CD

『Fallflower』CDダイアナ・クラール

アルバムに収められているのは、ほとんどが60年代70年代のポップスとロックのナンバー。ダイアナ・クラール自身が、若いころにラジオにかじりついて何回も聴き、口ずさんだ曲だという。懐かしい曲をハスキーな声でエモーショナルに歌っている。

Wallflower
Wallflower
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ダイアナ・クラール(Diana Krall
デイヴィッド・フォスター(プロデューサー)
ユニバーサル・ミュージック
2015年1月  ★★★★★
売り上げランキング: 409

プロデューサーは、16回のグラミー賞受賞暦をほこる超大物・デイヴィッド・フォスター。
ゆったりとしたテンポのバラードが並んでいる。ダイアナはジャズに限らず豊かな才能の持ち主であることが、このアルバムで改めて証明された。
タイトルの「フォール・フラワー」はボブ・ディランの曲で、スタジオ録音とライブ版の2曲が収録されている。
4曲目の「アローン・アゲイン」ではマイケル・ブーブレと、11曲目の「フィールズ・ライク・ホーム」ではブライアン・アダムスとデュオを組んでいる。さらに9曲目の「オペレーター」では、・スティル、グレアム・ナッシュという70歳代の大御所をバック・ヴォーカルに従えている。
6曲目の「イフ・アイ・テイク・ユー・ホーム・トゥナイト」は、ポール・マッカートニーのアルバム『キス・オン・ザ・ボトム』(2012年)に収録された曲。ダイアナはピアノで参加した。ポールにぜひ歌わせて欲しいと頼んだそうだ。
ダイアナは70歳代のじいさんたちに寵愛されているようだ。
ダイアナ、デイヴィッド、マイケル、ブライアンはカナダ生まれだから、気心が知れている。
テーブル・キャンドルの揺らぐ光のなか、カナディアン・ウィスキーをちびちびやりながら聴くのがいい。→ブログランキングへ

→【2013.0312】『Glad Rag Doll』(CD)ダイアナ・クラール

『趣味の演芸』清水ミチコ CD

清水ミチコのモノマネのレベルは高い。人間観察に長けているからだろう。
加えて音楽的なバックグラウンドがしっかりしているので、切り口がバリエーションに富んている。
イントロは、サザエさんのタラちゃんから百歳の金さん銀さんまで、各世代の人物の声色をまねている。

趣味の演芸
趣味の演芸
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清水 ミチコ
ソニー・ミュージックダイレクト (2014-12-24)
売り上げランキング: 759

次は、桃井かおりへのインタビューに、通りがかった大竹しのぶ加わり、真矢みき、中村玉緒、市原悦子、浅香光代が次々と割り込んできて、「女優とは?」がかしましく語られる。
ボイス・アドベンチャーは、ユーミン、(井上)ようすい、(中島)みゆきの3大シンガーソングライターが、「ウサギとカメ」というお題で即興に曲を作るというもの、聴き応えあります。
寂聴の説法「手と手をつなぐ」は新しいネタです。この説法、説得力があって心が清らかになるような気がするくらいの高い完成度です。
昭和名曲メドレーでは、「恋の季節」「ブルーライトヨコハマ」「こまっちゃうナ」「世界は二人のために」「好きになった人」を熱唱、コアな昭和が蘇ります。
そのほかにも唸らせる出し物がたっぷり。
「趣味の演芸」のタイトルにふさわしい清水ミチコワールドを満喫できます。→ブログランキングへ

→『清水ミチコ物語

『少年ナイフ ゴールデン☆ベスト』(CD)Shonen Knife

少年ナイフ ゴールデン☆ベスト
少年ナイフ
ユニバーサルJ (2006-07-05)
売り上げランキング: 109,166

少年ナイフは、素人っぽいところが何とも言えない魅力である。
英語で歌って、とりあえず海外でもやってますからという無鉄砲さが売りだ。下手な説明だけでは実感がわかないから、下の「YOU TUBE」の動画で英語の発音にのけぞりながら、『トップ・オブ・ザ・ワールド』をチェックしていただきたい。

