ハードボイルド

台北プライベートアイ 紀 蔚然

プライベートアイとは私立探偵のこと。
台北市に登場した新探偵を拍手をもって迎えたい。
司馬遼太郎の小説の一節や宮崎駿の『トトロ』の話が出てきたり、日本風のカフェが出てきたり、横溝正史や江戸川乱歩が引用されたりして、いたって親日的なのだ。
この小説のクライマックスは主人公と連続殺人犯とが闘うハードボイルドなシーンである。著者は先進国におけるシリアルキラー論に言及し、それと対比して台湾人論を展開している。本書は台湾の社会文化論の内容を含んでいる。
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紀 蔚然(き・うつぜん)/船山むつみ 
文藝春秋 
2021年 383 頁

50歳がらみの劇作家で大学教授の呉誠(ウー・チェン)は、妻に愛想をつかされ離婚し、大学を辞め演劇界とも縁を切り、マンションを売ってうらぶれた臥龍街に引っ越した。呉誠が退路を絶って私立探偵としてやっていこう決めた、そのきっかけとなったのが亀山島(グイシャンダオ)事件である。演劇関係者との宴会で、呉誠は酔いも手伝って仲間や後輩たちを次々に罵倒したのだ。呉誠の言葉は核心をついていたが、それは凄まじいものだった。その荒れた宴会を境に、呉誠は周りとの関係がギクシャクしだした。
呉誠は、大学に入った冬に眠れなくなり医師に薬を処方してもらい、それ以来パニック障害と戦っている

初めての依頼は林夫人からのものだった。3〜4週前からひとり娘が夫を無視しだしたという。まるで仇を見るような目で夫を見るという。その真相を明らかにするのが依頼の内容で、依頼料は3万円プラスタクシー代だ。夫の林氏は中央健康局台北支局総合サービスセンターで働いている会計監査課副課長、誇り高き公務員である。
第一の事件は尾行という探偵の初歩テクニックを駆使してなんとか片付けた。

実は呉誠が第一の依頼を捜査する間に、呉誠の家から20分の所で一人の男が死体となって発見されていた。その男を含む比較的年配の被害者3人が後頭部を鈍器で殴られ殺された。
呉誠がその連続殺人の容疑者として逮捕された。逮捕の理由は公園の防犯カメラに被害者たちと一緒に写っている画像があったからだ。
呉誠はテレビで活躍するやる気満々の弁護士、涂耀明(トォー・ヤオミン)を雇った。情報をリークした警察や、名誉を毀損する報道を行なったマスコミと真正面から闘う姿勢をとったのだ。→人気ブログランキング
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俺はエージェント

帯の「元厚労事務次官・村木厚子さん絶賛‼︎」に惹きつけられた。氏は巻末の解説を担当している。
スパイ小説好きの俺こと村井がいつもの居酒屋で飲んでいると、白川さんに電話がかかってきた。「コベナント」とひと言が告げられたいう。
店を出ると、近所のボロ屋に連れて行かれ、白川さんは村井に「私に従うほうがいい、君は『コベナント』に巻き込まれている」といった。「コベナント」とは極秘ミッションの発動を伝える暗号である。
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大沢在昌
小学館文庫
2021年

74歳の白川さんは冷戦時代に組織された国際諜報組織オメガの凄腕エージェントだった。コードネームはA5、5人目のエージェントである。オメガはアルファという組織と敵対している。アルファは自分たちの利益を追求する組織だ。
村井が軽自動車で白川さんを拾おうとしていると、居酒屋の女将が「八百屋に乗っけてって」と乗り込んできた。待合わせの場所に着くと、白川さんは女将を撃ち殺した。理由は女将はアルファの手先で、村井を殺そうとしたからだという。こうして村井は憧れのエージェントの世界に足を踏み入れた。
村井は両親が離婚した後父親に引き取られ、父親が亡くなり郷里に親戚はおらず、母親とは音信不通であり、エージェントとしてはもってこいの天涯孤独の身だった。

