ファンタジー

『ダークタワー Ⅱ 運命の3人 下』 スティーヴン・キング

上巻は、「〈暗黒の塔〉を探していたローランドとエディの行く手に、〈影の女〉と書かれたドアが現れた。」という場面で終わった。

1959年8月、オデッタは地下鉄駅で何者かに後ろから押されて電車に轢かれ両大腿を切断した。事故のあと車椅子の生活となったが、おおかたの場合は、心優しいオデッタが人格を支配していた。しかし、邪悪なデッタがしだいに意識の前面に浮上するようになっていった。デッタの趣味は万引きだった。

ダークタワー II 運命の三人 下 (角川文庫)
スティーヴン・キング
風間賢二 角川文庫 2017年1月

ローランドが〈影の女〉のドアを開けると、黒人女性の中にインプラントした。その女は、デッタとオデッタの性格が混在する2重人格者であった。
デッタはデパートで万引きをして追いかけられ、車椅子で試着室に逃げ込んだ。そしてデッタは砂浜に現れた。

オデッタは風呂からあがって、ローブを着て居間へ行き、ヴェトナムに駐留してるアメリカ軍についてのニュースをテレビで見ていたときに浜辺に来た、という。

ロブスターの毒にやられ衰弱したローランドが生き延びるためには、薬を調達しなければならならなかった。
〈第3のドア〉を探し求めて、エディとローランドはデッタを車椅子に乗せて浜辺をさまよった。
そしてついに、〈第3のドア)を見つけた。ローランドはエディとデッタを海岸に置いて、〈押し屋〉と書かれたドアを開けた。

ローランドは、よりにもよって、無差別殺人の愛好者、公認会計士のジャック・モートの体にインプラントしたのだった。
モートは5歳のオデッタの頭にレンガ塊を命中させ死線を彷徨わせ、成人したオデッタを地下鉄の線路に突き落とした鬼畜だった。
そんなことは構っていられない。ローランドことモートは銃砲店に入り銃弾を調達し、駆けつけた警官から銃をホルスターごと奪い、ドラッグ・ストアに入って抗生物質のケフレックス200錠を手に入れた。
パトカーを運転して地下鉄に行き、オデッタが突き落とされたフォームの線路に降り、電車に轢かれ、薄汚い公認会計士を葬り、1977年のニューヨークで仕事を終えたローランドは浜辺に戻った。

デッタの罠にはまり海岸に縛りつけられたエディは、今まさに怪物ロブスターに襲われるところだった。間一髪、ローランドが銃をぶっ放した。
オデッタとデッタが激しく罵りあった結果、ふたりの人格は消え、第3の女、かつてローランドが心を寄せたスザンナとして蘇った。

ローランドはドラッグ・ストアで手に入れたケフレックスのおかげで、体力を回復した。そして、ローランドとエディとスーザンの3人は、〈暗黒の塔〉を探して果てしない旅を続ける。→人気ブログランキング
という手に汗を握る内容。

ダークタワー Ⅱ 運命の3人 下
ダークタワー Ⅱ 運命の3人 上
ダークタワーⅠガンスリンガー
神々のワード・プロセッサ
ミスター・メルセデス
ジョイランド
11/22/63
書くことについて
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『ダークタワー Ⅱ 運命の3人 上』スティーヴン・キング

『ダークタワー Ⅰ』では、話が複雑で焦点が定まらない感があるが、本書はキングらしさ(ウィットに富んで、饒舌で猥雑、プロットは緻密)が全開で、引き込まれること必至。

目覚めると、ローランド(ガンスリンガー)は海岸の波打ち際に倒れていた。
ロブスターの化け物が襲ってきて、右手の人差し指と中指と右足の親指を食いちぎられた。このあとローランドは右手がうまく使えなり、ロブスターの毒により敗血症に苛まれることになる。
ふたりは毒ロブスターで食いつなぐのだ。

