ゼロ・グラビティ
劇場で迫力を実感しながら堪能する作品である。いまさら嘆いても遅いが、この作品をDVDで観てもありがたみがない、あのとき観にいけばよかったと反省した。
あらすじは、主人公たちが宇宙の船外作業中に、宇宙ゴミに襲われて地上との連絡が途絶える。宇宙ステーションもスペースシャトルも破壊された極限の状況で、主人公がいかにして地球に帰還するかを描く。英米のロシアと中国への批判となっているところも見逃せない。
出演者は実質ふたりである。
宇宙空間での船外作業を行っているライアン(サンドラ・ブロック)、マット(ジョージ・クルーニー) 、シャリフに、ヒューストンから「膨大な量の宇宙ごみが流れてくるので至急船内に戻れ」との緊急指示が出る。しかし間に合わずシャリフは即死、ライアンとマットはなんとか助かり、宇宙船に戻ろうとする。
ゼロ・グラビティ Gravity 監督:アルフォンソ・キュアロン 脚本:アルフォンソ・キュアロン/ホナス・キュアロン 音楽:スティーヴン・プライス アメリカ イギリス 2013年 91分 |
事の元凶はロシア。ロシアが自国の衛星を破壊したところ他の衛星も破壊され、膨大な量の宇宙ゴミが発生し、高速で拡散してしまったのだ。
ヒューストンとの連絡が取れなくなり、再び宇宙ゴミに襲われふたりは自らの体をコントロールできなくなる。唯一残された道はふたりを結ぶ命綱を切ること。躊躇するライアンに構わずマットは自ら命綱を外して、ジョークを言いながら宇宙の闇に消えていく。
ひとりぼっちになったライアンは、ISS(国際宇宙ステーション)に何とかたどり着くが、それもつかの間、ISSは火災に見舞われれ、さらに再び宇宙ゴミが高速で接近してISSを大破させてしまう。
なんとかロシアのソユーズに乗り込んだライアンは発進させようとするが、燃料切れでエンジンが作動しない。もはやこれまでと諦めたかけた、その時マットが現れて船内に入り、着陸時の逆噴射装置を利用して中国の宇宙船までの推進力とするよう助言する。
しかしマットはライアンの幻覚だった。
宇宙空間でひとりとなったライアンが幻覚を見たとしてもおかしくない。
観ている者は、マットが助けにきてくれると願っているところに、実際にマットが現れてほっと一息ついたところで、幻想と明かされて、やっぱりそんなこと宇宙ではあり得ないよなと思うのだ。
あとは、ただただライアンが無事で地球に帰還することを願う心理状態になっている。
ライアンはマットの指示通りに中国の宇宙船に乗り込み、「ソユーズと同じ設計だ」とマットの言ったことを思い出し、スイッチ類を操作する。そうしてともかく地球にたどり着こうとするのだ。
本作には、ロシアの不手際が元凶となり宇宙船も宇宙基地も破壊され、アメリカ人が死亡し、ロシアのコピーの中国製宇宙船に乗って帰還するという、宇宙開発は国同士が協力して行わなければならないという平和的な意味が込められいるようでもあり、がさつなロシアとなんでもコピーしてしまう中国への揶揄も込められている。→人気ブログランキング
→ にほんブログ村