村井と白川さんはオメガのマドンナA2に会う。マドンナといっても白川さんより年上の白髪の老女だ。孫の茶髪のミクは、A2によってエージェントの心得が仕込まれていて、筋がいいらしい。

一方、オメガとアルファの上をいくキングダムという組織は、先進国の官僚OBで構成されている新しい組織だ。世界を自分たちの手で動かそうと目論んでいる。
「コベナント」が発令されたことで、登場人物の立場の違いが浮き彫りになっていき、現在の思惑と昔の遺恨とが交錯する。

なぜ冷戦時代のエージェントが腰をあげなければならないのか。官僚OBがキングダムを組織する理由は何か。いつまでも自分の居場所を求めようとする老人たちの欲望か。それは、なかなか正体が明らかにならない「コベナント」を発令した人物とともに謎なのだ。

2010年、当時厚労省局長であった村木厚子氏は、障害者施設に郵便料金を優遇した罪で逮捕され収監された。しかし大阪地検特捜部が証拠を改竄していたことが判明し、逆に主任検事が逮捕された。
手柄を立てなくてはならないという地検の焦りが証拠を改竄して事件を作り出しのたと同じ理由で、本書ではリタイヤした者の未練が問題を引き起こしていると、村木氏は分析している。→人気ブログランキング

壊れた世界の者たちよ ドン・ウィンズロウ

ドン・ウィンズロウは、1991年『ストリート・キッズ』でデビューした。その後多くの賞を獲得し、映画やテレビドラマの原作として多数の作品が採用されている世界的ベストセラー作家である。最近はメキシコの麻薬戦争を描いた『犬の力』『ザ・カルテル』『ザ・ボーダー』の3部作を完成させた。
これまでの作品は長編であったが、本書には6編の中編が収録され、ウィンズロウの新しい魅力が詰まっている。 尊敬するスティーヴン・キングが長編ばかりでなく、短編や中編に数多くの作品を書いていることに触発されたという。
過去の作品(『野蛮なやつら』『キング・オブ・クール』『ボビーZの気怠く優雅な人生』)からのキャラクターが登場する作品があり、ウィンズロウ・ファンにとってはたまらない楽しさがある。
Photo_20200817142301 壊れた世界の者たち
ドン・ウィンズロウ/田辺俊樹
ハーパーブックス
2020年 ✳︎10

「壊れた世界の者たちよ」
舞台はニューオリンズ。新興の麻薬犯罪組織に弟を殺された麻薬取締班のジミーが復讐のため、組織のボスの隠れ住むコンドミニアムを襲撃しようとする。警察隊はコンドミニアムを包囲するが、動こうとはしない。ジミーたちに好きにやらせようとしているのだ。なおタイトルは、『武器よさらば』(アーネスト・ヘミングウェイ)〈この世では誰もが壊される。が、壊された場所でより強くなる者も少なくない。〉からきている。

「犯罪心得1の1」は「スティーブ・マックイーンに捧げる」としている。
カリフォルニアのハイウェー101号沿いで起こった11件の宝石強盗事件は、華麗な手口で行われた。サンジェゴの辣腕刑事が解決しようとする。

「サンジェゴ動物園」は、エルモア・レナードに捧げられている。
拳銃を持って逃走したチンパンジーの捕獲騒動が縁で、新米の警察官と博士号を持つ動物学者の女性の間に恋がめばえるという、なんともユーモアがあふれる作品。

「サンセット」は、レイモンド・チャンドラーに捧げられている。
麻薬中毒の伝説のサーファーが裁判をすっぽかし、女から宝石を盗み逃げている。保釈保証業者に依頼されて凄腕の私立探偵が動く。作品の中にはウエストコースト・ジャズが流れている。2018年9月、カリフォルニア州は保釈金制度を廃止することを州議会が決めた、物語にはその影響も組み込まれている。