ダークタワー II 運命の三人 上 (角川文庫)
スティーヴン・キング/風間賢二 訳
角川文庫  2017年1月

海岸にはドアがあり、開けると馬不要の車が走る異世界(1980年代のアメリカ)につながっていた。ローランドは、バハマからニューヨークに麻薬を運ぶエディの体の中に入り、ニューヨーク行きの飛行機の客となっていた。エディはヘロイン中毒である。

ローランドはロブスターの毒を消すために、薬を手に入れなければならない。エディが税関で捕まれば、薬を手に入れることができない。
麻薬の運び屋と疑われたエディは、副操縦士の制止を効かずにトイレに駆けこんだ。
エディはドアを通って海岸に行き、コカインの袋を体からはがしトイレに戻った。
税関で2時間、質問攻めにあい証拠不十分で釈放されるが、そのあと尾行をつけられた。
ローランドは、エディが空港の売店で買ったアスピリンを服用し、ペプシコーラを貪るように飲んで、ホットドッグをかじった。やがて体の震えが止まり、熱が下がり、痛みが消えていくのを感じた。

ニューヨーク麻薬界の大物の前に連れて行かれたエディは、またもやトイレに駆けこみ、海岸に行きヘロインを半分の5キロを持って、トイレに戻った。そこで、壮絶な銃撃戦が始まった。
生き残ったのはローランドとエディだけ。→人気ブログランキング

警察がかけつけ、大物の館に踏み込もうとしたとき、ふたりは再び海岸に戻った。
〈暗黒の塔〉を探し求めて歩き出したふたりの行く手に、〈影の女〉と書かれたドアが現れた。
そして、下巻では3人目の運命の人物が登場する。この女が厄介なのだ。

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『ダークタワーI ガンスリンガー』 スティーヴン・キング

主人公は、腰に2丁拳銃をぶら下げたガンスリンガー(拳銃使い)のローランド。
宿敵の〈黒衣の男〉追い続けている。

ローランドは〈タル〉の町に入る。〈タル〉は西部劇でおなじみの、よそ者に極端に排他的な町である。ローランドは、酒場の女アリスと懇ろになったものの、イカサマ女説教師の怒りを買い、ついには〈タル〉の住民すべてを敵に回すことになる。
ローランドが町を出ようとしたときに、住民がローランドの命を奪おうと襲ってきて、満身創痍になりながらも、〈タル〉の住民を皆殺しにした。
負傷したローランドは〈中間駅〉にたどり着いたが、砂漠の暑さで日射病にやられ倒れてしまう。別世界(現代)からやってきた少年ジェイクが介抱する。ジェイクは登校時に車にはねられ、〈中間世界〉にやってきたのだ。
時空が歪んだ〈中間世界〉は、開拓時代を思わせる世界であり、核戦争で荒廃した未来世界でもある。

ダークタワー I ガンスリンガー<ダークタワー> (角川文庫)
スティーヴン・キング/風間賢二 訳
角川文庫
2017年1月 

世界の根幹に存在する暗黒の塔(ダークタワー)が、何者かによって破壊され不具合が生じているのだ。ローランドが〈黒衣の男〉を追いかけるている理由は、ダークタワーについて聞き出すことである。
いよいよ〈黒衣の男〉に出会い、男はダークタワーの話を始めるのだが、その詳細をローランドは聞いていないか理解できないか、宙ぶらりんのまま第1作は終わる。

解説によれば、本シリーズはキングが大学生の22歳の時に書きはじめた7巻から成る大作で、キングのライフワークともいうべき作品だという。キングが、まだ作家として海のものとも山のものともつかない頃に、書きはじめたものだから、キングらしい饒舌さは発揮されているが、荒削りである。
本シリーズは、第2巻以降で第1巻でなにを意味するのか不明な事柄が徐々に明らかにされていくという。例えば、「神の意図するところすべて〈カ〉のなせる技」と書かれているが、これがなにを意味するのかは不明である。
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また、本シリーズはキングの他の作品と関連をもっているという。

