その昔,ハリウッドで クエンティン・タランティーノ/田口俊樹
1969年、ハリウッドの黄金時代が終わりを迎えようとしていた頃、落ち目の俳優リック・ダルトンと彼のスタントマン兼付き人のクリフ・ブースが、再び輝きを放とうと奮闘する姿を描いた作品。なお同名の映画『ワンス・アポナタイム・イン・ハリウッド』では、リックをレオナルド・デカプリオが、クリフをブラッド・ピットが演じている。
その昔、ハリウッドで クエンティン・タランティーノ/田口俊樹 文藝春秋 2023年5月 464頁 |
膨大な数の映画のタイトルがそこらじゅうで挙げられ、それらを片っ端から歯に衣着せぬ厳しい評価をくだす。偏執狂の視点がタランティーノのタランティーノたらしめるところなのだ。
戦争に勝利したアメリカのハリウッドの映画はお気楽なものだった。一方、戦争で敗れた欧州や日本の映画はその内容に含意があったし、最後まで見ないと意味がわからないものもあった。と映画を評価している。
リックはイタリア映画に出演することになるが、それが、落ち目になる曲がり角だと思っている。その思いをクリフが払拭させる。リックはかつてテレビの西部劇で人気を博した俳優だが、時代の変化に伴い出演のオファーは激減。現在は、ドラマの悪役やゲスト出演などの単発の仕事で食いつなぐような状態である。
そしてある日、リックの隣にロマン・ポランスキーと女優のシャロン・テート夫妻が越してきた。紛れもなくポランスキーは若手のポーランド人監督として、もっとも成功しているひとりだ。そしてアイラ・レヴィン作の『ローズマリーの赤ちゃん』の監督を任せられる。
リックは、シャロンに興味を持ち、彼女に近づこうとする。
一方、ハリウッドはヒッピーのカルト団体「マンソン・ファミリー」の影響を受けつつあり、1969年8月9日に実際に起きたシャロン・テート殺人事件へと導線が敷かれていく。→人気ブログランキング
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