「パラダイスー ベンとチョンとOの幕間的冒険」
ハワイのカウワイ島で大麻ビジネスを展開しようとしたグループが、地元マフィアから妨害され、壮絶な銃撃戦が繰り広げられる。

「ラスト・ライド」
国境警備隊員が不法移民の少女をメキシコに住む母親に引き渡そうとする話。
トランプ大統領の移民政策を批判する意味も込められている。→人気ブログランキング

壊れた世界の者たち/ハーパーブックス/2020年
ボビーZの気怠く優雅な人生/角川文庫/1999年
ストリート・キッズ/創元推理文庫/1993年

マルタの鷹

『マルタの鷹』は、アメリカの大衆向け雑誌『ブラック・マスク』に1929年9月号から1930年1月号に連載され、同年に単行本として発刊された、ハードボイルド探偵小説の嚆矢である。アウトロー探偵サム・スペードが、美女の頼みごとを引き受けたばかりに厄介に巻き込まれる。登場人物のキャラクターが見事に描き分けられていて、早いテンポで話が進んでいく。3度(1931年、36年、41年)にわたって映画化されている。
ただただ傑作と言わざるをえない。
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ダシール ハメット/小鷹信光
ハヤカワ・ミステリ文庫(改訳改訂版)
2012年

女はサンフランシスコの私立探偵サム・スペードに妹の捜索を依頼する。妹と駆け落ちしたというサーズビーと、サーズビーを尾行したスペードの同僚アーチャーは銃で撃たれて殺される。アーチャーの妻と不倫関係にあったスペードは警察に殺人の容疑をかけられてしまう。

妹の失踪は作り話で、しかもその女ブリジッド・オショーネシーは偽名を使っていた。オショーネシーはスペードに近づいた本当の理由を明かさない。
そのあと、スペードにカイロという男が接触してきたのは、スペードがオショーネシーから何かを聞き出しているとみたからだ。カイロはスペードに黒い鳥の装飾品を見つけ出したら5000ドル払うという。

さらに脂肪肥りのガットマンが手下にスペードを尾行させる。
このあたりでスペードの前に現れた人物たちの目的は、マルタ騎士団が所有していたという宝石を散りばめた莫大な価値がある装飾品を手に入れることだとわかる。

ガットマンはロシアの将軍が装飾品を所持していることを掴み、カイロ、サーズビー、オショーネシーを代理人として装飾品を手に入れようとしたが、3人はそれを自分のものにしようと策を弄したという。装飾品の表面には宝石を隠すため黒いエナメルが塗られていてる。
それぞれが自分が掴んでいる情報を明かさず、装飾品をめぐって探り合いを繰り広げている。

やがて、スペードのオフィスに胸に銃弾を受け血を流している男が飛び込んできて、スペードに包みを渡したあと事切れた。その包みから装飾品が出てきた。
3人も殺された事件を警察が黙っているはずがない。
スペードは、ガットマンとその手下、カイロとオショーネシーを前に、3人の殺人事件の犯人を警察に提供して、この事件に幕を降ろすことを提案する。装飾品のことが警察の知るところとなれば、事の収拾がつかなくなるというのが理由だった。
ここから、スペードと悪党たちとの駆け引き、警察の執拗な操作が佳境に入っていく。→人気ブログランキング

ダーティハリー2

かつて「ワイアット・アープ症候群」として知られた、新米警官が自らを勇ましく見せるために容疑者に対して過度の暴力を振るう傾向は、『ダーティハリー』の爆発的人気で、「ダーティハリー症候群」と呼ばれるようになった。本作の新人交通係の4人は、社会悪は殺戮をもって制裁するという重症の「ダーティハリー症候群」に罹っている。
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Magnum Force
監督:テッド・ポスト
脚本:ジョン・ミリアス/マイケル・チミノ
音楽:ラロ・シフリン
アメリカ 1973年 124分