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『炎路を行く者』 上橋菜穂子

ヒュウゴはいかにしてタルシュ帝国の密偵になったのか?バルサの女用心棒としての出発点は?
「文庫あとがき」では、著者が最近作品を発表できない理由について述べている。

炎路を行く者: 守り人作品集 (新潮文庫)
上橋 菜穂子
新潮文庫
2017年1月

「炎路の旅人」
南のタルシュ帝国がヨゴ皇国に攻め上がる。ヨゴ皇国の近衛兵〈帝の盾〉を父に持つヒュウゴは、追っ手から逃れようと炎の中をくぐり抜け、気を失ったところで助けられた。ヨゴ皇国はタルシュ帝国の枝国となった。
マール酒場で下働きの仕事についたヒュウゴの真面目な仕事ぶりが、料理人や仕事仲間の少年たちに認められていく。
マール酒場の最年少のライにノルアン酒場の連中が暴行したことの仕返しに、ヒュウゴはノルアン酒場の連中を叩きのめした。こうして、ヒュウゴはならず者の頭になった。
謎の男がヒュウゴの前に現れ、〈帝の盾〉の息子であることが見破られる。
男はタルシュ帝国の内情をヒュウゴに語り、タルシュ軍に入っての帝国を内側から見てみないかとヒュウゴを誘った。ヒュウゴは、国も民も幸せにするために生きていると思える仕事に就きたいと願っていたのだ。
そして、ヒュウゴはタルシュ帝国の密偵となった。

「十五の我には」
商隊の警護についた父・ジグロと15歳になったバルサは、盗賊に襲われた。
ふたりは盗賊が多すぎて、勝ち目がないことを悟った。誰かが内通していたのだ。
矢がバルサの腿を貫き、やがて気を失ったが、ジグロに助られた。
バルサは内通者を突き止め、ひとりで闘いを挑むが、返り討ちにあい命を落としそうになる。
ジグロは、詩の一節を口ずさんだ。
「・・・十五の我には 見えざりし、弓のゆがみと 矢のゆがみ、二十の我の この目には、なんなく見える ふしぎさよ・・・」と。→人気ブログランキング

炎路を行く者 守り人作品集
精霊の守り人
獣の奏者 Ⅰ 闘蛇編
孤笛のかなた
鹿の王 上下

『獣の奏者 Ⅰ闘蛇編』上橋菜穂子

「闘蛇」と「王獣」という架空の獣を登場させ、それを軸に壮大なファンタジーを繰り広げる、著者の発想力と筆力に脱帽する。

エリンの母は闘蛇を死なせた責任を負って、獣ノ医術師としての職を解かれ処刑されることになった。母は〈霧の民(アーリヨ)〉である出自や、死んだ夫とのことを娘のエリンに話した。
母は縛られて重りをつけられ野生の闘蛇がうようよいる沼に投げ込まれた。
エリンは短刀を懐に沼に潜り母の縄を切った。野生の闘蛇が襲ってくるはずだが、母は掟を破って操蛇の指笛を吹いたのだった。
エリンは闘蛇にまたがって逃げた。

獣の奏者 1闘蛇編 (講談社文庫)
獣の奏者 1闘蛇編
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上橋菜穂子
講談社文庫
2009年8月 ✴︎✴︎✴︎✴︎✴︎

蜂飼いのジョウンは湖畔で身体中に傷を負ったエリンを助けた。
〈霧の民(アーリヨ)〉の緑の目をしたエリンと暮らすことは、災難を背負うことになるかもしれないことを承知の上だ。
かつて王都の高等学舎で教導師長だったジョウンはエリンの聡明さに舌を巻いた。