少年ナイフは高校か大学の学園祭に出演した素人ロックバンド、しかも女性だけ、という感じだ。ところが、聴いていると「結構やるじゃん」となる。オリジナル曲を演奏しだすと「持ち歌もあるのか」と評価はアップする。そのうちに「プロなんだってよ」と素姓がばれて「んー、なるほど」ということになる。
「なるほど」というのは、素人にしては音は外さないし、レパートリーが広い、ボーカルには素朴な味がある、が、プロと言われるとやっていけるかなと心配だ、という意味が込められている。リズムが外れないように、懸命に合わせようとしているところが健気に見える。ひょっとすると外すかもしれない、それを見守りたくなる。結構気に入っている。
少年ナイフはオルタナティブロックというカテゴリーに属する。代替ロック、代用品のロックである。オルタナティブロックという言葉がぴったりなのが、少年ナイフだ。
オススメは、さっきYOU TUBEで聴いていただいた、ディスク2に収録されているカーペンターズのナンバー『トップ・オブ・ザ・ワールド』。最後に「Top of the world」をリフレインするところが、哀愁が漂って泣ける。
映画『最後の晩餐 平和主義者の連続殺人』(1996年)のクレジットでこの曲が流れたとき、「誰が歌ってんだ、この下手な英語の調子っぱずれ歌を」とのけぞった。興味がわいて、たどり着いたのが少年ナイフだった。→ブログランキングへ

少年ナイフ公式サイト

ディスク:1
1. ロケットにのって
2. Twist Barbie
3. サイクリングは楽し
4. Antonio Baka Guy
5. I am a cat
6. Burning Farm
7. コンクリートアニマルズ
8. トマトヘッド
9. Brown Mushroom
10. Cobra versus Mongoose
ディスク:2
1. Space Christmas
2. Milky Way
3. Quavers
4. Goose Steppin’ Mama
5. Till the end of the day
6. Top of the world
7. Secret Dance
8. Cherry Bomb
9. Wind Your Spring
10. It’s a New Find

『Meets The Beatles』(CD)ジョン・ピザレリ

ミーツ・ザ・ビートルズ
ジョン・ピザレリ
ドン・セベスキー(アレンジ)
1998/10/03
ソニー・ミュージックジャパンインターナショナル
★★★★★

ビートルズナンバーのカヴァーは、あまたのミュージシャンが挑戦しているが、ブリーフノートでピザレリが言ってるように、ビートルズの楽曲はメロディだけ取り出すと別物になってしまうから、魔物だ。
ビートルズのカヴァーアルバムには「これちょっとなぁ」という失敗作がある。その理由は、ビートルズの楽曲はインスツルメンツもコーラスも緻密に計算されていて完成度があまりにも高いからだ。さらに、多くの曲が聴く人の記憶に刻まれている。ビートルズのオリジナル曲を凌駕する完成度がないと、カヴァーは成功しないということだ。
その点、ピザレリには抜群のギターテクニックがあるから強い。ドン・セベスキーの緻密なアレンジが無条件にいい。
ギターだけで唸らせる曲もあると思えば、ピアノトリオでまとめたり、管楽器を入れたり、オーケストラとコラボしたりして、粋なビートルズ・ジャズ・サウンドを作り上げている。間違いなく五つ星だ。→ブログランキングへ

1. Can't Buy Me Love
 ジョンのギターテクニックが披露され、管楽器でガーンとくる重厚感を出している。
2. I've Just Seen A Face
 ピアノのイントロで入り、途中のでギターのアドリブの後、ピアノトリオのノリでまとめる。ジャージーなサウンドが楽しめる。
3 Here Comes The Sun
 ピアノ高音部で入り、ベースの音を前にだし、ストリングスも入って、ピアノが追っかけさらにトランペットでもりあげる。ボサノバ風に仕上がっている。
4. Things We Said Today
 軽くドラムできて管楽器でちょっと煽り、ボーカルが入り、乗りのいいピアノのアドリブで締める。
5. You've Got To Hide Your Love Away
 生ギター1本で静かに歌い上げる。
6. Eleanor Rigby
 ピアノ、ギター、ベース、ドラムスのインストルメンツだけで、ボサノバにまとめている。
7. And I Love Her
 ピアノで入りストリングスが加わり荘厳な感じで歌い上げる。
8. When I'm 64
 ノリのいいデキシーランド・ジャズ風。
この曲は、誰がカヴァーしてもうまくいく。前半はキレがあり最後はコミカルにまとめた。友人の64歳の誕生日に控えめに流したい曲だ。
9. Oh Darling
 ジャジーなピアノで入り、ベースを効かせ、そのあと管楽器でが並走し、ドラムが入ってきてグァーンと盛り上がる。ミュートをかけたトランペットが雰囲気を変えて最後につながっていく。
10. Get Back
 サキソフォーン、ピアノ、ギターでアドリブをつなぎ、ホルンで高らかに盛り上げる。フル管楽器の醍醐味がしみてくる。
11. The Long & Winding Road
 オーケストラのストリングスで荘厳に入り、ピアノのリードで歌い上げる。
12. For No One
 ビッグバンドを使って、映画のサントラのような雰囲気でまとめ上げている。

