS放送の久米書店で本書が紹介され、著者は次のようなことを言っていた。
たぬきそばで、その店の実力がわかるのだそうだ。
女性を取り込めば、男も寄ってくる。
駅のホームだけではやっていけない、営業努力が必要。
駅そばで町おこしをしたところもある。

『料理長が多すぎる』レックス・スタウト

世界各地から選ばれた10名の有名料理人が架空の保養地カノーワ・スパに集まって、晩餐会が開かれる。
その前の夜に味見コンテストが行なわれ、嫌われ者の料理長が殺された。
殺された料理長は、回りを蹴落としてのし上がって功をなし名を遂げた人物である。
集まったほかの誰もが殺されて当然だと思っているような野心家だ。
同僚の料理長から女房をかっさらってもいる。女房を奪われた調理長も、その女房もカノーワ・スパに集まっている。

料理長が多すぎる (ハヤカワ・ミステリ文庫 35-1)
レックス・スタウト
平井イサク 訳
1978年10月

晩餐会に招待されていた探偵のネロ・ウルフによって、犯人探しが行なわれるのだが、蘭とビールを愛するネロはもちろん美食家、体重はざっと310ポンド(140キロ)ある。別名、安楽椅子探偵と呼ばれている。
ネロが歩き回ることはごく限られているため、どでかいネロの手足となって謎解きの手助けをするアーチー・グッドマンが「私」。
料理がそこかしこに現れて、食に興味がある者にとって楽しい謎解きタイプのミステリである。
晩餐会の料理にはアメリカ南部の素材が使われている。その晩餐会のメニュー表は以下。(2009年3月)→ブログランキングへ

ウェストヴァージニア州 カノーワ・スパー
1937年4月8日 木曜日
<アメリカン・ディナー>
殻つきベークド・オイスター
テラピン メリーランド風 型抜きビスケット添え
パン・ブロイルド・ヤング・ターキー
ライス・コロッケ マルメロ・ゼリー添え
リマ・ビーンズ クリーム煮 サリー・ラン
<スタウト流アヴォカード>
パイナップル・シャーベット スポンジ・ケーキ
ウィスコンシン・デーリー・チーズ ブラック・コーヒー

『ずるずる、ラーメン』

ラーメンに関するのエッセイ31作と漫画1作が収録されている。
筆者たちが、ラーメンに求めているのはタイトルから感じ取れるように、ジャンクさである。粗野で正統でないもの、悲哀や懐かしさを感じさせるもの。それゆえ、悲しいかな毒のような扱いをされても、決して栄養のバランスがいいとは論じられない食べ物が、ラーメンである。
それは、中華料理店のラーメンであろうと、ラーメン屋のラーメンであろうと、インスタントラーメンであろうと同じである。

ずるずる、ラーメン (おいしい文藝)

