出会い系サイトで70人と実際に会ってその人に合いそうな本をすすめまくった1年間のこと 花田菜々子
主人公は33歳の女性。別居中の夫と、月に1回会って話し合いをしている。
大学時代からサブカルチャーにどっぷりと浸かり、卒後は水商売で金を稼いだ。10年前から下北沢の「遊べる本屋」ヴィレッジヴァンガードに勤め、やがて店長になった。ヴィレッジヴァンガードは入社当時の魅力がなくなっている。
尊敬する上司に対面で本を紹介する機会があり、そのときの興奮と面白さが忘れられず、人に会ってその人に合った本を紹介するという目的で、出会い系サイト「X」に登録した。それを著者は修業と呼んでいる。
作為的な発想だが、それでも引き込まれるのは、著者の攻める姿勢だろう。
出会い系サイトで70人と実際に会ってその人に合いそうな本をすすめまくった1年間のこと 花田菜々子 河出文庫 2020年 248頁 |
4人目まではろくでもないやつばかりだった。
とりあえずセックスって言ってみるやつ。結婚しているけど、俺はセックスしても問題ないと言ってくるやつ。30分の時間いっぱい手品とポエムを発表するやつ。年収5千万と嘘をつくやつ。メチャクチャなやつばかりだった。このあたりは予測どおりだ。
5人目は巨人の松井のような体格のいい男性。本をすすめているならコメント欄に推奨した本の紹介と理由を書いた方がいいと、アドバイスされた。松井のような男は「X」の創立からのメンバーで、「Xポリス」のようなことをやっているという。マルチ商法とかネットワークビジネスや宗教の勧誘を摘発するという。
最近は、おとなしい新規登録者ばかりで盛り上がりに欠けるという。個性的な著者は期待される有望株だという。
次は遊び回ってる女性と会った。話が弾み、また会おうと約束したが、その後会っていない。
医大生に会った。世界を旅するのが夢で、沢木耕太郎の『深夜特急』『荒野へ』が愛読書だという。ケルアックの『オン・ザ・ロード』を紹介した。
そして、サイト「X」のランキングで、有名企業家や古株に混じって著者が人気ベストテン入りするようになった。
カリスマ書店ガケ書房のオーナーに会いたいと思った。
20歳代の中頃に、京都のガケ書房を訪れたときの感激が忘れられない。その後年に2〜3回、ガケ書房を訪れていた。思いの丈をメールに書いて、ガケ書房の店長に送った。そして店長に会う。
ビブリオバトルのようなイベントを企画した。主催者の3人がゲストに本を紹介し合うイベントである。その日、祖父の通夜と重なってしまった。家族の中で不良なのは祖父と著者だった。2択で悩んだら自由な生き方の方を選択しろと言っていた祖父の教えにしたがって、通夜はすっぽかした。イベントは大成功だった。
紹介する本には、ひと言の紹介文やちょっとしたサマリがつけられているところがいい。
著者は、2022年9月に高円寺に書店「蟹ブックス」をオープンさせた。→人気ブログランキング
→ にほんブログ村