バイオレンス

『ドライヴ』

ドライヴ [DVD]
ドライヴ [DVD]
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Drive
監督:ニコラス・ウィンディング・レフン
脚本:ホセイン・アミニ
原作:ジェイムス・サリス
音楽:クリフ・マルティネス
アメリカ  2011年 100分
★★★★☆

主人公のドライバーは己の身に降りかかった火の粉を振り払っていく。彼には欲はなく、自らのせいで危険な状況におかれた母子を助けたい一心で行動する。ドライバー役のライアン・ゴズリングの冷静無比な演技が、この映画に静謐さを与えている。

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ドライバー(名前は明らかにされない)は、並外れた運転テクニックを持っている。昼は自動車修理工として働き、ときにアルバイトで映画のカースタントマンを務め、夜には強盗の逃がし屋をこなしていた。彼はアパートの同じ階に住むアイリーン(キャリー・マリガン)に思いを寄せるが、ほどなく服役していた夫スタンダード(オスカー・アイザック)が出所してきて話は動き出す。

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服役中に多額の借金を負ったスタンダードは、強盗を強要されていた。スタンダードに助けを求められたドライバーは、1回きりの約束で無償で運転手役を引き受けることにした。
ところが、首尾よく金を奪ったスタンダードが逃げようとしたときに、背後から撃たれ命を落としてしまう。奪った金100万ドルは組織の裏金で、何者かによる罠であることを知ったドライバーは、裏で操る黒幕を突き止めようと動き出す。
やがて、自動車修理工場の社長が無残な死体で発見され、ドライバーは愛するアイリーン母子と自らの身を守るため反撃に出る。

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ドライバーと刃物で向かい合った黒幕との決着が、駐車場のアスファルトに映る影だけで表現される場面が印象的だ。→ブログランキングへ

『パルプ・フィクション』

パルプ・フィクション [DVD]
Pulp Fiction
監督:クエンティン・タランティーノ
脚本:クエンティン・タランティーノ
原案:クエンティン・タランティーノ/ロジャー・エイヴァリー
音楽:カリン・ラクトマン
アメリカ   1994年  154分   ★★★★★

三つの話が別に別に進み、最後のシークエンスで最初の場面に戻り、ストーリーがつながるという構成になっている。

レストランで、チンピラの男女が突如銃をかざして怒号をあげたところで画面はストップし、そこからクレジットが流れる。

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場面は変わって、黒づくめの殺し屋ヴィンセント(ジョン・トラボルタ)とジュールス(サミュエル・ジャクソン)が、アメリカンジョーク満載のマシンガントークを交わしながら、組織を裏切った男たちの隠れ家に向かっている。ジョン・トラボルタは、ギャング役が板についたようにピッタリはまっている。

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話の内容は、アムステルダムの麻薬事情、最近コカインよりもヘロインが流行っていること、ボスの妻の足をマッサージした男が4階から突き落とされ失語症になった話。これらはその後に起こるストーリーを暗示している。
ふたりは仕事をつつがなくこなし、つまり裏切り者を殺し、金塊の入ったカバンを取り返して帰路につく。

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【ボスの妻とのデート】愛妻家のボス・マーセルスから妻のミア(ユマ・サーマン)のお守りを頼まれたヴィンセントは、どうしたものかと思いあぐねて、とりあえず売人からヘロインを手に入れる。ミアの望み通り、有名女優のそっくりさんがいるレストランに出かけ、食事をする。レストランで、急遽開かれたダンス大会に出たふたりは優勝してしまう。ヴィンセントの『サタデイ・ナイト・フィーバー』ばりの踊りが見もの。ふたりは意気揚々と屋敷に戻ってくるが、ミアがヘロインの過剰摂取で心停止となり、ヴィンセントは慌ててミアを売人のところに運ぶ。