ハリーの相棒はどのシリーズでも受難の運命にあるが、今回の相棒は黒人の妻帯者アーリー・スミス。

ハイジャック事件を、ハリー・キャラハン(クリント・イーストウッド)刑事は機長に成りすまして、犯人を容赦なく射殺して事件を解決する。例によって、ハリーは「お前が現れると市民が混乱する、無駄な行動をとるな」と、上司のブリッグス警部補(ハル・ホルブルック)から釘を刺された。

そんな中、裁判で無罪となったマフィアのボスを乗せた車が襲われ、白バイの警察官の男に射殺される事件が起こる。そのあとも、賭博や売春や麻薬の大物が「処刑」される殺人事件が相次ぐ。

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警察の射撃大会で優勝が常連のハリーと決勝戦で対戦したのは、新人交通係のデイヴィス(デイヴィッド・ソウル)。ハリーはデイヴィスの拳銃を借りて的を外して撃ち、あとでその弾を取り出し調べる。友人のチャーリーを撃った弾とデイヴィスの弾が一致し、4人の新人警官が犯人であることを突き止める。
彼らは悪びれることなく、自分たちはなまぬるい法律にかわって悪を裁いただけだとファシスト的な主張をし、逆にハリーを自警団に引き込もうとするが、ハリーは一蹴した。
一転して、犯人たちはハリーのアパートに爆弾を仕掛け、間一髪でハリー助かるも相棒アーリーは即死だった。

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ハリーは上司のブリッグスに新米刑事たちが犯人であることを伝えるが、自警団の黒幕はブリッグス、まさに獅子身中の虫であった。
ブリッグスに44口径マグナムを取り上げられたハリーは4人の襲撃を受ける。
素手で戦っても、ダーティハリーは強い。→人気ブログランキング

ダーティハリー Dirty Harry』 1971年
ダーティハリー2 Magnum Force』1973年
ダーティハリー3 The Enforcer』1976年
ダーティハリー4 Sudden Impact』1983年
ダーティハリー5 The Dead Pool』1988年

ダーティハリー

ハリー・キャラハン刑事(クリント・イーストウッド)は、犯人との決着をつけるためには法も上司の命令も無視するという姿勢を、シリーズ5作のいずれでも貫いている。悪に立ち向かうこの論理は、警察国家としてアメリカがとったその後の対外政策に、影響を及ぼしていると指摘されている。強引だが、なんとなくうなづける話だ。第4作でのハリーの言葉「ゴー・アヘッド メイク・マイ・デイ」は、共和党大統領をはじめ右派の人物が演説などで使った有名なセリフである。人権保護やフェミニズムの立場をとる人たちからは、批判を受けた曰く付きのセリフであった。計らずもそうした政治的な意味合いを持ってしまったのが、ダーティハリー・シリーズである。先が見えなくなったベトナム戦争(1965年~75年)下で、シリーズ第1作の本作が撮られた。
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Dirty Harry
監督:ドン・シーゲル
脚本:ハリー・ジュリアン・フィンク/R・M・フィンク/ディーン・リーズナー
音楽:ラロ・シフリン
アメリカ 1971年 102分

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コーヒーショップにいたハリーは、近くで起こった銀行強盗の現場に駆けつけ、強盗に有無を言わさず44口径マグナムをぶっぱなし、事件をなんなく解決させるが、上司からやり方が手順を踏んでいないと小言をくらう。
犯罪者にも権利があるというのだ。ハリーは被害者の権利はどうなる?と言い返す。

 

ビルの屋上のプールで若い白人の女がライフルで狙撃される事件が起こる。
犯人のベトナム帰還兵スコーピオンと名乗る男から届いた市長あての10万ドルを要求する脅迫文には、無差別殺人の予告が書かれていた。
金の調達が遅れると新聞広告を出すと、犯人は黒人少年を殺しカソリック神父を殺した。
さらに14歳の少女を誘拐したと下着と歯が送りつけられてくる。今度は20万ドルを持って指定された場所にひとりで届けろと書かれていた。