『Glad Rag Doll』(CD)ダイアナ・クラール

グラッド・ラグ・ドール(初回限定盤)(DVD付)
ダイアナ・クラール
ユニバーサル ミュージック クラシック (2012-10-31)

このアルバムの話題は、ジャケットもさることながら、プロデューサーとして T.ボーン バーネットが参加していることだそうだ。
T.ボーン バーネットは、かつてボブ・デュランの「The Rolling Thunder Revue」のギタリストとして活躍。その後、幅広いジャンルのアルバムのプロデュースを手掛けている。
映画では『ウォーク・ザ・ライン』(05年)、『アメリカ、家族のいる風景』(05年) や 『クレージー・ハート』(10年)などの音楽を担当し、アカデミー賞にノミネートされたり受賞たりした。グラミー賞では、しばしば賞を獲得している辣腕プロデューサーとのこと。

ダイアナ・クラールの「新しい魅力を引き出すためには、冒険しないと。それなら、T.ボーン・バーネットだね」ということになったのだろう。ジャケットは、アルバム名が「Rag Doll」だからといって、縫いぐるみ人形風の衣装では迫力にかけるので、肌も露わなマドンナ・ルックで大胆なポーズにした。ジャズ界の女王ダイアナ・クラールらしい風格と艶かしさが出ている。

20 年代や30 年代の古い時代の楽曲をピックアップして、現代風にアレンジしている。
弾むようなピアノに乗って歯切れのいい曲も、ゆったりした頽廃的な曲も、ダイアナ・クラールのハスキーな声にあう。アコスティックやエレキギターのほかに、曲によってはバンジョーやウクレレが入り、独特な雰囲気が出ている。またインスツルメントが前に出ている曲が多い。1900年代前半の古き良きアメリカの土臭さや、ミュージックホールの埃っぽさが感じられるラインナップだ。今までとは違った新しいダイアナ・クラールの世界を垣間みることができる。

アルバムのタイトルにもなっている5曲目の「Glad Rag Doll」は、1929年に同名のトーキー映画の主題歌として作られた曲とのこと。→ブログランキングへ

1. We Just Couldn't Say Goodbye(3'07")
2. There Ain't No Sweet Man That's Worth the Salt of My Tears(4'30")
3. Just Like a Butterfly That's Caught in the Rain(3'43")
4. You Know I Know Ev'rything's Made for Love(3'48")
5. Glad Rag Doll(4'35")
6. I'm A Little Mixed Up(4'37")
7. Prairie Lullaby(4'22")
8. Here Lies Love(5'09")
9. I Used to Love You But It's All Over Now(2'51")
10. Let it Rain(5'44")
11. Lonely Avenue(6'58")
12. Wide River to Cross(3'51")
13. When the Curtain Comes Down(4'55")

『チェット・ベイカー・シングス』(CD)チェット・ベイカー

チェット・ベイカー・シングス
チェット・ベイカー
EMIミュージックジャパン (2010-09-22)

「このアルバムは1954年と1956年の録音で構成されています」という『チェット・ベイカー・シングス』に関する文章について、ある人が「これは違うではないのか」と言い出した。「1954年と1956年に、それぞれアルバムを出したのを間違って書いたのではないか。そうとしか考えられない」と乱暴なことを言う。
「ジャズ・アルバムでは、よくあることで間違いではないと思う」と反論したものの、自信がなかった。
帰ってCDのブックレットを読むと、文章は正しかった。
1954年に録音した曲に、1956年に録音した6曲が加えられ、1956年に発売されている。