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【ボクサーの逃避行】落ち目のボクサーのブッチ(ブルース・ウィルス)は試合で八百長負けするはずが、相手をノックアウトして勝ってしまい、マーセルスに捕まることを恐れ街を出ようとする。ところが恋人はブッチが大切にしている祖祖父から受け継いだ金時計をアパート置き忘れてくる。金時計を取りにアパートに舞い戻るが、交差点を渡るマーセルスに出くわす。マーセルスに追いかけられてブッチが逃げ込んだ銃砲店でふたりは監禁され、ホモ男たちに犯されそうになる。

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【車のなかの死体の処理】話は前に戻り、ひと仕事を終えたヴィンセントとジュールスが車で帰るとき、後部席に乗せたジュールスの知合いの男をヴィンセントが誤って銃で頭を撃ち抜いてしまう。車の中が、骨と脳みそと血だらけになり、仲間のジミー ( クエンティン・タランティーノ)のガレージでどうにかしようとする。恐妻家のジミーは看護師である妻のボニーが、夜勤明けで帰ってくるまでになんとかしてくれないと、離婚されてしまうと騒ぐ。
そこに、マーセルスが派遣した始末屋のウルフがやってくる。
車の中を清掃しとりあえず市中を走れる状態にする前に、ウルフのマッシブなトークに、殺し屋ふたりもジミーも観ている者もイライラさせられる。

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場面は初めのレストランに戻って、血だらけの黒服をジミーから借りたTシャツとバミューダーパンツに着替えたヴィンセントとジュールスが、レストランで朝食を摂りながら話をしている。ジュールスはいまの稼業から足を洗うと言う。そして、ヴィンセントがトイレに入ったあと、チンピラの男女が銃を振りかざし、大声をあげ始める。

女性に対しては、マールセルにしてもブッチにしても、ジミーにしても、愛妻家だったり、恐妻家だったりする。
こういう映画でありがちな、女が男に虐待される場面は出てこない。監督は多分マザコンなんだろうな。
悲惨な殺しが次々に起こるが、タランティーノ監督が仕掛けているのは下っだらない話(プルプ・フィクション)のコメディである。映画(全般) ブログランキングへ

『ミレニアム2 火と戯れる女』

ミレニアム2 火と戯れる女 [DVD]
Flickan som lekte med elden
監督:ダニエル・アルフレッドソン
脚本:ヨナス・フリュクベリ
原作:スティーグ・ラーソン
スウェーデン デンマーク ドイツ 2009年 130分 ★★★★★

前作『ドラゴン・タトゥーの女』では、リスベット・サランデル(ノオミ・ラパス)よりもミカエル・ブルムクヴィスト(ミカエル・ニクヴィスト)が登場する場面が多かった。本作ではリスベットが大活躍する。
スケールの大きなストーリーに魅了される一本。

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海外放浪の旅からストックホルムに戻ってきたリスベットは、自らの保護観察記録書を確かめる目的で、かつてレイプされその仕返しに下腹部にタトゥーを刻んだ後見人のヴュルマンの部屋に忍び込みんだ。少女時代に起こした障害事件で精神病院に強制入院させられたリスベットは、退院後は後見人の監視下で生活せざるをいない立場にある。リスベットは机の引出しにあった拳銃でヴァンゲルを脅し、「問題ない」と書くよう脅した。これがリスベットにとって不覚であった。ヴァンゲルが復讐を企てたのだ。

一方、雑誌社ミレニアムでは、駆け出しジャーナリストのダンが調べた少女売春に関する記事が準備がされていた。
その記事は、売春規制の法案作成に携わった役人や警察官、弁護士、ジャーナリストなどの名前が連なったスキャンダラスなものだった。やがてダンと恋人が銃殺され、発見された凶器はリスベットの指紋のついたヴァンデルの拳銃であった。直ちに、警察はリスベットを容疑者として指名手配した。

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リスベットの無罪を信じるミカエルは彼女に接触し、ふたりで事件の調査を進めるが、少女買春の被害者達は報復を恐れて口を開こうとしない。彼女達が恐れているのは「ザラ」という人物であった。
何十年も前にスウェーデンに亡命したソ連のスパイが、冷戦時代にはもてはやされた。冷戦が終結したあと、スパイの存在の隠蔽をもくろむ公的機関の弱みに漬け込んで、その人物はモンスター化していった。それがザラだった。