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ハリーはメキシコ人のチコとコンビを組むことになる。身代金が入ったカバンを持ったハリーがピンマイクをつけ、チコが車でハリーを追うという方法をとるが、犯人は引渡し場所を次々に変え、チコは追いつけなくなる。
ハリーは公園の巨大な十字架の前で犯人と対峙した。銃撃戦の末、追いついたチコが撃たれてしまう。ハリーが犯人の太腿にナイフを刺し奪われたカバンを取り戻すが、犯人を取り逃がしてしまう。
そして少女は遺体で発見される。

ハリー・キャラハン刑事(クリント・イーストウッド)は、犯人との決着をつけるためには法も上司の命令も無視するという姿勢を、シリーズ5作のいずれでも貫いている。悪に立ち向かうこの論理は、警察国家としてアメリカがとったその後の対外政策に、影響を及ぼしていると指摘されている。強引だが、なんとなくうなづける話だ。第4作でのハリーの言葉「ゴー・アヘッド メイク・マイ・デイ」は、共和党大統領をはじめ右派の人物が演説などで使った有名なセリフである。人権保護やフェミニズムの立場をとる人たちからは、批判を受けた曰く付きのセリフであった。計らずもそうした政治的な意味合いを持ってしまったのが、ダーティハリー・シリーズである。先が見えなくなったベトナム戦争(1965年~75年)下で、シリーズ第1作の本作が撮られた。

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犯人の住居がわかりハリーは踏み込んで捕まえるが、捜索令状をとっていないとの理由で、4人のシリアルキラーにもかかわらず、スコーピオンは釈放されてしまうのだった。
再び殺人を犯すと踏んだハリーは尾行するが、それすらも違法であるとハリーは捜査から外されてしまう。
怒りに駆られたハリーは単独で動き出す。

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スコーピオンはスクールバスをジャックして20万ドルを要求し、ジェット機で高飛びしようとする。
空港に向かうバスを橋の上で待ち受け、屋根にに飛び降りて犯人を追い詰めていく。
最後は44口径マグナムで犯人を撃ち、「犯人の人権?そんなもの糞喰らえ」とばかり、バッジを川に投げ捨てる。→人気ブログランキング

ダーティハリー Dirty Harry』 1971年
ダーティハリー2 Magnum Force』1973年
ダーティハリー3 The Enforcer』1976年
ダーティハリー4 Sudden Impact』1983年
ダーティハリー5 The Dead Pool』1988年

北北西に進路を取れ

タイトルの北北西の意味は、ニューヨークから見たシカゴのこと、あるいはノースウェスト航空を利用したのでこのタイトルになった。さらに『ハムレット』の第2幕「おれは北北西の風が吹くときに気違いになる。南風が吹くときは、鷹もサギもよく見えるよ」からとったなど、諸説あるとのこと。
サスペンスあり、スリルあり、謎解きあり、カーチェイスあり、恋愛あり、有名観光スポットでのアクションあり、のサービス精神満点な作品。名場面が随所に散りばめられた本作が、その後の作品に与えた影響は計り知れないと言われている。
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North by Northwest
監督:アルフレッド・ヒッチコック
脚本:アーネスト・レーマン
音楽:バーナード・ハーマン
アメリカ 1959年  136分

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広告代理業のロジャー(ケイリー・ブラント)は、ふたりの男にニューヨークのホテルから拉致され郊外の邸宅に連れていかれる。そこで待っていたタウンゼントと名乗る男は、ロジャーをジョージ・キャプランと呼ぶが、ロジャーはなんのことだかわからない。強引にウィスキーを飲まされ泥酔させられたロジャーは、自動車に乗せられ事故に見せかけ殺されそうになるが、危機一髪で逃れる。

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ロジャーは、国連でタウンゼントに面会するが、そのタウンゼントは前に会った男と違う。目の前でそのタウンゼントが殺されてしまい、ロジャーは殺人の容疑者にされてしまう。