河出書房新社
2014年6月

・「なんだ、コレハ」のラーメンを食べた話。「駅路地裏裏ラーメンの謎」椎名誠
・ついラーメン3杯を食べてしまった。「度を越す人」宮沢章夫
・なじみのラーメン屋の一時閉店の事情。「相撲とラーメン」川本三郎
・山形の冷やしラーメン。「はっこいラーメン」角田光代
・親父と水商売系の若い女がやっている店。「麗しの愛人ラーメン」池上永一
・旨い味噌ラーメンを出した札幌のラーメン屋が閉店。「幻のラーメン」吉村昭
・天下一品でこってりラーメンと唐揚げ定食をつい食べてしまう。「すべてはこってりのために」津島記久子
・花粉症の原因であるぶた草を探そうと自転車で出かけて、たどり着いたとんでもないラーメン屋。「悪魔のマダム」久住昌之
・天願屋でラーメンを食べる。「静謐なラーメン」町田康
・ラーメンを食べる女性が増えることを願う。「ラーメン女子の実態」島本理生
・外国での取材旅行から帰ったら、絶対ラーメン屋に直行する。「ソウルフードか、ラーメンか?」内澤旬子
・中国で仕事をする弟が日本に帰国したときに食べたがるのはラーメン。「ラーメン」内館牧子
・午後2時のラーメン屋にてラーメンが出てくるまで。「午後2時のラーメン屋」東海林さだお
・札幌のラーメンは帰るための儀式。村松友視
・酒を飲んだ後にラーメンを食べることは、死の欲動(タナトス)としての塩漬けになる、という御高説。「タナトスのラーメン」千葉雅也
・母親と食べた屋台のラーメンにはじまり、冷やし中華は安物にかぎると結ぶ。「屋台のラーメン」林静一
・高校の寮住まいのころの、ラーメン屋と焼肉屋の思い出。「仙台のラーメンとホルモン焼き」丸山健二
・タンメンと焼き餃子は大田区が発祥。「焼き餃子とタンメンの発見」片岡義男
・小津安二郎監督の話。「支那そば大会」池部良
・『にっぽんラーメン物語』に書かれている、日本で最初にラーメンを食べた人物が水戸光圀という説は根拠が希薄である。「日本ラーメン史の大問題」丸谷才一
・真夜中にインスタントラーメンを作って食べる話。「真夜中のラーメン」北杜夫
・日本のラーメン、ワンタンはさっぱり旨くないが、シュウマイはちらほらいいのができるようになった。「ラーメンワンタンシューマイヤーイ」開高健
・台湾で食べた絶品のラーメンと小籠包。「元盅土鷄麺という名のソバ」古波蔵保好
・ニンニクたっぷりのベトナムラーメンを食べさせる店で、エロ写真展を開いた話。「カルロ・パンティとベトナムラーメン」荒木経惟
・行きつけの店で、〆に食べたヨーグルト入りトルコ風ラーメン。「トルコ風ラーメン」馳周
・ラーメン大好き小池さんのお嫁さんが3食手料理を作ってくれるのはいいが、インスタントラーメンを食べたいと言い出せない小池さんの葛藤。「あこがれのラーメン」藤子・F・不二雄/藤子不二雄A
・サッポロ一番みそラーメン歴37年。「わが人生のサッポロ一番みそラーメン」森下典子
・試食したチキンラーメンに始まるインスタントラーメンとの付き合い。「ラーメン時代」曽野綾子
・ビルマでカップヌードルを食べた話。「仏陀のラーメン」沢木耕太郎
・カップラーメンは容器の形が絶妙で量もちょうどいいが、カップ焼きそばは多すぎて持て余すといったようなことが書かれている。「ラーメンに風情はあるか」吉本隆明
・カップラーメンの雲呑麺に書かれている「至福の一杯」という言葉に惹かれる。「最近の至福」江國香織
・節約してラーメンを食べるのは健康という高い代価を払うこと。「ラーメン」石垣りん→ブログランキングへ

『世界の野菜を旅する』玉村豊男

食の大国フランスへの留学経験がある著者は、野菜のルーツを求めて旅し自ら野菜を栽培し資料を渉猟して、野菜と食に関する薀蓄が満載された本書を書いた。
伝わってきた穀物や野菜によって、その土地の文化や歴史が、それまでとはまったく違ったものになってしまうことがある。例えば、わが国が瑞穂の国となったのは大陸からの渡来人がコメを持ち込んだおかげであるし、戦後にパン文化が広まったのはアメリカ政府の強引な小麦販路拡大政策のせいである。
穀物や野菜を通して歴史的な出来事を見ると別の視界が開けてくるのである。

世界の野菜を旅する (講談社現代新書)
世界の野菜を旅する
posted with amazlet at 14.10.09
玉村豊男(Tamamura Toyoo
講談社新書
2010年10月 ★★★★★

本書に書かれている野菜にまつわる歴史的な出来事を挙げると、
ジャガイモがヨーロッパにもたらされたのは、1532年にスペインのフランシスコ・ピサロたちがペルーを征服したときである。持ち帰ったジャガイモが教皇に献上された。ジャガイモは貧者のパンと呼ばれ、飢饉をのり越えるための救荒作物として、ヨーロッパからスカンジナビア、イギリスやアイルランドに広がっていった。
ヨーロッパにおいてベト病がジャガイモを襲い飢饉が起こった1845年からの7年間で、アイルランドでは150万人が餓死し、150万人がアメリカに移住した。アイルランドが麦の栽培を止めて、主食をジャガイモに切り替えたことが悲劇につながったという。

コロンブスがコショウを求めてカリブ海に迷い込み、インドと思って先住民をインディアンと呼び、さらに、トウガラシをコショウと信じ込み、食物史における大間違いを犯してしまったというのは有名な話である。ちなみに、トウガラシが原料なのに九州特産の柚子コショウが柚子トウガラシと呼ばれないのは、コロンブスのせいである。柚子コショウの方がネーミングとして魅了的ではある。
ヨーロッパがコショウ、グローブ、ナツメグ、シナモン、クミン、カルダモンなどの香辛料を必要としたのは、肉の保存ためだった。著者は、香辛料をまぶした腐りかけたジビエのえも言われぬ旨さが、貴族たちを魅了したのではないかという。