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やがてリスベットはザラの居場所を突き止め単身乗り込んでいく。
そして、バイクに乗った悪党達や、巨漢の金髪男がリスベットを待ち受ける。

リスベットは華奢ながら、持ち前の感のよさと敏捷さで、仕掛けられた罠を回避し敵の攻撃をかいくぐっていく。リスベット自らが罠を仕掛けるという大胆さで巨悪と戦う痛快な終盤が待っている。→ブログランキングへ

→『ミレニアム ドラゴン・タトゥーの女

『黄金を抱いて跳べ』

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監督:井筒和幸
脚本:吉田康弘/井筒和幸
原作:高村薫『黄金を抱いて翔べ』
主題歌:安室奈美恵「Damage」(avex trax)
製作国:日本  2012年 129分 ★★★★★

雑多で猥雑に息づく「魔都」大阪で繰り広げられる重厚なクライムサスペンス。飄々とした佐野忠信と、ニヒルリズムに浸り苦悩する妻夫木聡、達観した存在の西田敏行、生と死の狭間を危なっかしく生きるチャンミンらの、演技が見どころのひとつ。

主人公の幸田(妻夫木聡)は、「人間のいない土地を探していた。そこで人間をやめる日を迎えるのだと決めていた。あと1年で30歳になるが、待つのもそれが限界だ(原作より)」と、破滅的な考えをしている人物。

幸田は、20年ぶりに訪れた故郷の大阪で、大学時代の友人、北川(浅野忠信)から銀行強盗の計画を持ちかけられる。大手銀行の地下金庫から500キロ240億円相当の金塊を奪おうというもの。北川は、世界に通用するのは金という漠然とした理由で、金塊にこだわっている。
この途方もない計画を実行するための人材を集めることから話は始まる。

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北川が連れてきたのは、銀行担当のシステムエンジニアである野田(桐谷健太)、エリートサラリーマンだ。さらに、元エレベーター技師でいまは公園の清掃夫をしている「じいちゃん」こと斉藤(西田敏行)。銀行の内部構造にも詳しい。
幸田は、爆発物に精通している北朝鮮の元工作員モモ(チャンミン)を仲間に引き入れる。北川の電話を盗み聞きして計画を知ってしまった北川の弟・春樹(溝端淳平)も、仕方なくメンバーに加えた。
北川は、「世界一の労働だ。最高の汗をかこうぜ」とメンバーに言う。

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警報機や赤外線センサーには、予備の蓄電池がついていて電線を切っても作動する。そこで警備員の注意を逸ら警察力を分断するために、中之島変電所を爆破し、銀行だけでなく近隣全域を停電にするというとんでもないことを思いつく。
それには、なにを置いても大量のダイナマイトが必要だ。幸田と野田は輸送車を襲撃し、ダイナマイトの強奪に成功する。しかし、そのあと、計画を進めるうちに障害になる事件が次々に起こる。

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公安がモモの動向を見張っているのだ。北朝鮮の工作員がモモの命を狙っている。春樹は暴走族と、やったらやり返す血みどろの喧嘩に巻き込まれてしまう。否が応でも、幸田も北川もそのとばっちりを食うことになる。
そして、身の危険を感じて計画から離脱しようとする者も出る。しかし、すでに動き始めた計画から途中下車はできない。脱落者が出ることは秘密が洩れることだ。

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何が起ころうとノンストップ。
極上のエンターテーメントだ。

黄金を抱いて翔べ (新潮文庫)
高村 薫
新潮社
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『わらの犬』 リメイク版

わらの犬 [DVD]
わらの犬
posted with amazlet at 12.05.15
ソニー・ピクチャーズエンタテインメント (2012-04-11)
原題:The Storow Dods
監督:ロッド・ルーリー
製作国:アメリカ  2011年

