読書

『読書会入門 人が本で交わる場所』山本多津也

最近、読書会がブームだという。
著者は、2006年、仲間4人で読書会をはじめた。最初に選んだ課題本はカーネギーの『人を動かす』。それまでに受講した経営セミナーでは味わったことのない充足感と高揚感に包まれ、インプットだけでなくアウトプットすることの効果を実感したという。
以後、月に1回、定期的に開催している。ミクシーでコミュニティを立ち上げると参加者が増え、2年で会員数は1000人を超すようになった。


読書会入門 人が本で交わる場所 (幻冬舎新書)

山本 多津也 (Yamamoto Tatsuya
幻冬社新書 2019年9月
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「猫町倶楽部」と名付け、その分科会として映画を語る「シネマテーブル」、美術や音楽芸術一般を扱う「藝術部」、性愛をテーマとする「猫町アンダーグラウンド」、哲学を扱う「フィロソフィア」を立ち上げた。
仮面を付けたり浴衣を着たりのドレスコードを課したり、ゲストを呼んだり、温泉旅行に出かけたりした。
そうした参加者を集めるため努力が実り、今や1年間の参加人数は約9000人、年間イベント回数は200回の巨大読書会コミュニティになった。
猫町倶楽部ではすでに60組のカップルが結婚しているという。

読書会は課題本型を採用している。参加者6~8人で一つのグループを作り、司会役としてファシリテーターを選ぶ。参加者1人ずつに自己紹介と作品の気になったことを話してもらう。1度の読書会で1時間半~2時間をかける。

課題本は、極力、古典や名著を選ぶ。もう一つは、脳が汗書く本、自分だけでは読み終えることが難しい本を、選書することにしているという。基本的に、ベストセラーやエンタメ小説が課題本になることはない。

参加者は参加費と懇親会費を払い、ゲストを呼ぶ場合は料金が上乗せされる受益者負担。ただし、運営はすべてボランティアが行い、3回以上会に出席した経験がある人をサポーターと呼び、その中からボランティアを募る。
会運営の方針は、合議制にせず、テーマは著者がすべて決める。会則を明文化しない。来る者は拒まず、会員の囲い込みをしない。
参加者に課せられることは、他人を批判しない。もうひとつ、ネットで議論しない。ネットでは議論が苛烈になり過ぎる。

読書会入門 人が本で交わる場所/山本多津也 /幻冬社新書 /2019年9月
翼を持つ少女 BISビブリオバトル部 上下/山本弘/創元SF文庫/2016年
猫町倶楽部のサイト

『翼を持つ少女 BISビブリオバトル部 上下』 山本弘

ビブリオバトルをテーマにしたライトノベル。
ビブリオバトルとは、本について意見を戦わせたり語り合うことが、新たな読書に向かわせるという考えのもとに、立命館大学の谷口忠大によって考案された知的書評合戦のこと。

【ビフリオバトルの公式ルール】ビブリオバトル普及委員会
知的書評合戦ビブリオバトル公式サイト
1.発表参加者が読んで面白いと思った本を持って集まる。
2.順番に一人5分間で本を紹介する。
3.それぞれの発表の後に参加者全員でその発表に関するディスカッションを2〜3分行う。
4.全ての発表が終了した後に、「どの本が一番読みたくなったか」を基準とした投票を参加者全員で行い、最多得票を集めた本を『チャンプ本』とする。

本書の主人公、伏木空(ふしきそら)は、中学生の時に、好きな男子にラブレターを送ったことが原因で、いじめられるようになった。
いじめを知っている生徒がいない高校へ進学したかった空は、公立高校へは進学せず、私立の美心国際学園(BIS)に入学した。BISは制服がなく髪の色も自由、おおらかな校風なのだ。
空は無類のSF好き。そんな空が同じクラスの埋火武人(うずめびたけと)に誘われて入部したのが、ビブリオバトル(BB)部である。
女性のSF好きは珍しいが、空のSFに対する知識も情熱も生半可なものではない。

武人は埋火酒造の御曹司で、武人の祖父の蔵書にはSF小説が多数あった。武人はSFにはまったく興味がなくノンフィクションしか読まなかったが、空の影響でSFに目を向けるようになる。

BISビブリオバトル部1 翼を持つ少女 上 (創元SF文庫)

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BISビブリオバトル部1 翼を持つ少女 下 (創元SF文庫)

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ビブリオバトルのデビュー戦で散々な結果に終わっった空が悔やんでいると、武人は空を諭した。
「ビブリオバトルで選ばれるのはあくまでチャンプ本であって、チャンピオンではない。チャンプの栄誉はその発表者ではなく本に与えられる。発表者の良し悪しを競っているわけじゃない。あくまで、本が主役なのだ」と。
というのは建前で、チャンプ本をプレゼンテーションした選手は、当然、勝利の栄誉に浴する。

BIS高のBB部の色の黒い混血の女子部員が、双子沢高校社会学研究会の部員から、人種差別的な言葉を投げかけられた。この事件が発端となって、両校はビブリオバトルで戦うことになった。

空は出場しない予定だったが、やる気満々で自分から出場を志願した。空が取り上げた本は、本書で何度か取り上げられるエドモンド・ハミルトンの『フェッセンデンの宇宙』。フェッセンデン博士が実験室内に宇宙を作り出すSFの短篇である。

本書にはビブリオバトルのほかにもうひとつのテーマがあり、それは人種差別である。
関東大震災時の朝鮮人の虐殺について語られ、この事件にこだわりすぎるきらいがある。また、性的な描写も掲載され話題にのぼった『アンネの日記 増補版』がバトル本に取り上げられている。
なにしろ、144冊の本について触れられていて、本好きには見過ごせない内容になっている。本好きというのは、本のタイトルが並んでいるだけで、その本を読んでみたいと思うもなのだ。→人気ブログランキング

翼を持つ少女
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