17世紀にh入り、西インド諸島でサトウキビから砂糖が作られるようになり、その砂糖がヨーロッパに持ち込まれ、最後はデザートにするというフルコースの順番が確定したという。ちなみに、デザートはサービスするの反対語で、テーブルの上のものをすべて下げる行為をいう。これで前半戦は終わり、ここからお待ちかねの後半戦という区切りの意味する言葉。
西インド諸島でサトウキビ栽培や砂糖生産に、アフリカから1000万人もの黒人が奴隷として送られた。これが、アメリカ大陸にその後も続く奴隷制度の悲劇をもたらしたのである。
ヨーロッパでは、地中海周辺の南の地域でしかサトウキビは栽培できなかった。ナポレオンが甜菜糖(ビーツ)に目を付け、フランスで甜菜糖の栽培に成功し砂糖を作ることができるようになり、砂糖の値段が下落したという。さらに、ナポレオンが戦争のための食料の保存法に懸賞金をかけ、缶詰が開発されたという。ナポレオンは食の歴史にも大きな足跡を残していた。
とういうような蘊蓄が、たっぷりと書かれている。→ブログランキングへ

『学校は食卓である』玉村豊男 講談社新書 2010年
世界の野菜を旅する』玉村豊男 講談社新書 2010年
『料理の四面体』玉村豊男 中公文庫 2010年

続きを読む "『世界の野菜を旅する』玉村豊男" »

『男のパスタ道』土屋 敦

著者は、文献を渉猟し、独自にデザインした実験を行い、二重盲検法と著者がいう手順で自らと家族が試食をしその結果を分析する、これを繰り返して究極のスパゲッティ・オーリオ・エ・ペペロンチーノ作りに邁進する。

平野レミさんに「バカねぇ~」と言われたくて追求したと、プロローグで書いているが、男はこういうバカな発想をする。
だからタイトルはぴったりなのである。

男のパスタ道 (日経プレミアシリーズ)
土屋 敦 (Tsuchiya Atsushi
日本経済新聞出版社
2014年6月  ★★★★

まずは、すべての麺の究極の問題である、麺のコシおよびパスタのアルデンテとはなんぞやからいく。
ここでは、自らの手でパスタのでんぷん質とグルテンを仕分し、家族を巻き込んだ実験を繰り返し行っている。

著者がたどり着いた究極のコツの一部を挙げると、100gのパスタを茹でる水1リットル、それにに25gという「脅威の量」の塩を入れる。塩を入れるのはパスタに塩味をつけるため。茹で上がったら熱湯をくぐらせ、余分な塩分を落とす。塩はミネラル分が豊富な海塩がおすすめ。
パスタは太さ2.1mmのヴェルミテェッリを選んだ。
太白ゴマ油でニンニクを炒め、香りづけにエクストラ・ヴァージン・オリーブオイルを使うのがベスト。オリーブオイルでなくてゴマ油というのは驚きである。
ニンニクはスペイン産を使い、5mm角の小口切りをすすめる。
唐辛子はイタリア産がおすすめ、鷹の爪なら天日干しのもの、韓国産唐辛子は合わない。
フライパンは熱伝導がいいアルミ製を使い、むやみに揺すらない。

本書1冊がペペロンチーノのレシピであると書いているが、それは大げさではなかった→ブログランキングへ

『世界ぐるっと肉食紀行』西川 治

肉を食べることは、ある意味でいかがわしいことであり、エロティックなことでもある。その反面、命をいただくことから、宗教的になったり哲学的であったりする。そうしたことをうっちゃって、本書の趣旨は肉食いの晴れやかさを追求することにある。

世界ぐるっと肉食紀行(新潮文庫)
西川 治(Nishikawa Osamu
新潮文庫
2011年2月

カメラを担いで各国を巡る著者は、牛から始まって、豚、鶏それに七面鳥と食べる。
つぎは羊を食べて、内臓料理のあれこれにいって、ゲテモノたちを食べて、さらにジビエを追求して、著者の胃袋にはなんでも詰め込まれる。その健啖ぶりは賞賛に値する。

スペインでの件はこうだ。<たいていのスペインの男の子の夢は、サッカー選手になって、ハモンセラーノ(生ハム)を毎日、腹一杯食べられるような生活をすることらしい。>
大人になったら肉を腹一杯たべられるようになりたいというのが、子どもたちの夢だ。それは、昔も今も世界中どこでも変わらないと言いたいところだが、ハングリー精神が希薄になった日本ではどうだろう。

話は変わるが、もし、日本人が四つ脚動物をもっと早い時代からおおっぴらに食べていたら、基本的には「獲得形質は遺伝しない」とされるが、ダーウィンの自然淘汰の考えからすれば今より多少は体格ががっしりしたのではないだろうか。もともと持っている敏捷さに頑丈さが加わって、さぞやサッカー向きの人種になっていたんじゃないかと、W杯での日本の活躍を祈って、本書の趣旨と関係のないことを連想した。→ブログランキングへ