王宮が無防備でいられるのは、ひとえに大公(アルハン)が代々、多大な犠牲を払ってリョザ神王国を守ってきたおかげだというのが、大公の口癖だ。真王(ヨジエ)の臣民どもは、武人を血で穢れた成り上がりと思っているが、近隣の国々から蹂躙されずに、これまで平穏な暮らしをしてこられたのは大公を筆頭とする武人のおかげなのだ。
あえて穢れたる闘蛇を操り、身を血で汚し国をまもり富ませてきた。そのおかげで真王はその手を血で汚すことなく、清浄な森の奥に鎮座しておられるのだ。

それゆえ、大公領民は真王国から派遣されてくる官僚たちや、貧しいくせに気位ばかり高い真王領の臣民たちに、血で穢れ征服した国々と血を交えたとして見下されることに不満を感じていた。この不満から生まれたのが〈血と穢れ(サイ・ガルム)〉という集団である。真王こそ国を分裂させ、発展を滞らせている元凶である主張し真王を弑し大公を王位につけることが、リョザ真王国を繁栄に導く道であると信じていた。
一方、新王の臣下の中から武芸に秀で忠義に厚い者を選んで、真王を守らせた。これが〈堅き楯(セ・ザン)〉のはじまりである。

真王(ヨジエ)は、母から娘へと伝えられていく位である。
真王ハルミヤの60歳の誕生日の祝いに、大公と長男シュナンが参じた。真王に献上される王獣16頭の中に幼獣が1頭混じっていた。
王獣の檻が進むとき、木の上から矢が放たれ幼獣をかすめ傷を負った。幼獣は治療のためカザルム王獣保護場に引き取られた。

14歳となったエリンは、カザルム王獣保護場の〈入舎ノ試し〉を受けて合格した。ジョウンの同僚だった教導師長のエルサは、エリンに傷ついた幼獣の世話を任せらることにした。
衰弱しきった幼獣に、エリンは肉を食べさせようとあれこれ試し、食べさせることができた。そして、エリンは他の人間ならば音無の笛を吹いて眠らせなければ近づけない幼獣リランを、笛なしで手なずけてしまったのだった。

王獣や闘蛇は政治的な動物。王獣や闘蛇に関わることは、その国の政治に関わること。幼獣を手なずけたことで、エリンは真王と大公の政治的綱引きに、関わらざるをえなくなっていく。

獣の奏者 Ⅰ 闘蛇編
→獣の奏者 Ⅱ 王獣編
→獣の奏者 Ⅲ 探求編
→獣の奏者 Ⅳ 完結編
→獣の奏者 外伝 刹那
精霊の守り人
→炎路を行く者 守り人作品集
孤笛のかなた
鹿の王 上下

『天と地の守り人 第3部 新ヨゴ皇国編』上橋菜穂子

「守り人シリーズ」の完結編。各国がおかれた状況は次の通りである。
タルシュ帝国のラウル王子は北(ロタ王国、カンバル王国、新ヨゴ皇国)への侵攻を目論んでいた。
海洋国サンガル王国はすでにタルシュ帝国の枝国になっていた。しかし、タルシュ帝国は、多くの島からなるサンガル王国を掌握できていなかった。
ロタ王国では、タルシュ帝国と結びついた南部の大領主が、いつ反乱を起こす秒読みの状況にあった。
体面を重んじるカンバル王国のラダール国王は、すでにタルシュ帝国の枝国になることを受け入れていた。
一方、新ヨゴ皇国の帝は、タルシュ帝国から突きつけられた枝国か戦争かの要求に、「神の国」が負けるはずがないと、鎖国を選択をした。

天と地の守り人〈第3部〉新ヨゴ皇国編 (新潮文庫)
上橋 菜穂子
新潮文庫 2011年6月
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南からはタルシュの侵略軍、北からは青弓川の氾濫、新ヨゴ皇国は二つの災いに見舞われようとしていた。

チャグムの仲介により、ロタ王国とカンバル王国は同盟を結び、北の大陸をタルシュ帝国の侵略から守るために総力をあげるという宣言を発した。
そして、チャグムはロタとカンバルの兵3万を率いて新ヨゴ皇国に向かうことになったのである。

