法廷

2019年4月 3日 (水)

ザ・プロフェッサー ロバート・ベイリー

学部長の理不尽な方針により大学を追われた老教授が、娘一家を交通事故で亡くしたもと恋人の要請を受け、教え子とともに運送会社の悪徳経営者を相手どって裁判に挑む。相手側のなりふり構わない隠滅工作に敢然と立ち向かう、勧善懲悪のリーガルサスペンス。

実際に、アラバマ州タスカルーサにあるアラバマ大は、アメリカンフットボールの名門校である。かつて活躍したプレーヤーは、今でも町で一目おかれる人物たちである。
物語は、68歳になるトーマス(トム)・マクマトリーが主人公。かつてディフェンスの名プレイヤーであり、アラバマ大学が全米チャンピョンに輝いたときのメンバーである。現在、トムはアラバマ大学の教授として証拠学の権威であり、トムが率いる模擬裁判チームは3度の全国優勝を誇っている。

ささいなことで激昂した学生のリックに殴られたトムが、リックの腕をつかんだ動画が youtube に流れ、トムが暴力をふるったとされ窮地に立たされる。トムの授業で学生が虐待を受けたと申告し、さらに女子学生と不適切な関係にあるとでっち上げられる。
トムに最後通告を言い渡したのは、最近アラバマ大学の顧問弁護士に就任したかつての教え子であるタイラーであった。

Image_20201105093701ザ・プロフェッサー
ロバート ベイリー/吉野弘人
小学館文庫
2019年 ✳︎8

トムは実際の裁判には長年携わっていない。また3年前に妻を乳癌で亡くし、最近大学を不本意なから辞めさせられ、さらに膀胱癌が見つかり、すっかり意気消沈している。そこで、トムはかつてトラブルがあった教え子のリックを紹介する。リックは事故があったヘンショーの出身である。

被告の弁護士はアラバマ州で最も勝率の優れた弁護士として君臨する、トムを大学から追放することに策を労したタイラーだった。一方、リックは弁護士に成りたてのヒヨッコである。

運転手に法定速度を無視した運転を強要していた運送会社は、証拠となる書類を燃やし、原告に有利な証言をしようとする関係者を買収したり、脅したり、あるいは口封じのために殺したりしていた。
裁判は被告有利に運ぶかに思われたが、トムの過去の栄冠やリックの土地の利が陪審員たちに効果的に影響し、被告側の悪行にほころびが生じるのだった。→人気ブログランキング

2013年11月19日 (火)

ディア・ブラザー

1980年に起きた「マサチューセッツ州対ウォーターズ事件」をもとに作られた。終身刑となった無実の兄の冤罪を晴らそうと、高校すら卒業していない妹が、一念発起してロースクールに入り弁護士となって、無罪を勝ち取るという、アメリカ版ど根性物。無謀とも思える一念を貫く役を演ずるのはヒラリー・スワンク、芯の強い女性を演じたらピカイチなのは、『ボーイズ・ドント・クライ』(1999年)、『ミリオンダラー・ベイビー』(2004年)で証明済み。
日本未公開にて、DVDスルーの作品。
Image_20201213164101ディア・ブラザー
Conviction
監督:トニー・ゴールドウィン
脚本:パメラ・グレイ
音楽:ポール・カンテロン
アメリカ  2010年  107分 

兄妹は、母親が育児放棄するような貧しい家で育った。妹ベティ・アン・ウォーターズ(ヒラリー・スワンク)と兄ケニー(サム・ロックウェル)は幼いころから仲が良かった。要するに助け合って生きてきた。

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ある日、といっても大人になって兄妹がそれぞれ結婚してからのことだが、素行が悪いケニーが身に覚えのない女性殺人の罪で終身刑となる。冤罪を主張するが、弁護士を雇う金ないためどうすることもできない。そこで高校を卒業していないベティ・アンは、まず高校を卒業して、それからロースクールに入学して弁護士になって、兄の冤罪を晴らそうという遠大な計画を兄に話す。「何年かかっても必ず無罪を晴らすから、短気を起こさないでね」とベティ・アンはいう。

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ベティ・アンには夫とふたりの息子がいて、夜はバーの共同経営者として働いていた。やがて夫とは離婚することになり、ふたりの息子と暮らすものの、あまりの忙しさで息子たちの面倒をみることがおろそかになっていく。そしてついに息子たちは夫と共に暮らすことを選択する。

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ベティ・アンが、ロースクールの授業を遅刻をしたり、休んだり、レポートを出し遅れたりする度に、友人のエイブラ(ミニー・ドライヴァー)が励まして力になってくれた。そして苦節16年、ベティ・アンはついに司法試験に合格した。
ある日、DNA鑑定により冤罪と証明され釈放になった受刑者の新聞記事を読んで、ベティ・アンは希望を見出す。

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ところが、警察に出向くと10年以上経過した事件の証拠嬪は破棄したと言われる。しかし、諦めないベティ・アンは、裁判所にいきそこで幸運にもウォーターズ事件の証拠一式を見付け出すのだった。
さらに、殺害当時ケニーと付き合っていた女もそして妻も、ケニーを逮捕した女性警官テイラー(メリッサ・レオ)に脅され偽証したことを掴むのだった。当時の警察署長とテイラーが仕組んだケニーを陥れる罠だった。

DNA鑑定の結果、証拠品に付着していた血液はケニーのものではないことが判明し、苦節18年でケニーは晴れて自由の身となる。

字幕には、DNA鑑定が導入され無罪となった冤罪は200例近くになると出る。犯罪の母集団が桁外れに多いとはいえ驚くべき数だ。→人気ブログランキング

2013年7月 9日 (火)