アルバムのタイトル『チェット・ベイカー・シングス』は、「トランペッターでならしたチェット・ベーカーが歌います」という決意がそのまま。
トランペッターが歌ったって、 個性が光っていればいい。歌ったら、いけるじゃないか、ということになった。技巧は無用。料理でいえば素材そのものの旨さだ。世紀の名盤はこうして生まれた。
そんな、チェットベーカーの歌声は少年のつぶやきのような中性的なもの。
音域は広くない、だから声を張り上げることもない。ハスキーで朴訥、物悲しい響きがする。
音量を落としてひっそりと聴くような曲が揃っている。

1.That Old Feeling(L. Brown, S. Fain)
2. It's Always You(J. V. Heusen, J. Burke)
3.Like Someone In Love(J. V. Heusen, J. Burke)
4.My Ideal(N. Chase, R. Whitning, L. Robin)
5. I've Never Been In Love Before(F. Loesser)
6. My Buddy(W. Donaldson, G. Kahn)
7.But Not For Me(G. Gershwin, I. Gershwin)
8.Time After Time(S. Cahn, J. Styne)
9. I Get Along Without You Very Well(H. Carmichael)
10.My Funny Valentine(R. Rodgers, L. Hart)
11. There Will Never Be Another You(M. Gordon, H. Warren)
12.The Thrill Is Gone(L. Brown, R. Henderson)
13. I Fall In Love Too Easily(S. Cahn, J. Styne)
14.Look For The Silver Lining(B. DeSylva, J. Kern)

『Undercurrent』 ビルエヴァンス&ジムホール (CD)

アンダーカレント
アンダーカレント
posted with amazlet at 12.04.27
ビル・エヴァンス&ジム・ホール
EMIミュージックジャパン (2010-09-22)
売り上げランキング: 1638

ピアノとギターのデュオ。ベース、ドラムなし。
ひっそりと会話を楽しんでいるような、そんな感じのアルバム。
ともすれば饒舌になりがちな演奏に抑制を効かせ、あるときは早口になり、やや大声になるものの、決して興奮することなく会話が進む。
どこかでドラムが加わるんだろうなと思っていると、期待は裏切られるのだが、そのあとドラムなしに納得がいく。
このデュオにはドラムは無用と思えてくる。
最後の曲にはブラシが入るけれど。
同じように、ベースがどこかで入ってくるんじゃないかと、耳を傾けていると、それも見事にかわされる。
ベースもないほうがいいことに納得する。
つい身をゆだねてしまいたくなる。
1962年録音。

1. MY FUNNY VALENTINE
2. I HEAR A RHAPSODY
3. DREAM GYPSY
4. ROMAIN
5. SKATING IN CENTRAL PARK
6. DARN THAT DREAM
7. STAIRWAY TO THE STARS
8. I'M GETTING SENTIMENTAL OVER YOU
9. MY FUNNY VALENTINE  (alternate take)
10. ROMAIN  (alternate take)

『清水ミチコ物語』 (CD)

清水ミチコ物語
清水ミチコ物語
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清水ミチコ
ソニー・ミュージックダイレクト (2012-03-28)
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バッタもん歴25年の集大成なんだそうだ。
のび太の夏休み(『ドラえもん』)という設定で、CDは始まる。

『謎の中華三昧』は、単調なルート66の出だしのリズムに乗って、アグネス・チャンと欧陽韮韮とジュディ・オングが、中華料理店でラーメンを頼むというもの、らしくって、爆笑だ。
やけくそに気味に歌う『テネシーワルツ』は大阪のオバちゃん綾戸智恵のマネ。
『イェル・ケ・クク』は、小学生が明日のテストに備えて九九を暗記するというシチュエーションでシャンソンを歌う。九九は、フランス語に似てる。
野球を知らない人間には、ラジオの野球中継って支離滅裂に聞こえるらしい。
「三遊間で打った」「デッドボールのサインだったんではないでしょうか」「本日の試合は有終の美を持ちましてすべて終了いたしました」なんてことになる、それが『野球中継』。
『欲望』は、井上陽水がいかにも作りそうな曲に歌詞をつけて、陽水の声で歌っている。それが見事に陽水らしいのだ。

似てるー、すげえー、なんだこりゃー、たいしたもんだ、などとつい合いの手を入れてしまう。
悔しいのは、誰の真似なんだかわからない数カ所。名前が出てこないのが、なんとももどかしい。
単なるモノマネだけでなく、歌唱力、それとピアノの弾き語りの才があるところが、清水ミチコの強みだ。
本物の「バッタもん」のシュルな世界が広がる。