チャグムひきいるロタとカンバル軍は、タルシュ軍を打ち破り、王都に帰還した。
早速、チャグムは帝に謁見し、天が青弓川を氾濫させて扇ノ上を押し流そうとしていることを報告した。しかし、帝はチャグムを血で穢れた体で謁見するとは何事かとののしり、光扇京の館からは一歩たりとも出ないと宣言した。

一方、バルサはタンダの生死を確かめるためにタラノ平野に向かった。タルシュ軍との戦いで負傷したタンダの腕は壊疽に陥り、瀕死の状態にあった。バルサはタンダに腕の切断を承諾させ、自らが手術を行った。

そしてついに、占い師トロガイが予告したように、青弓川が氾濫し、帝がおわす光扇京もタルシュ軍も激流に飲まれた。
懸命の捜索にもかかわらず、帝の遺体は発見されなかった。
タルシュ帝国は侵略を諦め大陸から撤退した。新ヨゴ皇国は侵略を免れたが、洪水の被害は甚大なものだった。
そしてチャグムは帝の位についたのだった。

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→『虚空の旅人
→『神の守り人
来訪編

→『神の守り人
帰還編
→『蒼路の旅人
→『天地の守り人
第1部 ロタ王国編

→『天地の守り人
第2部 カンバル王国編

→『天地の守り人
第3部 新ヨゴ皇国編
→『流れ行く者
守り人短編集

→『バルサの食卓

→『孤笛のかなた
→『鹿の王 上下

『流れ行く者 守り人短編集』上橋菜穂子

『守り人』シリーズの外伝。
バルサの父は、従医として遣えたカンバル国王殺害の陰謀に手を貸すことを拒んで弟王に殺された。
父の弟ジグロがバルサをひきとるが、義父娘は故郷カンバルを追われることになった。卑劣にも弟王はジグロの同僚である「王の槍」を刺客に仕立て、ジグロの命を狙わせた。ジグロは涙を飲んで、友人たちをことごとく返り討ちにした。そしてジグロとバルサは流れ者の暮らしをしていた。
バルサ13歳の時の話。いずれも心が温まる話である。

流れ行く者: 守り人短編集 (新潮文庫)
上橋 菜穂子
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「浮き籾」
11歳のタンダとバルサとの交流を描いた作品。
呪術師のトロガイおばさんのところに行けばバルサに会える。バルサはおっかないオジちゃんと、いつも槍の稽古をしている。タンダはバルサが好きだった。
おんちゃんの霊が悪さをするとの噂がだった。タンダは、可愛がってくれた死んだおんちゃんが悪人だとは到底思えなかった。おんちゃんは村の嫌われ者になっていた。
タンダが発見したのは油紙に包まれたの着物。それは、おんちゃんが嫁いで村を出た妹に渡す晴れ着だった。

「ラフラ(賭事師)」
『守り人』シリーズとは関係のない第三者が主人公の話。
賭け事のススットの勝負は短いものもあれば、長年にわたるものもある。
老いた女賭事師は、久しぶりに長年続けてきた長老との勝負を再開した。続きの勝負を、公開で金をかけて孫と戦って欲しいと、長老に頼まれた。
長老は女賭事師に勝って欲しいという。そして勝負が始まる。

「流れゆく者」
酒場の用心棒をしていたジグロは、7人のならず者を倒したときに右腕を負傷した。
そのあとジグロは何日か寝込んだが回復した。
そして数か月逗留した酒場を後にし、ジグロはバルサを伴って高価な薬酒を運ぶ商隊の護衛士の仕事を請け負った。新ヨゴ皇国のトロガイのところに行こうという。バルサはジグロが健康についてなにか隠しているように思えてならなかった。
ジグロは盗賊と死闘になって死ぬことになっても親子一緒ならまたそれもよしと思っている。
ジグロの予想通り盗賊に襲われ、バルサははじめて人を殺し号泣した。