ロサンゼルスの映画脚本家デヴィッド(ジェームズ・マースデン)と妻エイミー(ケイト・ボスワース)は、静かな生活を求め、エイミーの故郷ミシシッピー州の田舎町へ引っ越す。その道すがら、夫の運転するオープンカーの助手席に乗ったエイミーは、ダッシュボードに脚を乗せてホットパンツ姿。
しょっぱなからこれだ。悪い予感がする。

ふたりは家の修理をエイミーの高校時代の恋人チャーリー(アレクサンダー・スカースガード)と仲間の3人に依頼する。チャーリーはかつてアメフトの花形クオーターバックだった。

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タンクトップにホットパンツ姿でジョギングするエミーを見て、彼らは欲情する。夫は妻に、身体を見せすぎだと言う。二階の窓から屋根の修理をする4人に、ジョギングから帰ったエイミーが、上半身の裸を見せてしまう。
なんでまたそんなことしでかすのか、それは挑発ってもんでしょう。

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楽しみといえば、高校のアメフトの試合と鹿狩りと教会の行事くらいしかない、うだるように暑いミシシッピーの田舎町、町の誰もがふたりを好奇の目でみる。
住人たちには、 故郷を捨てたエイミーに対する非難の感情が芽生えている。一方、デヴィッドは、教会の説教の最中に席を立って外に出たり、南部の流儀を無視したり、バーで郷土料理が口に合わないとあけすけに言ったりする。

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ある日、彼らはデヴィッドを鹿狩りに誘い出し、留守中にエイミーに暴行を加えた。
最後に展開される何もそこまでしなくともと思うような暴力シーンは、観る者をほとほと疲れさせる。

原題の藁の「わらの犬」は、老子の言葉で、「天から見れば、人間の行動は護身のために焼くわらの犬のようにちっぽけな存在」という意味だそうだ。

1971年制作のバイオレンス映画の金字塔『わらの犬』(サム・ペキンパー監督、ダスティ・ホフマンスーザン・ジョージ出演)のリメイク。

『ミレニアム ドラゴン・タトゥーの女』

ドラゴン・タトゥーの女 ミレニアム<完全版> [DVD]
The Girl With The Doragon Tatoo
監督:ニールス・アルデン・オブレヴ
原作者:スティーグ・ラーソン
製作国:スウェーデン 2009年 ★★★★★

原作は、世界で6200万部売れたという『ミレニアム』3部作の1作目『ドラゴン・タトゥーの女』。

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出版社「ミレニアム」の敏腕記者ミカエル・ブルムクヴィスト(ミカエル・ニクヴィスト )に、孤島に住む大富豪のヘンリックから40年前の姪ハリエットの行方不明事件の捜査を依頼される。
祭の日、ハリエットは忽然と行方不明となった。
あらゆる手を尽くして捜索が行われたものの、行方はわからず遺体も発見されなかった。ヘンリックは一族の誰かが殺害したと考えていた。

一方、ヘンリックの依頼で密かにミカエルの身辺調査を行っていたリスベット・サランデル(ノオミ・ラパス)は、ミカエルのパソコンをハッキングしていた。
そして、事件解明の糸口に気づきミカエルに接触する。
背中にドラゴンの刺青、耳と鼻にピアス、パンクファッションに身を包んだリスベットは、少女時代に起こした障害事件で精神病院に強制入院させられていた。いまは後見人の監視下で生活している。
リスベットは、並外れた映像記憶能力をもつ天才ハッカーである。
小柄で華奢であるが俊敏、バイクを乗り回す。

ミカエルはリスベットを助手として雇うことになる。
そして二人三脚で、富豪一族が住む孤島の封印された忌まわしい事件の謎に挑むのであった。

原作はペーパブックで800ページの長編、原作に忠実に描かれているので、放映時間は2時間33分と長い。
見どころは、リスベットの一見かよわそうだが超人的な存在感だ。
本作品には、不正や暴力、差別、女性虐待、ナチスの影、ユダヤ人問題など、スウェーデンが抱える社会問題が根底にある。
リスベットを日本人が演じるとすれば誰だろう?広末涼子か?

→『ミレニアム2 火と戯れる女』(09年)