【食に関する本】
とことん!とんかつ道/今柊二/中公新書ラクレ/2014年
美食の世界地図 料理の最新潮流を訪ねて/山本益博/竹書房新書/2014年
クスクスの謎―人と人をつなげる粒パスタの魅力/にむらじゅんこ/平凡社 新書/2012年
冬うどん 料理人季蔵捕物控/和田はつ子/ハルキ文庫 2012年
世界ぐるっと肉食紀行/西川治/新潮文庫/2011年
ラーメンと愛国/速水健朗/講談社現代新書/2011年
高級ショコラのすべて小椋三嘉/PHP新書/2010年
チョコレートの世界史―近代ヨーロッパが磨き上げた褐色の宝石/武田尚子/中公新書/2010年
グルメの嘘/友里征耶/新潮新書/2009年
吉田類の酒場放浪記/TBSサービス/2009年
古きよきアメリカン・スイーツ/岡部史/平凡社新書/2004年
食べるアメリカ人/加藤 裕子 /大修館書店/2003年
至福のすし「すきやばし次郎」の職人芸術/山本益博/新潮新書/2003年
フグが食いたい!―死ぬほどうまい至福の食べ方/塩田丸男/講談社プラスアルファ新書/2003年
カラ-完全版 日本食材百科事典/講談社プラスα文庫/1999年
インスタントラーメン読本/嵐山光三郎/新潮文庫/1985年
アメリカの食卓/本間千枝子/文春文庫/1984年

『大統領の料理人』

ミッテラン大統領の女性料理人ダニエル・デルプエシュの実話をもとに作られた。南極基地のシーンとエリゼ宮でのシーンが交互に映し出される。大統領の料理人に抜擢された主人公は、そのあと南極観測基地の料理人になり、さらに新天地に向かう。

大統領の料理人 [DVD]
大統領の料理人 [DVD]
posted with amazlet at 14.06.12
Les saveurs du Palais
監督:クリスチャン・ヴァンサン
原案:ダニエル・マゼ=デルプシュ
脚本:クリスチャン・ヴァンサン/エチエンヌ・コマール
音楽:ガブリエル・ヤーレ
フランス  2012年 95分 ★★★★

フランスの田舎町でレストランを経営するオルタンス(カトリーヌ・フロ)は、大統領のプライベート料理人としてエリゼ宮へ招聘される。なぜ自分が選ばれたかを訊ねると、ジュエル・ロブションの紹介があったと告げられる。オルタンスは「そういえば、何かの会で名刺を交換したことがあったわ」とつぶやく。

__3

オルタンスを待ち受けていたのは、宮殿の料理のすべてを担当してきた厨房の男社会。彼女は働きすぎで足が疲労骨折となりながらも、優秀な助手ニコラの献身的な働きに支えられ、大統領の信頼を得ていくのだが、なにかと料理長一派とぶつかる。

__2

一方、フランスの南極基地では、エリゼ宮を去ったあとのオルタンスが大統領の元料理人として、マスコミに追いかけられる。ともかく、彼女の作る料理が抜群に旨くて、隊員たちは食事のたびに目をキラキラ輝かせている。
マスコミ記者もオルタンスの料理に舌鼓を打つのだった。

エリゼ宮でのオルタンスの仕事が軌道に乗り始めたころ、彼女の作る料理が大統領の持病である糖尿病を悪化させたと、医者や栄養士がケチをつけ始める。さらに、トリュフの仕入れに使った交通費が個人的なものとされ、食材の値段が高すぎるとか、オルタンスの締め出し包囲網が狭められていく。そうして、ついにオルタンスは「やってられないわ」とエリゼ宮を出て行くのである。

_

オルタンスの立場を理解している大統領は、厨房に行き言葉をかける。孤軍奮闘する女料理人と常に孤独で決断を迫られる大統領には相通じるものがあった。

南極基地では、オルタンスの任期が終わりに近づき、惜しまれながらのさよならパーティが開かれる。そしてオルタンスは、極上のトリュフを求めて新天地に旅立っていく。→ブログランキングへ

【食に関する映画】(サイト内リンク)
大統領の料理人』(12年)
シェフ! ~三つ星レストランの舞台裏にようこそ~』(12年)
二郎は鮨の夢を見る』(11年)
洋菓子店 コアンドル』(11年)
エル・ブリの秘密  世界一予約の取れないレストラン』(11年)
トースト~幸せになるためのレシピ~』(10年)
再会の食卓』(10年)
食堂かたつむり』(10年)
ラーメンガール』(09年)
女と銃と荒野の麺屋』(09年)
ジュリー&ジュリア』(09年)
ミラノ、愛に生きる』(09年)
幸せのレシピ』(07年)
UDON』(06年)
サイドウェイ』(04年)
フライド・グリーン・トマト』(91年)
料理長(シェフ)殿、ご用心』(78年)