「寒ふるまい」
タンダが、冬山の動物たちに食べ残しを与える「寒ふるまい」に熱心な理由は、ジグロとバルサが山で暮らすトロガイ婆さんのところにやって来るのを、心待ちにしているからだ。

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『天と地の守り人 第2部 カンバル王国編』 上橋菜穂子

バルサとチャグムは、タルシュ帝国の侵略を食い止めようと、ロタ王国とカンバル王国の同盟を実現させるため、ロタからカンバルに向かった。ふたりはタルシュの密偵の襲撃にあいチャグムは顔に刀傷を負ったが、その傷も治りつつあった。

かつて、チャグムはロタ王国の宮殿で、カンバル王の側近でありながらタルシュの内通者となった男の顔を見ている。そのためタルシュの密偵は、チャグムがカンバル王に会う前に、命を奪おうとするだろう。

天と地の守り人〈第2部〉カンバル王国編 (新潮文庫)
上橋 菜穂子
新潮文庫 2009年年6月

国境警備兵にタルシュの手が回っていた。
バルサとチャグムはタルシュの刺客に襲われ、激闘の末バルサは脇腹と腕を負傷した。そこにカシャル(ロタ王国の密偵)を率いるシハナが現れ、ふたりを助け、イーハン弟王からの手紙をチャグムに渡す。
手紙には、カンバル王がロタ王国に援軍を送れば、同盟を結ぶという内容だった。

バルサはカンバル王に会えるよう取り計らってもらおうと、ジグロの甥〈王の槍〉の一員であるカームの館を訪れた。ところが、館に入るとふたりは拘束された。カームこそがチャグムに顔を見られた内通者であった。

カームはカームになりに、国を守る策を考えてきたという。王も、〈王の槍〉たちも思案してきたが、枝国になる道を選んだという。
チャグムはロタ王国やタルシュ帝国で見聞きしたことをカームに話した。枝国にされた国の民は、他国を侵略するための兵として親兄弟を徴兵される。自治権を与えるとは絵空ごとなのだと。

しかし、問題は面子を重んじるカンバル王であった。
すでにタルシュ帝国の要求を受け入れた以上、前言を翻すことは難しいという。チャグムは同盟を諦めて新ヨゴ皇国神に帰ると決めた。

一旦はカンバル王国とロタ王国の同盟を諦めたチャグムだったが、手柄争いをするタルシュ帝国のハザール兄王子とラウル弟王子が、協力し合うはずがないと考えた。ラウル弟王子が2万の兵を兄に融通するはずがないと、チャグムは思った。つまり、ロタ王国の内戦で南の大領主には援軍が行かないと、確信した。

そしてカンバル国の援軍をロタに向かわせようと、チャグムはカンバル王に謁見を願うのだった。

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『神の守り人 帰還編』上橋菜穂子

ロタ王国のイーハン弟王は、チキサとアスラが、かつて愛した〈タルの民〉の美しい女性トリーシアの子どもであることを知る。ロタの密偵カシャル(猟犬)のシハナが、ふたりを弟王に会わせようとする目的はなにか?

バルサは新ヨゴ皇国からロタ王国に向かう商隊の用心棒を、アスラも一緒に連れて行くという条件で引き受けた。
商隊が吹雪で足止めされて3日目に、ものすごい数の狼の群れに襲われた。バルサが短槍で応戦するも、劣勢であった。そのときアスラが「カミサマ、カミサマ」と唱えると、殺戮の神タルハマヤが現れ、白刃のようにきらめきながら狼を切り裂いていった。
アスラは月の光に照らされ点々と転がる狼の死骸を見回し、満ち足りた笑みを浮かべていた。
この時、バルサはアスラに、決して人殺しをさせてはならないと思った。