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こうして、指名手配犯として警察に追われる身となったロジャーは、キャプランとは誰なのかを突き止めるべく、警察の目をから逃れながらニューヨークからシカゴに向かう。
そこでで出会ったのは、味方なのか敵なのかわからないイーブ・ケンドルと名のる謎の美女(エヴァ・マリー・セイント)。イーヴは偽タウンゼント、悪の親玉バンダムの手下だった。そんなことはお構いなしに、ふたりは情熱の夜を過ごす。かつての007シリーズでおなじみのパターンだ。

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シカゴに着くとロジャーは郊外におびき出され、農薬を散布すプロペラ飛行機に追い回され、そこをまたまた危機一髪で逃れる。さらにサウス・ダコタ州のラシュモア山へと彼のキャプランを追う冒険は続く。
キャプランは、本物のスパイからバンダムの注意をそらすための架空のスパイだった。書くとややっこしいが、映画の中ではなるほどとうなずける設定だ。

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いつの間にか味方同士になったロジャーとイーヴは、ラシュモア山のワシントンら大統領の顔が刻まれた岩壁を、敵から逃げる。FBIと警官隊がロジャーたちを救い、悪人たちは岩肌から墜落していった。
そして、ロジャーとイーヴは列車でいちゃつきながらニューヨークへ向かう。これも、ショーン・コネリー時代の「007シリーズ」によく見られるシーンだ。

「この場面はあの作品のあそこで使われていたな」などと思いながら見る本作は、「一粒で何度もおいしい」エンターテイメント映画の教科書である。

1950年代60年代は、ミステリーものは作品として格下と見られていたという。1959年のアカデミー賞では本作は脚本賞と編集賞のノミネートされているが、賞はとっていない。オスカーをとった作品は『ベンハー』であった。『ベンハー』じゃ勝ち目はないな。→人気ブログランキング

『上海』

太平洋戦争開戦直前1941年、上海では日米英独が入り乱れて勢力争いにしのぎを削っていた。
米国諜報員ポール・ソームズ(ジョン・キューザック)は、カジノで会う約束をしていた同僚のコナーが殺されたこを知る。コナーは上海の有力マフィアのボス、アンソニー・ランティン(チョウ・ユンファ)の捜査をしていた。
ソームズはドイツ大使館で開かれたパティーで、日本軍諜報部のトップのタナカ大佐(渡辺謙)と、ランティンの妻アンナ(コン・リー)に会う。アンナの父親は南京事件を批判して、日本軍に殺された政治家だった。アンナは日本軍から身を隠すかのように、ランティンと結婚した。
ソームズとアンナは情報を共有することで、信頼関係が生まれていく。
そんななか、反日レジスタンス活動が始まる。
アンナは夫に隠れてレジスタンス活動に加わっていたのだった。アンナたちはタナカが擁護するジャンキーのスミコ(菊池凛子)を手中にいれて、拘束されている仲間との交換を迫ろうとするが、ソームズは無駄だという。必要がなくなられば殺してしまう連中である。
ついに、日本が真珠湾攻撃をしかけ太平洋戦争が勃発する。上海ではレジスタンスと日本軍の銃撃戦が起こり、タナカは腕を負傷する。
上海が徐々に日本軍に支配されていくなか、欧米人を優先的に出国させることになり、ソームズとアンナは港の検問所に向かう。そこには、負傷したタナカ大佐が待っていた。
・・・・・・
ネオンが妖しく輝く混沌と退廃の魔都上海で繰り広げられる、陰謀と策略と欲望が交錯する、戦争アクションサスペンスミステリ。
見応えあり。→公式サイト