推定無罪

ラスティ・ザビッチ(ハリソン・フォード)は地方検事局の主席検事補。
妻のバーバラ(ボニー・ベデリア)は数学の博士論文を仕上げるのに何年もかかっていて、いまも大学の研究室に通っている。
Photo_20210423073701推定無罪
Presumed Innocent
監督:アラン・J・パクラ
脚本:フランク・ピアスン/アラン・J・パクラ
原作:スコット・トゥロー
アメリカ  1990年  127分 

検事局に若い美人女性検事補キャロリン(グレタ・スカッキ)が赴任してくる。ラスティはキャロリンに仕事の協力を求められ、やがて彼は彼女と関係を持ってしまう。これは、出世欲旺盛なキャロリンのハニートラップだ。ラスティはその罠にまんまとはまり、キャロリンに入れあげてしまう。

ある日、キャロリンが全裸で後ろ手に縛られ、鈍器で頭部を殴られた死体で発見される。
折りしも地方検事選挙戦の真っ最中。現職の地方検事レイモンド・ホーガンは、事件を無事解決して選挙戦を有利にしようと、ラスティにこの事件を任せることにした。
ラスティが調査を進めるうちに、彼女が検事局の何人もの男性たちと関係を持っていることがわかってくる。
さらに、彼女が担当した過去の事件に操作が加えられたような不審な点が出てくる。

ここで日本と異なるアメリカの地方検事について確認してみる。
アメリカの地方検事は4年ごとに住民の選挙で選ばれ、その検事が検事補を任命して訴訟を担当させる。
検事は選挙で選ばれるため、マスコミに注目されるような事件を担当し、住民感情に沿うような判決が下されれば知名度が上がり、ゆくゆくは議員になる可能性が出てくる。検事は政治家としての側面が強い。

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現場にあったコップからラスティの指紋が採取され、被害者の体内に残されていた精液の血液型はラスティのものと一致し、彼は逮捕される。
ラスティが弁護を依頼したのは、仕事上でこれまでに散々手を焼いてきたやり手弁護士。
キャロリンはレイモンドとも関係を持っていた。地方検事選挙での再任を目指すレイモンドは、当然のことながらラスティに見切りを付ける。これでラスティはますます不利な状況に追い込まれていく。

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ところが、決定的な物的証拠のコップが保管庫からどこかに消えてしまうという、とんでもないことが起こる。なんという杜撰な管理だろう。
決定的な証拠がなくなった今、黒人の裁判長はあくまで中立の立場を貫き、ラスティを犯人に仕立てようとする検察側の強引な手法に異議を唱え、裁判の無効を宣言してしまう。

最後になって、意外なところから被害者の血と髪の毛がついた凶器が出てきて真犯人がわかるのだが、このストーリーのどこが推定無罪なんだという疑問が残る。 →人気ブログランキング

2013年1月15日 (火)

エリン・ブロコビッチ

抜群のプロポーションで色気を振りまくジュリア・ロバーツが、ふとしたことから公害問題に関わっていく。周りの人を惹きつける持ち前の魅力と抜群の行動力で情報を集め、気乗りしない被害者を説得し集団訴訟に持っていく。痛快なストーリー。
本作は実話に基づく。法律の教育を受けていない女性、エリン・ブロコビッチが、1993年に大手製薬会社PG&Eを訴え勝訴し、当時米国史上最高額の賠償金が支払われた。本人自らが出演している。写真を見る限り、エリン自身はュリア・ロバーツに負けず劣らず派手でゴージャスで陽気だ。
Image_20201118093101 エリン・ブロコビッチ Erin Brockovich
監督:スティーヴン・ソダーバーグ
脚本:スザンナ・グラント
音楽:トーマス・ニューマン
製作国:アメリカ合衆国   2000年  130分

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信号無視の車にぶつけられケガを負ったエリンは、自らの暴言で賠償金を取り損ねてしまう。2回の離婚歴、3人の子供がいるシングルマザーの彼女は困窮していて、弁護を依頼したエド(アルバート・フィニー)の法律事務所で、勝手に働き始める。
賠償金を手にできなかった弱みがあるエドは、仕方なく正式な法律教育を受けていない、なんのキャリアもないエリンを雇うことにした。
元ミスコンで優勝した美貌とプロポーションを持ち、大胆な服装で会社に現れる彼女は、同僚たちの顰蹙を買うものの、忠告などどこ吹く風、一向に改める気がない。

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そんなおり、ラッキーなことに、隣に引っ越してきた入れ墨男(アーロン・エッカート)が、3人の子供の面倒を見てくれることになった。

ある日、彼女は書類の中に腑に落ちないファイルを見つける。不動産売却の書類に血液検査の結果が添付されていたのだ。
持ち前の美貌とスタイルを武器に、彼女は単独で調査を開始する。そして、大企業の工場が有害物質を垂れ流しにしている事実を突き止 める。

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病に苦しんでいる多くの住民を目の当たりにしたエリンは、住民たちが集団訴訟を起こすように説得に回るのだった。
地道な仕事により住民たちの信頼を得て、600人以上もの原告を集めることができた。

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そして、大企業と交渉の場を持ち、弁護士顔負けの弁舌で一歩も引かないエリンは、ついに多額の和解金を勝ち取った。
事務所で個室を与えられた彼女は、さらにエドから驚きの額のボーナスを受け取るのだった。

ジュリア・ロバーツは、本作で第73回アカデミー賞主演女優賞を獲得した。→人気ブログランキング

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