神の守り人〈下〉帰還編 (新潮文庫)
上橋 菜穂子
新潮文庫  平成21年8月
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ロタ王国は南北格差という問題を抱えていた。
北部の貧しい領主たちは、狼や羊熱病による羊の被害に苦しんでいた。一方、肥沃な土地をもつ南部の大領主たちはタルシュ帝国との交易を望んでいた。隣国を侵略するタルシュ帝国の陰謀を恐れるイーハン弟王は、交易を許可しなかった。
南の大領主たちは不満を抱え、反乱を起こしかねない状況にあった。

シハナははアスラをあやつり、タルハマヤの力を借りて、国を治めるという妄想に取りつかれていた。トリーシアかアスラのどちらが神を呼び出せるのかを知るために、シンタダンでの公開処刑を仕組んだのはシハナであった。
シアナはイーハン弟王子に進言した。南部の領主たちが波乱を起こしてからでは遅い。タルハマヤの力を借りれば反乱を未然に防ぐことができると。

シハナは、ジタン祭儀場で開かれる建国ノ儀に、集まった領主たちの前で、アスラにタルハマヤを呼び出させようと罠を仕掛けた。
それをバルサは阻止しようとする。

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来訪編

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帰還編

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第1部 ロタ王国編

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第2部 カンバル王国編』
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第3部 新ヨゴ皇国編』
→『バルサの食卓
→『孤笛のかなた
→『鹿の王 上下

『神の守り人 来訪編』上橋菜穂子

殺戮の神タルハマヤを呼び出すことができる少女アスラをめぐり、女用心棒バルサとカシャル(猟犬)の攻防がくりひろげられる。

ロタ王国のシンタダン牢城の広場で女の公開処刑が行われた。女の死体のまわりには、囚人や看守や兵士たちが、うなじや喉を裂かれて死んでいた。その惨状はまるで巨人が巨大な鎌をふるったような光景だった。

神の守り人〈上〉来訪編 (新潮文庫)
上橋 菜穂子
新潮社文庫   平成21年8月
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バルサとタンダが、晩秋に開かれる〈ヨゴの薬草市〉で見かけたのは、シンタダン牢城で処刑された女の子ども、兄のチキサと妹アスラであった。ロタの商人は兄妹をヨゴの人身売買組織〈青い手〉に売ろうとしてるところだった。
その瞬間、バルサは何者かに襲われ負傷し、〈青い手〉の3人は惨殺された。まるで、シンタダン牢城での出来事を思わせる惨劇であった。「あの子らは普通でない。関わるな」と呪術師見習いのタンダはバルサに忠告した。

〈タルの民〉には恐ろしい神を招く力を秘めた異能者が生まれるという言い伝えがあった。その異能者がアスラである。
ロタ王に仕えるカシャル(猟犬)のスファルとその娘シハナは、アスラの能力に目をつけていた。バルサは危険な兄妹であっても見殺しにはできないと、ふたりを守ろうとする。

15年前、ロタ王国のイーハン弟王は、辺境の城塞に巡視に出かけ、突然の吹雪で凍死しかけたところを、〈タルの民〉に助けられた。イーハン王弟は、そのとき世話をしてくれた娘に恋をしてしまった。一途なイーハン弟王は娘に結婚を申し込んだが、〈タルの民〉の娘が、ロタ人と結婚することは許されることではなかった。

ロタ王国は国内問題を抱えていた。
北部の貧しい領主たちは狼や羊熱病による羊の被害に苦しんでいた。一方、肥沃な土地をもつ南部の大領主たちはタルシュ帝国との交易を強く望んでいた。
イーハン弟王は、王国の領主会議で南の領主に増税を提案すると、南の領主の猛反発にあった。

バルサとタンダ、兄妹が宿泊する宿が襲われ火をつけられた。バルサとアスラはなんとか逃げたが、タンダとチキサはシアナたちに捕まった。
そして、バルサのもとに手紙が届けられた。「シャーサム(新年の月の20日の朝)、ジタン祭儀場の門をくぐれ。現れぬのなら、タンダとチサキの命がなくなる。」

バルサはアスラも一緒に連れて行くという条件で、ロタ行きの商隊の用心棒となった 。

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