マシンガン・パニック

ある夜、サンフランシスコの下町を走るバスの中で、小型マシンガン乱射事件が起こり8名が犠牲になる。犯人はそのまま立ち去った。
サンフランシスコ警察殺人課の刑事ジェーク・マーティン(ウォルター・マッソー)、レオ・ラーセン(ブルース・ダーン)たちが駆けつけ、殺された乗客の中に同僚のエバンスが含まれていることに気づく。
亡くなったエバンスはマーティンと組んで捜査に当たっていた。
事件はどんどん悲惨になる、世の中が悪くなっていくとラーセンが嘆く。
エバンスは迷宮入りになったテレサ殺人事件を非番のときに一人で捜査していた。
テレサ事件は2年前にマーティンとエバンスが手掛けたが、迷宮入りとなった事件だった。
Photo_20210423084401マシンガン・パニック/笑う警官
原題:The Laughing Policeman
監督:スチュアート・ローゼンバーグ
脚本:トーマス・リックマン
音楽:チャールズ・フォックス
製作:アメリカ  1976年

やがて、マーティンはテレサ事件とバス乱射事件は関係があると推理し、テレサとつきあっていたカメレロの身辺調査を始める。そしてカメレロの正体が明らかになっていく。
マーティンたちは尾行を続け、それとなくカメレロに精神的な圧力を加えていった。
ある日、マーティンが尾行していると、トランクをかかえたカメレロがバスに乗り込んだ。マーティンも強引にそのバスに乗り込む。
・・・・・・
本作は、ドキュメンタリーのような描き方でとっつきにくい。
原作の『笑う警官 (角川文庫)』は、ペール・ヴァールーとマイ・シューヴァル共著によるスウェーデンの警察小説「マルティン・ベック シリーズ」の第4作である。文庫の解説では、本作品を駄作と断じている。
舞台をストックフォルムからサンフランシスコに移している。→人気ブログランキング

『目撃』

目撃(Blu-ray Disc)
目撃(Blu-ray Disc)
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ワーナー・ホーム・ビデオ (2010-07-14)
原題:Absolute Power
監督:クリント・イーストウッド
脚本:ウィリアム・ゴールドマン
原作:デイヴィッド・バルダッチ
音楽:レニー・ニーハウス
製作:アメリカ 1997年
★★★★

ルーサー・ホイットニー(クリント・イーストウッド)は腕利きの泥棒である。彼が富豪の留守宅に忍び込み、貴金属や金をバックパックに詰めいざ屋敷から出ようとしたときに、ハイチに出かけたはずの富豪の若い妻と不倫相手の中年の男が、部屋に入ってくる。
彼は逃げ出すことができずに、マジックミラー越しにふたりの情事を見ている。
男はサディスティックになり、それを逃れようとした女がナイフを振りかざしたその時に、女は背後から撃たれて死亡する。
男はアメリカ合衆国大統領(ジーン・ハックマン)、撃ったのはシークレットサービスの男たちだった。
そこに、女性補佐官(ジュディ・デイヴィス)が現れて証拠を隠滅し彼らは立ち去るが、血のついたナイフを置き忘れてしまう。
ナイフを取りに男たちが戻ったときに、ルーサーはナイフを持って逃走していた。

警察の捜査陣は、辻褄が合わない強盗殺人事件にとまどう。一方大統領サイドも独自の手を打つ。
やがて、華麗な盗みの手口からルーサーが容疑者として浮上する。
彼は外国に高飛びするつもりで空港に行くが、テレビに映し出された殺人事件ついての大統領のスピーチに憤りを覚え出国を思い直す。
モラルの欠如した大統領に悪事の報いを受けさせようと画策しはじめる。
ルーサーへの捜査の輪が絞られて行くなか、警察は彼の娘(ローラ・リニー)を囮にして逮捕しようとするが、すんでのところで失敗に終わる。
そして、大統領サイドは娘の口を封ずるために、娘を車ごと崖から突き落とす。
・・・・・・
ルーサーは娘の成長期に、刑務所に入っていて娘と関わることができなかったことに対し、良心の呵責を感じている。
出所したルーサーは娘の前に姿を現すことはほとんどなかったが、折につけ密かに娘をカメラに収め、その写真を自室に飾っていたのだった。
イーストウッドのテーマのひとつである父性性が、本作では明快に描かれている。
結末は痛快。

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